電子マネー決済(写真はイメージ) 南海トラフ巨大地震では、大規模停電や通信障害によってクレジットカードや電子マネー、QRコード決済などが使えなくなり、「買い物難民」が数多く発生する恐れがある。キャッシュレス決済の普及で災害時の混乱リスクは高まっている。国は新たな被害想定で、金融・決済機能を維持する対策を「継続的に実施する必要がある」と指摘した。
経済産業省が31日公表した集計結果では、2024年のキャッシュレス決済の支払額は141兆円に達し10年(38兆円)の3.7倍に増加。個人消費に占める割合は42.8%(10年13.2%)となり、政府目標の4割を初めて超えた。決済アプリを入れたスマートフォンさえあれば支払いができる場面が増え、財布や現金をあまり持ち歩かない人も増えてきた。
ただ、利便性の高さには落とし穴もある。国内初の大規模停電(ブラックアウト)が起きた18年の北海道地震では、店舗のレジで商品情報読み取りやカード情報照会などができなくなり、キャッシュレス決済が利用不能に。現金がなければ飲食物も買えない事態が生じ、リスクを浮き彫りにした。
電子決済システムは国内外とネットワーク接続されており、被害想定では「被災地のみならず全国的に影響を受ける恐れがある」と分析。混乱は広域に及びかねない。「災害発生後の一時的な現金需要への備えも必要だ」と指摘され、消費者も普段から一定額の現金を用意しておくことが求められそうだ。