「韓国コスメ市場」にファミマも仲間入り、発売2週間後の反響は?

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2025年03月31日 11:51  ITmedia ビジネスオンライン

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ファミマの新コスメが話題に!

 ローソン、セブン-イレブンに続き、ファミリーマートも「韓国コスメ市場」に本格参入した。


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 ローソンでは、Z世代に絶大な支持を得る韓国コスメブランド「rom&nd(ロムアンド)」と共同開発した新化粧品ブランド「&nd by rom&nd(アンド バイ ロムアンド)」を2023年3月から発売。約7カ月で200万個を突破する大ヒットとなっている。


 セブンは、同じく若年女性に人気の韓国コスメブランド「CLIO(クリオ)」とコラボ。姉妹ブランド「twinkle pop by. CLIO(トゥインクルポップ バイ クリオ)」として、2024年5月から展開している。


 後発となったファミマは、繊細なカラーバリエーションや使用感に定評がある韓国コスメブランド「hince(ヒンス)」とタッグを組み、「hana by hince(ハナバイヒンス)」として3月14日から売り出した。


 3月末時点で、発売から約2週間が経過したところだが、過去のメーク製品の顧客と比べて、10〜20代の若年女性の割合が2倍強に伸長。狙いどおりの効果が出ているという。


 参入の狙いや開発エピソード、発売後の反響について、商品本部 CW・コスメグループの上村朋美氏と角田あすか氏に話を聞いた。


●「ヒンス」とタッグを組んだ狙い


 ファミマが協業する「ヒンス」とは、どんなブランドなのか。2019年に韓国で誕生し、使う人の“個性”や“本来の美しさ”を引き出すことを目指している。絶妙なニュアンスカラーを得意とし、「アンニュイな雰囲気」「大人っぽい透明感がある」などと語られることが多い。


 日本でも2019年からオンラインで発売され、2022年11月に日本初の直営店を東京・新宿にオープン。SNSを中心に関心を集め、美容雑誌がこぞって取り上げる人気ブランドになった。2023年には、ヒンスの運営会社が韓国大手の日用品メーカー「LG生活健康」に約47億円で買収されている。


 ファミマでは、2022年秋頃から韓国コスメの構想を開始。さまざまなブランドを探るなかで、ヒンスに目をつけた。「SNSの強さや高品質がコラボの決め手だった」と上村氏。


 「当社の狙いは、化粧品カテゴリーを拡張して10〜20代の若年女性の顧客獲得につなげること。ヒンスのボリューム層は25〜35歳とやや年齢層が上ですが、タッグを組んで新規顧客層に向けた新ブランドを開発することにしました」(上村氏)


 ファミマでは、20〜30代向けとして、ナチュラル&オーガニックのセレクトショップ「Cosme Kitchen(コスメキッチン)」と協業したスキンケアブランド「Mitea ORGANIC(ミティア オーガニック)」を2022年10月から展開。2000円以下に価格を抑えつつ質にこだわり、販路を限定することでリピーターを増やすことに成功。昨対比2ケタ成長で推移している。


 40代以上向けには、カネボウ化粧品「media(メディア)」を2016年から展開。こちらも順調で、特にアイブロウペンシルやアイライナーは幅広い年代で売れているそうだ。


 10〜30代向けのコスメでは、以前にプチプラの「sopo(ソポ)」を展開していたが、2024年9月で販売終了。その空いた枠にハナバイヒンスを投入し、若年女性の獲得を目指すわけだ。


●“繊細な色”を生かしたラインアップ


 ハナバイヒンスは全8種23品をそろえ、ヒンスの商品よりも小ぶりで1800円以下の低価格に設計している。色数の多いリップやチークなどは1000円以下だ。低価格での販売はローソンやセブンと同様の戦略だが、「色」や「ラインアップ」ではヒンスの強みを生かした差別化が見られる。


 「商品開発は、ヒンスの強みである“色”を意識しました。“かわいい”から“カッコいい”までを網羅したカラーバリエーションで、若年層向けながら大人っぽい『ブラウン系』も。コンビニ化粧品としては、攻めたブラウンだと思います。ヒンスの主力製品である『ハイライト』は、ニュアンスが異なる2色を用意しました」(上村氏)


 ハイライトとは、ナチュラルなツヤ感を演出する、目元や頬など顔全体に使える化粧品。ヒンスのハイライトは品切れが出るほどの人気で、ファミマで発売するにあたり、小ぶりで、さらに輝きを強調した仕様にしたという。


 「色を使った商品は、ひと塗りでしっかり色づくというより、重ね塗りすることで好みの色に仕上がる設計にしました。透明感もくっきりした色も1つで表現できます」(上村氏)


 開発で特に苦労したのは品質であるが、アイシャドウは何度も改善を重ねたそうだ。大粒すぎない適度に存在感のあるラメや、肌への密着度を高めるやわらかい粉質にこだわった。乾燥しがちなティントには、ヒアルロン酸を含むスキンケア成分を配合し、しっとり感を持続させた。


 ローソンやセブンでは、韓国コスメに「アイブロウペンシル」や「アイライナー」もラインアップするが、ファミマでは、メディアで同カテゴリーの売れ行きが良いことから含めていない。


●目的買いが続出。一番人気は「ティント」


 ファミマがハナバイヒンス投入にあたり掲げる目標は、2025年度の化粧品カテゴリーの売上高を前年度比20%増とすること。初動は好調で、目標に向かって順調に推移している。加えて、「これまでになかった反響が見られている」という。


 「発売日には、ハナバイヒンスを目当てに来店する方が多くいました。一部の店舗では、開封前の段ボールを指して、『開けてもらえますか?』と同製品の陳列を急かす方もいたほど。従来のコンビニ化粧品は、急な宿泊予定などによる『緊急買い』が中心で、これほどまでに化粧品への熱量を感じたのは初めてです」(上村氏)


 通常、ファミマでは発売したタイミングで情報を公開しているが、ハナバイヒンスは発売の約1カ月前に解禁した。プレスリリースも2回に分けて発信し、情報を小出しにした。さらに、ヒンスが得意とするSNSも駆使してターゲットへのリーチを狙った。こうした情報発信も功を奏したようだ。


 現状の売れ筋を聞くと、1番人気は「ウォーターグラスティント」(全4色、990円)、次いで「トリプルアイパレット」(全3色、1450円)、「シャインハイライターバーム」(全2色、990円)となっている。


 「これまでのメーク製品と比較すると、10〜20代女性の割合が2倍以上に伸びています。概ね予想どおりですが、約30%の方が複数個を『まとめ買い』されるのと、アイパレットで『ブラウン系』(キャラメル)が一番人気なのは予想外でした」(上村氏)


 「韓国では、ブラウンカラーを使った『モカメーク』が流行っていて、SNSでは『キャラメルでモカメイクができる』と投稿されていました。全体的に淡い色で仕上げる『ノーカラーメーク』もトレンドのようで、想定よりも大人っぽい色が売れています」(角田氏)


 今後は、季節に合わせた新色や限定商品などを展開する予定だ。現在はクリスマス向けに華やかさを増した製品を開発中だという。「メークはハナバイヒンスに集約する一方で、スキンケアは新たな韓国ブランドの展開を検討している」と上村氏は話した。


 韓国コスメ市場では、大手コンビニ3社で最も後発となったファミマだが、狙った成果が出始めている。3社の化粧品の動向にさらなる注目が集まりそうだ。


(小林香織)



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