『おいでよ ポインティの相談天国』(祥伝社)佐伯 ポインティ(著)ぷくぷくの赤ちゃん肌、ほわほわの体、メガネの奥の目はいつでもやさしい。「ねえ、聞いてよ!」ってすがりつきたくなる、佐伯ポインティさん。
『おいでよポインティの相談天国』(祥伝社)は、「佐伯ポインティの生き放題ラジオ!」(Spotifyの日本デイリーチャート最高順位1位を獲得)をまとめた1冊です。
◆伝説の「猥談バー」オープンし猥談系YouTuberへ
ポインティさんといえば、日本初の完全会員制「猥談バー」(実は私も会員でした。現在は閉鎖しています)をオープンさせ、その後は猥談系YouTuberとして活動。
ポインティさんの言動や笑顔には、心の中でガチガチに固まった悩みを甘くとかして食べちゃうぞ、という不思議な力があるのです。
◆初体験は積立NISAのようなもの?
呼吸と同じくらい悩みの数がついて回るのが人生。年齢を重ねれば悩みの種類は変わりますが、つらさは世代を問いません。
「『初体験が高校生の時』って言っている人、けっこう多いように感じるけど、ほんとにそうなんですかね……?」
こんなみずみずしくてまぶしい悩みは、15歳の女の子からよせられました。
実際、初体験の年齢をリアルに公言している人っているのでしょうか。初体験につながる性欲にしても、人間の三大欲求のひとつとはいえ、ほかの二つの欲求とは異なります。
睡眠欲と食欲は満たさないと死んでしまいますが、性欲が枯渇して亡くなった、という話はありません。まあ、生きる気力がなくなる、というのはありますが。
ポインティさんのコメントは「『初体験しといたほうがいい?』は『積立NISAしといたほうがいい?』に近いよね」。
つまり、周囲の意見、それも自身をとりまく狭いコミュニティの意見がすべてになってしまって、「やらなきゃダメ?」な空気に飲み込まれてしまうという意味。
自分が、「高校生のうちにしたい!」のならすればいいし、「まだこわい…」のならやめておけばいい。
世間をにぎわす積立NISAと同等なわけです。メディアがあおって、一部の情報だけを鵜呑みにして、みんなやってるからやらなきゃダメらしい、という具合に踊らされてしまうのですね。
積立NISAも初体験同様、心の底から「積立NISAやりてぇ!」となればやればいいのです。
◆整形やダイエット、可愛いの基準とは
「顔面至上主義の社会になってきていることに不安を感じています」
22歳の女性ならではの悩みでしょうか。整形が身近になり、可愛い人も増え、ルッキズム問題が浮上する中で、かえって差別化も叫ばれている気もします。
生きにくい世の中で、自分を大切にしてあげるにはどうしたらいいのか、若い女性だけではなく、老若男女、誰しもが思い悩んでいるはずです。猥談バーをはじめとして、様々な人と出会ってきたポインティさんは言います。
「顔のパーツとか配置とか、そういう部分の奇麗さや美しさより、『表情筋』が重要なんじゃないかなって思ってる」
表情筋というのは、人生の縮図なのです。確かに、可愛いとか、美しい、という感覚は人によって違います。さらには、顔のパーツや形状は永遠ではありません。でも、つちかった経験がにじみ出る表情筋の魅力はきっと、裏切らないのです。
「心や感情は整形できないやん」と、あっけらかんと語るポインティさんの表情筋は、頬ずりしたいほど愛おしいのです。
◆シングルマザーでも恋愛したい
恋活に婚活まっしぐら!33歳は、それが十分許される年齢です。でもシングルマザーだとしたらどうでしょうか。
「シングルマザーで仕事に子育てに忙しいはずなのに、恋愛のチャンスを探してしまう」
なんとも切ない悩みです。とりわけ日本人特有の、〜しなくてはならない、〜してはいけない、という縛り、しんどいですよね。
なぜか日本人のDNAにしぶとく居座る、〜しなくてはならない、〜してはいけない病。
シングルマザーだから〜してはいけない、と33歳の相談者を縛り付けているのは、ご自身かもしれません。きっと、責任感が強く真面目で努力家なのです。だからこそ、悩んでしまうのです。
「人間は多面体。恋愛をしたいあなたも本当の自分なんだよ」と、ポインティさんは穏やかに諭(さと)します。
子供のママとしての時間も満たされていて幸せでしょう。子供のママとして落ち着きたい、と思う自分がいれば、でも恋もしたい〜と思う自分もいる。どっちが正しいのか、ではなく、両方とも正真正銘のあなたで、愛すべき一面なのですよね。
子供の幸せは、ママの幸せと比例するのではないでしょうか「幸せに生きていくことってすごい大事じゃんね」というポインティさんの言葉を胸に、恋愛モードを解禁してほしいです。
◆人にやさしく、の前に自分にやさしく
「仕事でパワハラされてから、気持ちが落ち込んで上がらない」
26歳の女性の悩みは、あちこちで起こりうるかもしれません。パワハラガチャとでもいうべき災難です。自分に非がないからこそもどかしく、恐怖や嫌悪で怒りもくすぶったままでしょう。
「パワハラされたってことは、誰かに尊厳を踏まれたわけだよ。そしたらもうそこには踏み跡、足跡がついちゃってる。それって元通りにはならないじゃん」とポインティさん。
あなたは絶対に悪くない、というのを前提に「もしかしたら、前の自分にはもう戻れないかもしれない」と言います。一度歯車が狂ってしまうと、前はこんなはずじゃなかった、と苦しくなるかもしれません。
そんな時こそ「変化に対して優しくいることが大事」。
自分の変化を外側から見つめて「こういうのも自分なんだな〜」と労(いた)わって過ごしていく。するといつしか世界が広がって、一段上の美しい景色を眺められるのです。
「回り道も、良い景色」
どんな悩みも、あなただけの宝物になる日が必ず来ます。
「あんなこともあったね〜」と笑い飛ばせる老後を、ポインティさんと一緒に目指していきませんか。
<文/森美樹>
【森美樹】
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx