
客の見た目で接客態度を変えてしまうと、思わぬ痛い目を見るかもしれない。東京都に住む50代の女性(公務員/年収700万円)は20年ほど前、夫婦で新築マンションのモデルルームを訪れた際、くわえタバコの営業マンから見下されたことを振り返る。世帯年収950万円の夫婦だったが、ラフな服装で行ったためか
「このクラスのマンション買うんだったら年収400万円以上ないと無理なんですよ。ローン組めないんですよ」
とニヤニヤ笑いながらと指摘された。侮られて腹を立てた夫は
「なんだ、400万円程度の年収で買えるの?じゃあ安普請なんだね。おいこの近くにもう1軒ここよりグレードの高そうなマンション建ててただろ。そっち行くぞ」
と反撃。妻の手を取り「マンションてさぁ、案外安いよな」と捨てゼリフを吐きながら会場を後にした。そこまでは前編で紹介した通りだが、話はここで終わらない。(文:篠原みつき)
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「安いマンションだったから簡単に全部売れたでしょう」
その後、夫婦は別のマンションを購入し、引っ越したという。するとある時、意外な人物と鉢合わせした。
「しばらくして、私たちがマンションのエントランスから出てきたとき本当に偶然、その時の営業マンと顔合わせました」
不快な思いが蘇ったのか、夫は営業マンに対して煽るような言葉をかけた。
「『安いマンションだったから簡単に全部売れたでしょう』と旦那はニヤニヤ笑っていました。『ここのマンションはそちらよりは結構高額だったから、まだ2つ3つ空いてるみたいだよ』と付け加える周到さ」
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ちょっと嫌味が過ぎるような気もするが、さぞかし溜飲を下げたことだろう。営業マンは苦々しく思っていたに違いない。
「その後18年ほどして夫は病気で亡くなりましたが、そのマンションと3000万円ほどの預貯金を私に残してくれたので、私は夫との思い出を大切にしながら、定年退職まで頑張って働こうと思っています」
こう後日談を明かした女性。マンションの資産価値には相当の自信があるようで、
「ちなみに夫が残してくれたマンションは、中流家庭以上の人ばかりが住んでいて、きちんと挨拶も交わすし、管理費の滞納もゼロ」
と胸を張る。住人同士のトラブルもなく、住み心地も良かったようで何よりだ。
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