「不安で眠れません」逮捕に怯えるオンラインカジノ利用者…なぜ今になって摘発ラッシュが?

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2025年04月01日 16:21  日刊SPA!

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「パチンコや麻雀などと同じで、オンラインカジノもグレーだと思っていた。いつ警察が来るかと日々おびえています」と話す林さん
 オンラインカジノ客の摘発が増え、ヘビーユーザーたちが逮捕の可能性に震えている――。かつては大手メディアでさえ大々的に広告を打っていたものが、今になって逮捕者続出の背景とは? その真相に迫る!
◆「捕まったら人生終わる」利用者の告白

 今年に入り、有名人のオンラインカジノによるトラブルが相次いでいる。1月には五輪メダリストの丹羽孝希選手が書類送検され、2月も吉本興業に所属する芸人が事情聴取を受け活動自粛を発表。

「ニュースを見て、自分も逮捕されるんじゃないかと不安で夜も眠れません」

 そう話すのは、関東で会計事務所を経営している林洋介さん(仮名・35歳)だ。

「もともと韓国やマカオで“リアル”カジノを楽しんでいましたが、コロナ禍で海外に行けず、世間体的にも国内のパチンコすら行けない状況に。そんなときCMで『ベラジョン』というオンラインカジノを知り、すぐに飛びつきました」

 射幸心を煽るサイトの作りに加え、24時間アクセスできる手軽さから、林さんは依存状態に陥った。

「これまで累計20万ドルほど投入し、一度に1万ドルベットすることも。オンライカジノの多くは海外では合法サイトですが、日本からの送金は難しく決済代行業者を使います。SNSなどで業者に連絡すると、振り込み期限と口座を伝えられるので、入金したい額を振り込みます。すると5分と空かずにオンラインカジノのキャッシャー(口座)に入金分のポイントが反映される。正直、プレイで勝ったときよりも、振り込んだカネが反映された瞬間のほうが気持ちがいいですね」

◆決済代行業者から芋づる式に逮捕

 オンラインカジノは日本ではグレーと知りつつ、自分が摘発の対象になるとは思っていなかったと語る林さん。

「逮捕されて名前が報道されたら、僕は一気に社会的地位を失うでしょう」と震える。

 そもそも、今になってオンラインカジノの摘発が進んでいるのはなぜか。カギとなったのが、林さんも利用していた決済代行業者だ。

 事情に詳しい週刊誌記者のA氏は語る。

「転機は’22年に山口県阿武町がコロナ給付金を誤って個人に送金した事件。逮捕された田口容疑者は、誤送金された給付金のほとんどをオンラインカジノの決済代行業者に送金していました。オンラインカジノのユーザーの多くは自身の口座から決済代行業者へカネを振り込んでいるので、そこを取り締まれば、履歴をもとに利用者を特定することができる。この事実に警察も気がついたのでしょう」

◆日本人の2.8%が“オンカジ”利用との推計も

 また、日本にオンラインカジノがここまで普及したきっかけについて、国際カジノ研究所所長の木曽崇氏は次のように語る。

「コロナ禍でオンライン購買が増加したうえ、その少し前から世界のオンラインカジノ業者が日本を重点市場として進出し始めていたことから、不運にも需給が一致してしまったんです。昨年、弊社で国内の男女6000人を対象に行った『間近1年にオンラインカジノで賭けを行ったことがある』という調査では、約346万人、総人口の2.8%に相当すると推計されました。潜在人口はもっといるはずです」

 特に大きかったのが、メディアの影響だという。

「オンラインカジノの広告がテレビや新聞、雑誌、SNSなど至るところで掲載され、しかも広告塔には有名人も起用されていました。もちろん違法性の認知などまったくなされないままに、です」

◆「政治的要請」と「逮捕の手段」が揃って逮捕ラッシュに

 海外のサイトであっても、日本からアクセスして賭けを行えば賭博罪に問われる。

「’16年に一度摘発があったものの不起訴処分となり、それ以降は警察も二の足を踏んでいました。その後、山口県阿武町のコロナ給付金誤送金事件で改めて問題視され、依存症の問題や近年は闇バイトのきっかけにもなると危険性が指摘されていました。そこで’24年7月、公明党が『オンラインカジノ問題』の対策強化を提言。この政治的要請を受けて取り締まりが急速に進行したわけです」

 この「政治的要請」と、前述のように決済代行業者から芋づる式にユーザーをたどる「逮捕の手段」が揃ったことで、今回の摘発ラッシュに至ったのだ。

 とはいえ、現行法では対策にも限界があると、木曽氏はいう。

「いっそオンラインカジノを合法と認め、制度的に管理しながら経済活動の一部として活用するほうが建設的だと個人的には考えています」

 見解はさまざまだが、現時点では違法と周知されたオンラインカジノ。今後も逮捕リスクは高まりそうだ。

【国際カジノ研究所所長・木曽 崇氏】
ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒。日本で数少ないカジノの専門研究家。著書に『日本版カジノのすべて』(日本実業出版社)

取材・文/週刊SPA!編集部 写真/産経新聞社

―[[オンカジ逮捕者続出!]の真相]―

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  • ドラクエ4でしかやったことないな・・・ラスベガスに行ったけど、スロットに触りもしなかった。
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