佐賀オスプレイ配備 工事差し止め認めず 福岡高裁が抗告棄却
5
2025年03月31日 13:44 毎日新聞

仮処分申請の即時抗告審で差し止めが認められず、「不当決定」と書かれた幕を掲げる弁護士ら=福岡市中央区の福岡高裁前で2025年3月31日午後1時42分、成松秋穂撮影 陸上自衛隊の輸送機V22オスプレイを佐賀空港(佐賀市)に配備する計画を巡り、反対する漁師らが建設中の佐賀駐屯地(仮称)の工事差し止めを求めた仮処分申請の即時抗告審で、福岡高裁は31日、差し止めを認めずに申請を却下した佐賀地裁決定(2024年3月)を支持し、漁師らの抗告を棄却する決定を出した。漁師らは駐屯地用地の所有権を主張して工事差し止めを求めたが、久留島群一裁判長は「(漁師らの)共有地とは認められない」と判断した。漁師らは決定を不服として最高裁に特別抗告する方針。
駐屯地用地は、もともと国の干拓事業で造成された土地で、過去に売却が繰り返されてきた。まず佐賀県が佐賀空港用地として国から干拓地を取得。その後、地元漁協(現・県有明海漁協)に売却されたが、駐屯地建設のために国(防衛省)が再び取得に動き、漁協が売却に応じた。国は今夏のオスプレイ配備に向け、工事を進めている。
仮処分申請した地元の漁師や元漁師計4人は、漁協が県から土地を取得した際、干拓事業の補償として土地の所有権が漁協組合員に配分されたと主張したが、地裁決定は土地の所有権は漁協にあるとして退けた。
高裁決定も漁協が県から土地を取得し、登記の所有者も漁協となっていると指摘。組合員に土地を直接使用する権限などはなく、与えられたのは土地からの収益を受領する権利にとどまるとし、共有地と認めなかった地裁決定は正当と判断した。【志村一也、成松秋穂】
Copyright(C) 2025 THE MAINICHI NEWSPAPERS. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。