写真企業の倒産件数が33か月連続で増加し、ついに今年度は’13年以来、11年ぶりに1万件を超す可能性が出てきた。企業の破綻は突然のように見えても、徐々に傾く“予兆”は随所に表れ始めている……。そこで、本特集では「決算」「人材」「職場環境」から倒産の危険度を凄腕コンサルタントたちが勝手に診断! 果たして、あなたの会社は、倒産間際か?
◆10年後、倒産する可能性が高いのは?
世界的なインフレ傾向、円安、AI技術躍進――。中小企業を取り巻く環境はますます厳しさを増し業界によっては「淘汰の時代」になり得る。10年後、倒産する可能性が高いのは?
「一見、煌びやかなゲーム業界、この先かなり厳しくなるでしょう」
そう語るのは、経営コンサルタントの横須賀輝尚氏だ。
「中国の資本力が凄まじい。無料のソーシャルゲームの開発に平気で100億円くらいかけてしまう。かつてはマンパワーでカバーしていましたが、それも働き方改革で難しい。さらに、基本無料のゲームが主流になったことで、開発費を回収できずに爆死するケースが増えているのです。加えて現代人はSNSや動画コンテンツに時間を取られ、新しいゲームを始める余裕がない。そのため、新規参入も難しく、成功するタイトルはごく一部です」
◆法改正次第ではトラブルに?
続いて、名前が挙がったのは「時間派遣業界」だ。
「ニッチな産業として伸びてきましたが、今後は大手の参入と競争激化が予想され、各社の差別化が難しくなっていくでしょう。加えて、『総労働時間を誰が管理するのか』といった労働基準法違反に問われかねない事例が直近で問題になっており、法規制の変更リスクが実は高まっています。今後の法改正次第では、法的トラブルに発展する危険性も高く、企業側には大きな負担です」(働き方改革コンサルタントの新田龍氏)
◆大きな変革を迫られている「コンサル業界」
そして、「コンサル業界」もまた、大きな変革を迫られている。経営コンサルタントの葛西幸充氏は、こう警鐘を鳴らす。
「自分たちの首が絞まる話ではあるのですが、AIの代替が一気に進むリスクを抱えています。特に、リサーチといった分野では、今や1か月3万円のChatGPTプロのほうが高精度なリポートを短時間で作成できる時代ですから。そういった意味では豊富な知識の蓄積が必要な士業も強みが急速に失われつつあります」
従来のやり方に固執するのではなく、新たな価値を創出する力が求められるのかもしれない。
◆10年後、倒産する可能性が高い業界
ゲーム業界
中国の桁違いの資本力にさらされているだけでなく、「古い技術で食べている企業も多く、スキルが得られない、成長できないという理由で人材の流出が激しい」(横須賀氏)
時間派遣業界
雇い主側は働き手の労働時間の管理をアプリ事業者に頼るが、複数アプリを一括で管理する仕組みはないため、総労働時間が160時間を超える事例が発生し、問題に
コンサル業界
「『ちょっと知っている程度』のコンサルタントは、もはや不要。これからは、AI以上のアイデアを生み出し、クライアントと協働できる能力が求められます」(横須賀氏)
【経営コンサルタント 横須賀輝尚氏】
特定行政書士でパワーコンテンツジャパン代表。著書に『プロが教える潰れる会社のシグナル』(さくら舎)
【働き方改革コンサルタント 新田 龍氏】
厚生労働省ハラスメント対策企画委員。ブラック企業をはじめ、劣悪な労働環境や人事制度などに精通する
【経営コンサルタント 葛西幸充氏】
アバージェンス代表取締役社長。実行支援・成果創出型のコンサルタントサービスを強みとする
取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/bambeam
―[[俺の会社倒産するかも!?]診断]―