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2025年04月02日 12:31 ITmedia PC USER
こんにちは! refeiaです。
今日はちょっと久しぶりにHuionの液タブ、「Kamvas 16(Gen 3)」を見ていこうと思います。
コストと品質のバランスに優れた海外メーカーの中でも、XPPenと並んで二大メーカーと言えるHuion、彼らのカジュアル寄りの主力モデルの1つが本機です。
非「Pro」モデルでありながら、上位機に近いスペックを持ち合わせた本機の実力はいかほどか……。早速見ていきましょう
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●Kamvas 16(Gen 3)の主なスペック
まずは主なスペックをチェックします。
・15.8型フルラミネーション液晶
・2560×1440ピクセルの解像度
・sRGBカバー率が99%/Adobe RGBカバー率は90%
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・PenTech 4.0世代のペンが付属
扱いやすい中型機で、荒くも細かすぎもしない2560×1440ピクセルの解像度は好感が持てます。また、2024年に「Kamvas Pro 19」などの上位機に採用されたPenTech 4.0世代のペンシステムが付属しています。広色域ディスプレイなども含めて、全体的に上位機に近い仕様になっています。
その代わり、ということなのでしょうが、公式ストアの通常価格は7万9980円(執筆時点では15%オフの6万7983円でセール中)です。海外メーカーのスタンダードモデルとしては比較的しっかりした価格になっていますが、この仕様でちゃんと動いてくれれば十分にリーズナブルと言えるはずです。今回はそのあたりに注目して見ていきましょう。
また、同シリーズで13.3型の「Kamvas 13(Gen 3)」も発売されています。こちらも基本的に本機と同じレベルの製品だろうと思いますが、本機よりはかなり安い(スタンドなしモデルの通常価格は3万9980円/セール時は3万5182円)ので、小型機が好みの人やコストを抑えながら上質なものが欲しい人はチェックしておくと良いでしょう。
●美しいデザインの本体
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さて、本体を見ていきます。ナローベゼルで加飾を控えながらもボタン類のビジュアルが個性になっていて、単にソリッドなだけではない独特のかっこよさを持っています。個人的にはかなり好きなデザインです。
左側にはキーが6つ、中心のボタンで機能を切り替えできるダイヤルが2つ搭載されています。
接続は、HDMIのPCには「三つまた」のケーブル、USB Type-Cから映像出力できるPCにはType-Cケーブル1本で接続できます。電力の供給力が足りないPCにも対応できるよう、ACアダプターとUSBケーブルも付属しています。
電源用USBケーブルを延長できるケーブルや、角度調節可能で汎用(はんよう)性のあるスタンドも付属しており、最初からコンプリートで詰め込んでくる海外メーカーらしい構成です。
●キャリブレーション済みのディスプレイ
ディスプレイもチェックしていきましょう。本機はsRGBモードのキャリブレーション報告書が添付されており、デフォルトでsRGBモードが選択されています。
また、広色域ディスプレイでもあり、「99% sRGB」「99% Rec. 709」「90% Adobe RGB」をうたっています。実際にネイティブモードで測色器にかけてみましたが、Adobe RGBとP3系を両取りできるタイプのディスプレイのようでした。
ただし、ディスプレイのプリセットには「Display P3」や「DCI-P3」はないため、P3系の広色域を使いこなすには追加の手間や費用が必要になります。
2560×1440ピクセルの画面表示は、フルHD(1920×1080ピクセル)ほどドット感が目立つこともなく、4KのようにPCの負担になりそうでもなく、ちょうど良い細かさです。アンチグレア処理も細かめで程よくシャープな見え方なので、文字を表示するような一般用途でも使いやすいでしょう。
●ドライバアプリはやや質素 一部不具合も
ここまでは非常に印象が良く、スタンダードモデルながらラグジュアリー感がある出来栄えです。ですが、ドライバとアプリを使用していると、機能や見た目の洗練されていない点が目に付き、少し感覚が引き戻されます。手元で使う限りでは以下の点が気になりました。
・キーマクロに名前を付けられない
・途中で装飾キーが変わるキーマクロを登録できない
・UIの漢字が中国語フォントで、わずかに中国語で表示されるUIも存在
また、SNSやフォーラムで検索すると、Huionの機材ではペンの動きが引っかかる不具合の言及が比較的よく見られるようです。
手元で4台の異なるPCで試してみると1台で発生し、そのPCではWindowsのクリーンインストールをしてドライバだけを入れた直後でも、別のHuion板タブを使っても、不具合は発生していました。
この問題は、2つのペンAPI「Tablet PC」と「WinTab」のうちのTablet PCを使うアプリで発生するようです。イラスト制作に使うアプリの多くは問題ない方のWinTabをデフォルトで使うので、不具合が出ているPCでも影響を受けないまま過ごせる可能性は高いです。
もし影響を受けてしまったら、ドライバの設定で「ウィンドウズインクを活性化」を無効したり、Photoshopの場合はソフトウエア診断から「WinTabの有効化」したりすることで、問題を迂回(うかい)できる可能性があります。
CLIP STUDIO PAINTなどを使っていればわざわざ設定を変えない限り遭遇しないでしょうし、いずれ直る問題のはずですが、本機を検討するなら使いこなし知識として記憶の端にとどめておいても良いでしょう。
●描き味と完成度が向上したペン
ペンもチェックしていきましょう。本機にはPenTech 4.0のペンシステムに対応した軽量タイプのペンが付属します。上位機に付属していた通常のペンと細ペンは、オプションとして購入できます。
また、サイドボタンが3つあるので従来機に比べてカスタマイズ性が高まっています。
遅延やジッターなどのチェックを一通り試してみましたが、今どきこのあたりの問題が残っていることはまれですし、本機も問題ありませんでした。先のモデルで発生していた、傾ける向きによってはカーソルがずれる問題も、本機では修正されているようでした。このあたりの、作りながらどんどん直していくスピードは海外メーカーならではですね。
筆圧の反応も良好です。軽い筆圧から強い筆圧まで、だいたい意図した通りにコントロールできて、ブラシ設定を変えないまま無理ない力の範囲で薄く〜ベタ塗りまでコントロールすることができます。
古い世代のペンではあるあるだった、さして強くない筆圧なのに反応が頭打ちになってしまう問題も、今となっては心配する必要はありません。
ただし、付属の芯が1種類だけです。描き味の選択肢が欲しい人はオプションの「フェルトペン先」を検討しても良いでしょう。アンチグレア処理が細かいこともあって標準の芯はスルスル滑らかで、筆圧をかけても摩擦がそれほど強くなっていかないタイプの描き味でした(例によって最初に布で画面をふくと摩擦感が安定します。念のため)。
●いつもの魔女さんで実用チェック
さて。ここまで見てきて、ドライバアプリが若干洗練されていないのが残念なことと、ペンに太さや芯の選択肢を加えるにはオプションの購入が必要なこと以外は上位機に近い、ということが分かりました。
ここからは、実際にいつものイラストで実作業をなぞりながら使用感をチェックしていきます。
ラフ〜線画は、実は2024年にレビューしたプロモデルのKamvas Pro 19よりも印象が良いぐらいでした。
というのも、Kamvas Pro 19は表示遅延が少しあり、本機の方が遅延感も少な目です。ペンを素早く動かしていろいろと試したいラフの工程や、集中して線の様子を見ながらペンを引きたい線画の工程では、遅延によるモッサリ感やペン先から線が離れている様子は気になりやすいです。
筆圧のコントロール性が良いからか、それともドライバに制御でも入っているのか、いずれにせよ意図したとおりにスッと自然に抜ける線を安定して描くことができました。
彩色も同様で、多少のブラシ設定の調整をした後は、意図した通りの濃さやグラデーションをつけながら塗れました。ごく軽い筆圧の自然さはもう少しあってもいいかなと思うものの、あくまで自分の実制作では使わないようなふんわり筆圧を試しているときに感じ取れる程度です。
ペンとディスプレイの品質には感心する一方、本体のキーはあまり使いませんでした。ダイヤルはチチチ……と軽い力で小気味良く回るし質感も良いのに対して、キーは力を入れづらい位置にある割には感触が重く、ちぐはぐな感じです。
素早い操作をし続けるなら、安定した位置に配置できるキーボードや左手デバイスの方が快適ですし、ならばと思って頻度が高くないキーマクロの用途にするにも、先に書いた「途中で装飾キーが変わるパターン」を登録できないので利用機会が減ります。
全体として、自分は元々キーボード派なために本体のキーを使わなくても作業効率に大きな問題はなく、ドライバアプリも作業中にはそれほどごちゃごちゃ操作するわけではないので、ほとんどの時間を快適に過ごせました。
●まとめ
それでは、まとめていきましょう。
Kamvas 16(Gen 3)は、価格/性能/サイズなど、いろんな意味で「趣味から入って仕事までいける」特徴を持った貴重な液タブの1つです。ディスプレイとペンは上位機に近い性能/品質があり、込み入った制作や、納期の制約の中で集中してペースを上げるような用途でも、ユーザーの作業を妨げる要素が少ないです。
また、趣味には手軽なサイズや手軽な設置性は必要ですが、これより小さければ趣味に寄りすぎ、価格もこれより高ければ趣味でそこまではちょっと、となる人が多いでしょう。このクロスオーバー感こそが本機の真価で、13型モデルが同じシリーズでありながら大幅に安いのも、そのあたりが関係していそうです。
一方で本体キーの押し心地や、ドライバアプリの洗練度については改善の余地があります。ソフトウエアは表に出る画面がキレイで必要な機能が入っていればいいんだ、という考え方もあると思います。ですが、バリューとぜいたく感を両取りできている本機には、ドライバアプリにもリッチ感がある状態がより似合っているはずです。
いずれにせよ、仕事で使うならば必要十分な性能とリーズナブルな価格を、趣味で使うならば余裕ある性能や質感を楽しめるモデルです。予算にゆとりがある入門者なら初手で狙ってもよく、中級者以上がエントリー液タブや古めの液タブからのステップアップとして検討するのにも適していると言えるでしょう。
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