中居正広氏と女性とのトラブルを巡るフジテレビの一連の問題を調査した第三者委員会の報告書の要旨は次の通り。
【性暴力の認定】
中居氏は大物タレントで、女性は入社数年目の社員であり、両者の権力格差などから断ることが困難な状況で起きた。フジの「業務の延長線上」における性暴力であったと認められる。
【人権問題の認識欠如】
(今回の性加害が)人権問題であるとの認識がなかった。女性への対応と中居氏の出演継続に関する意思決定が、被害者と同じ女性が関与しない(当時の社長、専務、編成制作局長という)同質性の高い壮年男性のみで行われたことに驚きを禁じ得ない。
【幹部による二次加害行為】
(女性への性加害後)フジの幹部が中居氏サイドに立ち、中居氏の利益のために動いた。中居氏に代わって見舞金名目で現金100万円を女性の入院先病院に届けるなどの行為は、女性に対する口封じに当たり得る。
一連の対応は経営の体をなしていない。性暴力への理解を欠き、被害者救済の視点が乏しかった。女性に寄り添わず、漫然と中居氏の出演を継続させ、中居氏の利益のためとみられる行動を取ったことは二次加害行為に当たる。
【ハラスメントのまん延】
全社的にハラスメント被害がまん延していた。被害者に申告をためらわせ、適切な対処がなされず、結果としてさらに被害が生じるという負の連鎖が繰り返されてきた。
【日枝氏の経営責任】
日枝久氏が役員人事に強い影響力を持っていることは明らか。取締役会による「役員指名ガバナンス」が機能してこなかったことは、日枝氏のみならず取締役会メンバー全員に責任が認められる。
【再発防止策】
(今回の)被害女性に真摯(しんし)に謝罪し、対話を始める。被害を救済し、二次被害から守り抜く。ハラスメントという重要な人権問題に関するリスク管理体制を見直す。取引先・取材先からのハラスメント(カスハラ)に対応する体制を構築する。