【フィギュア】世界選手権Vのアリサ・リュウ「大きなパーティーのように盛り上がった」 五輪シーズンはトリプルアクセル解禁へ意欲

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2025年04月03日 10:20  webスポルティーバ

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世界女王 アリサ・リュウ インタビュー後編(全2回)

 2年間競技から離れ、今季に復帰したアメリカのアリサ・リュウ(19歳)。シーズンを通して調子を上げていき、復帰のシーズンに世界女王の座に駆け上がった。世界選手権での戦い、そして2026年のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪に向けたモチベーションについて、インタビューに答えた。

【初の世界女王にも「どの大会も同じ」と冷静】

ーー世界選手権の優勝おめでとうございます。あらためて、2日たって(ボストン現地時間3月30日取材)、気持ちに変化はありますか?

アリサ・リュウ(以下同) もうすっかり落ち着いています。世界選手権で優勝したからって、自分の人生の目標やライフスタイルには影響しないので、あまり深く考えないようにしています。本当にクールな経験をしました。でも、もう2日前のことに過ぎない、という気持ちです。もう次に集中すべきことがあるし、私は過去を振り返らず、前に進みたいのです。

ーー集中すべきこととは?

 まずオフシーズンがとても楽しみです。家に帰って、新しいプログラム曲を探したり試したり、いろいろな振り付けのアイデアを考えたり。私にとっては、新しいことをするのが何よりもエキサイティングなこと。もう来シーズンが始まるまで、長すぎる気がします。

ーー過去を振り返らないということですが、今回の世界選手権の演技について聞いてもいいですか?

 今回は、ショートプログラムもフリーも、本当に楽しむことができました。とくにフリーは、まるで大きなパーティーのように盛り上がりましたね。ステップシークエンスは本当に楽しくて、心が開放されたような最高の気持ちでした。

ーー大会前に、試合で緊張や過度の興奮はしないと話していましたが、世界選手権という大舞台では、緊張はありませんでしたか?

 まったく変わらないです。私にとっては、どの大会も同じです。名前が違うだけ。それにプレッシャーを感じない理由は、世界選手権で優勝しても、自分が世界一になるとは思っていないからだと思います。そういう意味で、タイトルがかかっているからといって重圧は感じませんでした。これはただのスポーツですし、たまたま世界選手権という名前の試合だったに過ぎません。

ーーショートプログラムで首位発進してからは、優勝を意識しましたか? どのように気持ちをコントロールしましたか?

 順位はまったく気にしていませんでした。私のなかにあったのは、いいプログラムを演じたいという気持ちだけ。だからいいショートを滑ったら、次はいいフリーを滑りたい、と思うだけでした。順位とかランキングとかは、私のなかでは価値がなくて、スケートできることがすべてなんです。勝っても負けても、「よし、次のプログラムも頑張ろう」と思ってやってきました。

【五輪へ向けて取り組む"超安定"と大技】

ーー優勝が決まったあと、坂本花織選手とハグをしましたね。その時の心境は?

 花織の演技は、すばらしかったです。彼女の演技のなかでも最高のスケートのひとつだったと思います。彼女が先に滑ったので、その時は「おめでとう」をいうチャンスがなかったんです。それで最後に自分の演技終了後に、ふたりでハグすることができました。

ーーこのオフに取り組みたいことは?

 まずテニスをしたいですね。スケートに戻ったことで休んでいましたが、ここ2年はいつもテニスをしていたんです。オフシーズンの夏の間はテニスを楽しみたいです。あとスケートとしては、たくさんの音楽を聴いて、オリンピックシーズンにふさわしい曲を探します。観客も楽しめて、自分も気持ちよく滑れる2つのプログラムを準備することが重要です。あとスピンをもっと速くできるように練習し、3回転+3回転の連続ジャンプを"超安定"させるように努力します。すべてのジャンプの高さをもっと高くして、トリプルアクセルを練習します。

ーートリプルアクセルはすでに練習で成功させ、感覚を取り戻しているそうですね。

 世界選手権があったのでいったん練習をやめていましたが、復帰後、すでに成功はしています。トリプルアクセルの練習はすぐに再開する予定です。オフシーズンの間は、ミラノ・コルティナ五輪でしっかり成功させることを目標に取り組んでいきます。

ーー4回転ジャンプに取り組む予定はありますか?

 練習を重ねていって、十分に力がついてからですね。4回転は身体に大きな負担がかかり、とくに着氷の衝撃は大きいです。以前、4回転ルッツを跳んでいた頃は、腰に痛みを感じていて、たぶん4回転のせいだったと思います。一度痛みが出はじめると、トリプルアクセルや3回転ジャンプの着氷でも痛みが出るようになり、ジャンプの練習がどんどんできなくなっていった時期がありました。今回復帰してからは幸運にも痛みがないので、無理をしたくありません。今回は、オフアイス(陸上)トレーニングにもたくさん取り組み、バランスやパワーの筋力テストを頻繁に行なっています。4回転を安全に試せる筋肉量に達したら、挑戦してみたいと思います。でもまだその段階に達していないし、筋肉強化には時間がかかるので、まずはトレーニングを欠かさずに続けていきたいです。

【私の夢はスケートよりずっと先にある】

ーー復帰して、昔の仲間のスケーターと再会できるのはどんな気持ちですか?

 本当に楽しいです。しばらく会っていなかったスケーターに会うたびに、昔の思い出話をしたり、この2年間に何をしていたのか報告したりしています。本当にすばらしいアスリートたちと再びスケートをするのは、とにかく最高の時間。だから試合に来るのが楽しみなんです。

ーーともに北京五輪に出場したネイサン・チェンさんも、今回会場にいらしていました。

 昨日、ネイサンに会いました。スケートのことや、どうして復帰したかなど、少し話しました。そして思い出話をしていたら、ちょうどヴィンセント・ジョウと、シブタニきょうだいも来て、北京五輪チームが一緒になったんです。本当に楽しかったです。

ーーネイサンとはどんな話を?

 何年も前のことですが、私はネイサンにアメリカのスケートの伝統を引き継ぐことについて聞きました。ネイサンは、自分が築いたスケートを次の世代に引き継ぐことができた、と。「アリサがいるから、僕はいつでもやめられる」と言ったんです。でもふたりとも北京五輪後に同時に引退してしまった。私としては、私はやめたとしても、彼は現役に残って、チームUSAを引っ張っていくべきだったのではと思いました。

ーー世界女王になった今、リュウ選手が今度はアメリカのスケートを牽引していく立場なのでは?

 私に引き継がれたと考えたくはありません。北京五輪の時のスターたちに、引退を撤回して戻ってきてほしいです。私は何かを背負うべき人物ではないと思うんです。だからネイサンと交渉して、リタイアを取り消してもらおうと思っているところです。彼はあと2年くらい現役でできると思いますよ。

ーーチェンさんは、勉強が忙しくて復帰できないそうです(笑)。リュウ選手は、世界女王になったことで、来季の目標は変わりますか? 五輪のメダルを意識したりしますか?

 いや、いや。私の目標は変わりません。順位や得点は私の目標ではないのです。私の夢は、スケートよりもっとずっと先の未来にあるもので、まだまだ待たなければならないことです。今はただ、滑ることの喜びを感じていきたいと思っています。

ーーありがとうございました。来季の活躍を応援しています。

終わり

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<プロフィール>
アリサ・リュウ/2005年、アメリカ・カリフォルニア州生まれ。2019年、史上最年少の13歳で全米選手権を優勝。2021−2022シーズンにシニアデビューし、北京五輪6位、世界選手権3位。直後の2022年4月、当時16歳で引退表明。その後2024−2025シーズンに現役復帰し、世界選手権で優勝を果たす。

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