日銀が1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス12となり、昨年12月の前回調査から2ポイント悪化した。原材料費高騰や中国・欧州経済の減速に加え、トランプ米政権の高関税政策への懸念が鉄鋼など一部業種で台頭。4四半期ぶりに業況が悪化した。
一方、大企業非製造業はプラス35(前回プラス33)と2期ぶりに改善した。好調なインバウンド(訪日客)需要が引き続きけん引。原材料費や人件費のコスト上昇分の価格転嫁も進み、1991年8月調査のプラス41以来、33年7カ月ぶりの高水準となった。
DIは業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」を引いて算出する。
大企業製造業は16業種中11が悪化。鉄鋼がマイナス18(同マイナス8)、繊維が0(同プラス23)と大きく後退した。鉄鋼は米国が3月12日に鉄鋼・アルミニウムへの追加関税措置を発動したことが響いたほか、海外需要の伸び悩みも下押しした。
一方、自動車は生産回復に伴いプラス13(同プラス8)に改善。今月3日から課される米追加関税について日銀は「影響は十分に織り込まれていない」とみている。
大企業非製造業は12業種中7が改善。宿泊・飲食サービスがプラス46(同プラス40)、小売りがプラス21(同プラス13)となった。