上司から有休明けには「菓子折り」を持っていくのが“マナー”だと教わったけれど…本当に必要なの?

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2025年04月01日 21:51  All About

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会社で働く人の権利である「有休」ですが、そこにはさまざまな“モヤモヤ”が横たわっているようです。今回は、「有休明けの菓子折り」に関するお悩みについて、社会保険労務士の小西道代が回答します。
心身の疲れをリフレッシュし仕事の生産性を上げるのに役立つ「有休」。ただ、会社内の暗黙の了解による“有休マナー”なるものによって、むしろモヤモヤしている人も少なくないようです。今回はAll About編集部に寄せられた有休のお悩みについて、社会保険労務士の小西道代が解説します。

有休明けに菓子折りを持っていくのがマナー?

【今回のお悩み】
私の働いていた職場では有休を取ったら周りに迷惑がかかるので休み明けに菓子折りを持っていく暗黙のルールのようなものがありました。

上司からはこれがマナーだと教わりましたが、本当にマナーだったのか、そのルールが必要だったのか今でも謎です(40代女性/千葉県在住)。

有休は働く人の権利だけれど

【回答】
「有休を取ったら周りに迷惑がかかる」と考えてしまって、休み明けに肩身の狭い思いをする人もいるかもしれません。

有休は労働基準法で定められた働く人の権利であり、日々の業務で疲れた心身をリフレッシュさせるとともに、生産性の向上やより良いパフォーマンスを期待できるという意味で、会社にとっても有益な休みといえます。

また、一緒に働く周りの人も有休を取る権利があるため、休み中の仕事をフォローし合うのは「お互いさま」ともいえます。

しかし、有休を取りにくい雰囲気の職場があることも事実で、日本は先進国の中でも有休取得率が低く国際的にも批判されています。休みにくい雰囲気は、職場環境の悪化とともに、ワークライフバランスを重視する若い人の離職にもつながりかねません。

パワハラに当たることも

「周りに迷惑がかかるから」という理由で自主的に菓子折りを持って行くのであれば、気持ちの表れとしてマナーの範囲かもしれませんが、休み前に旅行先を伝えたために、上司や同僚から「〇〇に行くなら〇〇買ってきてね!」などと頼まれてしまうと、いくら悪気がないとしても、強制されたように感じる人もいるかもしれません。

これは、厚生労働省が定める「パワハラ6類型」のうち、菓子折りを持って行かなかったら「非常識な人と思われるかも」と心理的な圧力をかける行為の「精神的な攻撃」、お土産を買ってくるという業務外の行為を強要する「過大な要求」に該当する可能性があります。

休み明けに菓子折りを持って行くという暗黙のルールを、過度に押しつけられたり、無言の同調圧力がつらいと感じたりする場合は、上司または職場のハラスメント相談窓口へ相談しましょう。

近年はパワハラ防止法(労働施策総合推進法)などの法整備が進んでいることで、職場の暗黙のルールに対する意識も変化し、以前は当然とされていたことも見直されつつあります。特に若い世代はプライベートを大切にするために、有休を取ることに躊躇(ちゅうちょ)しない傾向があります。

今の時代、仕事をフォローしてくれた周りの人に対して「菓子折りを持って行くのがマナー」とは言い難いのではないでしょうか。

<調査概要>
仕事で有休を取得する際のマナーに関する疑問
調査方法:インターネットアンケート
調査期間:2025年1月28〜29日
調査対象:全国10〜70代の男女100人

<参考>
厚生労働省「パワハラ6類型」

小西 道代プロフィール

社会保険労務士法人トップアンドコア代表。行政書士法人グローアップ代表。大学卒業後、日本マクドナルドに入社。幅広い年齢層と共に働くことで、労務管理・組織運営に興味を持ち、弁護士事務所等で経験を積む。自身も喫茶店を経営した経験から、労務トラブル予防の労務相談を得意とする。All About 労務管理 ガイド。
(文:小西 道代(社会保険労務士・行政書士))

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