写真 相手の同意なしに性行為をしたり体を触ったりした場合、不同意性交等罪や不同意わいせつ罪により処罰の対象となる可能性があります。ですが残念なことに、「カップルや夫婦なら問題ない」と考えている人も多いようです。
岩倉比奈さん(仮名・20代)は、数か月前から付き合いはじめた彼氏・裕貴さん(仮名・20代)とラブラブ。お互いスマホゲームが趣味ということもあり、相性も抜群だったと言います。ただ、ひとつの悩みを除いては……。
◆外出先でも触ってくる、恋人の“過剰なスキンシップ”
「付き合ってすぐから、お互いのマンション内だけではなく、スーパーやコンビニでもボディタッチしてくる彼の行動に悩んでいました。最初は、触れたか触れないかぐらいだったので、注意もできずスルーしていたんです」
すると、その行動はだんだんと大胆になり、明らかに触れていると感じるようになったとか。ただ、付き合ったばかりで裕貴さんのことが大好きということもあり、強くは注意できずにいました。「ちょっと……」と、苦笑いして注意するぐらい。
「でも、それが彼にとっては楽しいようでした。触るだけでなく、撫でまわしてくるようなこともあったので身をかわしたり手で払いのけたりして我慢していましたが、付き合って半年も経つと、その行動はさらにエスカレートしていきました」
◆耐えきれず友人に相談し、お灸を据えることに
とくに困ったのは、「背後に壁などがあると、スカートや上着の裾の方から、服の中にまで手を入れるようになってきたことです。それから私が本気で怒っても、笑って誤魔化してきちんと聞いてくれない彼氏の態度でした」と比奈さん。
「友だちに相談すると、別れも提案されました。でも、彼のことは大好き。別れることなんて考えられなかったので、ちょっとだけお灸を据えることにしたんです。そして、友だちと友だちの彼氏が協力してくれることになりました」
◆「公共の場で何してるんですか? 警察、呼びますよ?」
そしてある日、比奈さんは彼氏・裕貴さんとショッピングセンターを訪れ、その場所を友人にも共有。裕貴さんがお触りに没頭するよう誘惑し、友人を待ったのです。いつもは嫌がる比奈さんが積極的ということもあり、裕貴さんは大興奮。
「ショッピングセンター内にもかかわらず、裕貴は濃厚なほうのキスまで求めてきました。そして手は、上着の中から胸を撫でまわすという悪夢のような時間。友だちが彼氏を連れて到着しても、彼は2人の気配にまったく気づきませんでした」
そんな裕貴さんに、比奈さんの友人の彼氏が「公共の場で、何を卑猥なことしてるんですか? 警察、呼びますよ?」と声をかけます。すると次の瞬間、彼氏は口をパクパクとさせながら戸惑い、比奈さんのことを置き去りにしてどこかへ行ってしまったのでした。
「予想もしていなかった展開に、私も友だちもビックリ。最初は少しだけお灸を据えたら、『あの2人、実は私の友だちと彼氏だよ』と暴露して、公共の場で触られることが本当に嫌だったから協力してもらったと話すつもりでした」
◆「その後の彼氏の対応」に、ようやく別れを決意
でも、裕貴さんはどこかへ行ってしまったきり。しばらくは比奈さんに連絡さえありませんでした。友人とその彼氏にお礼を言って別れ、ショッピングセンターから自宅に戻った頃に、ようやく裕貴さんから「警察、大丈夫だった?」とLINEが入ります。
「その一連の様子から、比奈さんはようやく別れを決意しました。私が『もういい、別れよう』とメッセージを送ったときにはすぐに電話がかかってきましたが、『警察は?』との質問が第一声。私を置き去りにしたことへの謝罪や心配がなかったことに呆れてしまいました」
比奈さんがすべてを話すと裕貴さんは、「本当に悪かった」「すごく反省してるから、俺を見捨てないでほしい」などと何度も謝罪してきたとか。一瞬は許すことも考えたという比奈さんでしたが、やはり無理だったようです。
◆同意なしに体を触ってくる人とは別れて正解
「彼氏のことは大好きだったので、別れるかどうか、すごく悩みました。でも、体を触られている瞬間を友だちや会社の人など誰に見られているかわからないという恐怖もありましたし、それが噂になるなど日常生活に響く恐れもあったので、別れてよかったと思います」
たとえカップルや夫婦という間柄であったとしても、パートナーの同意なしに体を触るといった行為は法律に触れる以前に、相手の尊厳を傷つける行為。信頼や愛情を削いでしまうことにも繋がります。十分に気をつけたいものですね。
―シリーズ「男と女の『ゆるせない話』」―
<文/山内良子>
【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意。