目の前に札束をドンッ「この金額なら買うわ!」ディーラー営業マンが困惑した“一見客”の言動3選

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2025年04月01日 16:21  日刊SPA!

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※写真はイメージです
接客業をしていると、いろいろなお客様の対応をします。過去に付き合いのなかった、いわゆる一見のお客様の場合は素性がわからないので探り探りです。そのなかには、「ちょっと変わったお客様」もいました。
今回は、筆者(宇野源一)がディーラーに4年間勤めていたときに対応した、ちょっと変わったお客様とのエピソードを3つご紹介します。

◆札束でモノをいわせる「この金額にしてくれたら買うわ!」

とある平日の昼下がり、ショールームで待機していると、やってきたのが他社メーカーのセダンタイプの車。

「スポーツタイプのセダンが欲しい」ということで試乗車をご用意し、カタログでご案内していました。実はこのお客様、今乗っている車の車検が翌月末に控えているとのことで、少し急いでいるご様子。

希望のグレードやオプションをヒアリングしているときに「条件が合えばこの場で契約するよ」との一言もあり、見積書の作成に力が入りました。当時勤務していた店舗では、一見のお客様を「店頭」、初回商談で契約をいただくと「一発受注」、併せて「店頭一発」と略されていました。

久々の店頭一発を決めようと、私は意気揚々と商談デスクに座って見積書を出しました。すると、お客様はおもむろに「この金額にしてくれたら買うわ!」とテーブルに札束を4つドンッと置かれました。

値引き条件は少々厳しかったですが、店舗としても欲しい契約だったので交渉に応じました。高額紙幣のやり取りはリスクが大きいので、振り込みで対応するのが基本。皆さんは真似しないようにしてくださいね。

◆車の色をめぐって兄弟喧嘩

2つ目のケースは、30年前の他社メーカーの車で来店された40代男性。これも一見のお客様、いわゆる「店頭」でした。「コンパクトカーが欲しい」とのことで車を提案し、試乗、見積書を提出しました。

このお客様も「条件さえ合えばその場で契約します」というので上司に報告し、目一杯の条件を提示。すると最終的に「兄も乗る車だから、2時間後に兄も一緒に来て話の続きをしてもいいですか?」とのこと。

2時間後、兄弟で来店されました。お兄さんも車を試乗すると、気に入っていただいた様子。そして、いざ契約!というときに事件が勃発。

「車の色はどうする?」

そこで兄弟の意見が分かれたのです。弟さんは「赤い車がいいよ」と言っていたのですが、お兄さんが「葬式にいくこともあるんだから、暗い色にしなきゃだめだ!暗めの紫色にしよう!」というのです。取っ組み合いの喧嘩が起こりそうな勢いだったので「グレーとかはいかがですか?」と提案。カラーサンプルで色を確認してもらい「これなら」とご契約をいただきました。

◆県外から来店「たまたま通りがかった」と言うけれど…

車は高額な買い物ですから、ニコニコ現金一括払いというわけにはいきません。親御さんからお金を借りる人もいればローン契約をする人もいます。今回も「店頭」のお客様のエピソードなのですが、来店アンケートをとると、その人の住所は隣の県でした。車で1時間以上かかる場所です。なぜここに来たのか聞いたところ、「たまたま通りがかった。地元のディーラーでもいいのだけど、ここで良い条件が出たら契約してもいい」とのこと。

ちょっと怪しさのあるお客様でしたが、買いたい車の条件もある程度は定まっていたので、カー雑誌などでよくある「県またぎの商談」として対応することに。最終的な条件が決まっていざ契約の段階でローンの審査を行うことに。審査依頼を送って10分後、ローン会社から「否決」の回答が……。別のローン会社で審査をしても回答は同じ結果に。

それをお客様に伝えると「あー、やっぱりそうですか。じゃあいいです」と、あっさりとした様子で引き下がりました。よくよく聞いてみれば、携帯電話のローン返済が滞っていたことがあり、自宅近くのディーラーでダメだったのでダメ元で県外まで来たとのこと。ローンは全国どこで申し込んでも結果は同じということを知らないようでした。

変に嘘をつかず最初から言ってよ……という案件でした。

<文/宇野源一>

【宇野源一】
埼玉県在住の兼業ライター。大学卒業後、大手日系自動車ディーラーに就職。その後、金融業界の業務・教育支援を行う会社に転職し、法人営業に従事しながら、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP資格を取得。X(旧Twitter):@gengen801

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