サントリーは今年から、適正飲酒の大切さとお酒の価値を啓発する「ドリンクスマイルセミナー」を開始した。企業や自治体向けに実施していたが、「新入社員向けにもやってほしい」との声が多く寄せられることに。こうした声を受けて、新入社員向けのドリンクスマイルセミナーをスタートしたところ応募が殺到しているという。
セミナー担当者の大橋勇仁氏(戦略本部 経営企画部)によると、ドリンクスマイルセミナーの内容は大きく分けて2つ。知識パートと体験パートだ。知識パートではお酒の正しい飲み方や酔いのメカニズムなど、適正飲酒に関する内容を動画で解説する。アルコールパッチテストも実施し、自身のアルコール耐性を確認できるコーナーもあるという。
体験パートでは、神泡サーバーを使ってプレミアムモルツを注いで試飲したり、チューハイを飲み比べしたりする。1日のアルコール摂取量に配慮して少量ずつ提供するため、飲み過ぎる心配は少ないという。「実際に飲んでみることで、新しく好きなお酒に出会ったり、自分のお酒の好みを知ったりすることが狙いです」(大橋氏)。講師はサントリーグループの社員が担当する。
新入社員向けに実施し始めたきっかけは、セミナーに参加した企業からの「ぜひ新入社員研修の一環としてやってほしい」との要望だった。試しに取引先を中心に案内した結果、多くの企業から申し込みがあったそうだ。具体的な企業数は非公表だが、「正直、驚くほどの申し込みがありました。業種も製造、インフラ、金融、不動産、商社などさまざまです」(大橋氏)とのこと。各社で新入社員研修が本格化する4月からは、毎日数件の依頼が入っているそうだ。
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●なぜ、サントリーに依頼するのか
ドリンクスマイルセミナーの内容や運営方法は、一般社員向けと新入社員向けで変えている点はないという。乾杯の仕方や注ぎ方、上座・下座など「酒席のマナー」というコンテンツも用意しており、先方からの希望があればレクチャーするそうだ。
近年は、社内研修でアルハラについて取り上げる企業も多い。あえてサントリーにセミナーを依頼する理由について、大橋氏は2つあると分析する。1つはアルコールへの意識の高まりだ。「2024年2月に、厚生労働省が『健康に配慮した飲酒に関するガイドライン』を発表しました。社会全体でアルハラや適正飲酒に対する意識が高まっていることが、セミナー依頼につながっていると考えています」(大橋氏)
2つ目が、コロナ禍で社内交流が減ったことだ。「ドリンクスマイルセミナーはグループワークが多いです。実際にお酒を飲みながら参加する体験パートもあります。セミナーに参加しながらコミュニケーションを誘発できることが、一般的な社内研修と異なる点です」(大橋氏)。実際にドリンクスマイルセミナーに参加した企業からは「お酒について学びながら、社内の親睦にもつながった」「研修の最後に、打ち上げ感覚で参加しながら勉強できた」といった声が寄せられているという。
若者の酒離れが叫ばれている昨今、新入社員向けのドリンクスマイルセミナーは若者の「生の声」が聞ける貴重な機会とも言える。その声を今後の商品開発に生かすこともできそうだ。「いただいた声や反応を、今後の商品開発に生かす可能性もあります。ですが、ドリンクスマイルセミナーの目的は商品開発のためではなく、適正飲酒とお酒の価値を啓発することです。そこはブレないようにしていきたいです」(大橋氏)
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