写真はイメージです 主要都市だけでなく、地方でも細かく指摘されるようになりつつあるセクハラにパワハラ。職場では下ネタトークや雑談もできないとストレスを溜めている人も多いようだが、その発散方法を間違えてしまうと、それこそ大変なことになるかもしれない。
◆50代常連客のセクハラがエスカレート…
千葉文香さん(仮名・30代)は、5年以上前にキャバクラをオープンさせたばかりの頃からの常連客・Hさん(50代)に頭を悩ませていた。Hさんは社員4人を抱える中小企業の経営者で、金払いはよかったが、店での振る舞いが最悪だったとか。
「テレビだったらピーを入れないと放送できないような気持ち悪い下ネタトークに、女の子たちへのお触り。『金払ってるんだからいいだろ』と、服の中に手を入れて胸やお尻を触ろうとすることもありました。最初は明るくて面白い社長さんだったのに、いつの間にかそんなふうになってしまいまして……」
ただ、「店が苦しいときには、余分に金を払って支えてきてやった」などと自慢気に話すHさんの言葉もウソではなかったため、文香さんを中心にベテランの女の子が対応。また、いつもHさんが連れてくる“切れ者の部下”の上手なあしらいにも助けられていた。
「部下の人は、いつも制止役。お触りや気分が悪くなるような下ネタ話がはじまると、Hさんの機嫌を損ねることなく話を逸らしてくれたり、トイレから戻ってきたときによろけたフリをして女の子との間に入ってくれたり……。店側としては本当に助かっていました」
◆一人で来店して部下の悪口を言うように…
ところがHさんは、だんだんと自分の邪魔をする部下を許せなくなっていった模様。部下の仕事ぶりをバカにして酒のツマミにしようとしたが、女の子たちが部下を庇うことが気にくわなかったようで、ついにはHさんがひとりで来店するようになってしまう。
「それ以降は、新しく入った女の子の腕を強引に引っ張って隣に座らせるなど、態度がさらに悪化しまして……。私の店では、誰もHさんのようなの飲み方をする人はいません。そのため、まわりのお客さんのほうが心配して私に声をかけてくれることもありました」
◆取引先の社長が来店する“まさかの事態”に
そして、いよいよHさんに出禁を言い渡すべきか考えていたときのこと。Hさんの会社に仕事を発注している企業の社長(30代後半)が、たまたまやってきたのだ。その社長はすぐにHさんに気づいたとか。
「その社長をはじめて店に連れてきたのはHさんでした。社長は紳士的な飲み方をしてくれる人ですが、一人でお店に来てくれるのは珍しかったですね。Hさんと鉢合わせたのも、そのときがはじめてだったのではないでしょうか」
社長は一瞬、Hさんに挨拶しようとした感じだったという。けれどHさんは、女の子への嫌がらせに熱中していてまったく気づかない……。
◆Hさんのセクハラ行為に社長が言い放った“会心の一言”
そしてHさんは、手に持っていた1万円札を女の子の胸の谷間に無理矢理ねじ込むと、そのまま胸を触りはじめたのだ。
「その瞬間、社長がHさんの手をつかみ、『お金を払ってるからって、何でもやっていいわけじゃないですよね?』『ウワサになってますよ。人の嫌がることをする人がいる企業への発注は難しくなります』とキッパリ言ってくれたんです」
Hさんは青ざめ、そのあとは行儀のよい客へと変貌したという。
◆社長から注意を受けて文香さんも反省…
胸を撫でおろした文香さんだったが、社長からは「店の女の子たちを守るためには、あなたがしっかりしないといけない」「人は調子に乗る。エスカレートする前に注意するべきだったと思う」と注意を受けたと話す。
「社長の言うとおりだと思いました。経営者なのに、自分や店の売り上げばかり考えて、女の子たちの気持ちに目をつぶってしまったことを反省しまして……。働いてくれている女の子たちを大切にできるかどうかも、経営者として大切なことだと気づかされました」
その後、社長と来店することも多くなったHさんは行儀よく飲むようになり、「紳士的な飲み方のほうが、女の子たちにも好かれる」と上機嫌。円満解決となったようだ。
自分だけでなく誰もが気持ちよく過ごせる方法を模索すれば、新しい発見があるかもしれない。
<TEXT/山内良子>
【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意