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2025年は、マイナンバーカードに搭載されている「電子証明書」の期限切れを迎える人が続出する。2020年9月より始まったマイナポイントキャンペーンで発行されたものが、軒並み“5年”の有効期限を迎えるため、じつに2768万件もの更新が必要だとされている。
気がかりなのは、「電子証明書」の更新をうっかり忘れて有効期限が切れてしまった場合だろう。いったいどのような不都合が生じるのか――。
経済ジャーナリストで、マイナンバーカードの問題に詳しい磯山友幸さんは、「そもそもマイナンバーカードの取得は義務ではなく“任意”です」としたうえで、「有効期限が切れてもそれほど不便はない」と話す。
「電子証明書の有効期限が切れると、コンビニでの各種証明書の自動交付や、e-Taxでの確定申告などができなくなります。しかしこれらは年に何度もあるわけではないうえ、窓口でも行えるものです。実際に、『マイナンバーカードがなくてもそれほど不便は感じない』という声をまわりで耳にします」(前出・磯山さん)
もし電子証明書の有効期限が切れても、10年目の期限が来るまでは、カードは「身分証明証」としての使用はできる。
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では、「マイナ保険証」として利用している場合はどうだろう。
■「資格確認書」の送付まで“無保険状態”となる可能性が
「電子証明書の有効期限が切れて3カ月以上超過すると、『マイナ保険証』としては使用できなくなります。そのため、更新が済んでいない方には、たとえ申請がなくても、加入している保険組合から『資格確認書』を送る、という通達が厚生労働省から出されたんです」(前出・自治体職員、以下同)
たとえば国民健康保険の加入者の場合は、各自治体から「資格確認書」が送られてくることになる。
「マイナンバーの管理は国が行っていますから、月に一度『有効期限切れ』のリストが国から送られてきてから、それを職員が一つ一つ確認している状況です。そのため、必ずしも期限が切れたその日に『資格確認書』をお届けできるわけではありません」
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つまり、一時的にでも“無保険状態”になってしまう可能性は十分ありうるのだ。
職員らは必死で作業を進めているが、こんな悲鳴が上がっている。
「すでに国民健康保険から外れている方のデータも含まれていたりするので、期限切れリストの確認作業には、かなり時間がかかります。いままで以上に手間が増えたな……というのが正直な実感です」
これからさらに更新件数が増えることが予想される中、こうした現場の「手作業」に頼っている実態には驚きを隠せない……。
「結局、マイナンバーカードは、不具合が多くて更新に手間がかかる割に、メリットが少ないことがわかってきました。今後、更新する人はますます減り、普及率は下降していく可能性が高いのではないでしょうか」(前出・磯山さん)
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政府はこれまで、その利便性をアピールして普及を促してきたが、そのために9千億円近い税金を投入している。これでは血税をドブに捨てたと批判されても仕方ない。多くの人が更新に殺到して、これ以上トラブルが増える前に、更新システムの早急な見直しを図ってもらいたいものだ。
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