


ふだんは顔を出さないくせに、こういう都合のいいときだけ実家に来るの? しかもお米を勝手に持っていってしまうなんて、そんなドロボウみたいなこと許せません。私は抗議の電話をかけました。しかし兄は戸惑った様子で……。


私が怒ると、兄は思わぬことを言い出しました。自分は「お米を引き取ってくれ」と頼まれた方だと……。お米をあげたのは母の方!? お互いに状況を確認しあうと、電話の向こうで兄がふーっと長いため息をついたのが聞こえました。

実家のお米を兄がすべて勝手に持っていったと聞いたときは、頭にきてしまいました。そんなドロボウみたいなことをするなんて! と許せなかったのです。しかし電話をかけて兄に文句を言うと、兄はわけがわからないといった様子です。お互いに状況を確認してみると、なんだか内容が食い違っています。
その原因は母の言動にありました。兄には「大量にお米があって困っているから引き取って」と頼み、私には「お米を持っていかれたからまたちょうだい」と言いつけてきたのです。母はなんのために嘘をついているのでしょうか……。兄も私も考えこんでしまいました。
【第3話】へ続く。
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