AQUOS senseシリーズといえば、大容量バッテリーや防水・耐衝撃性能など、使い勝手を重視したスタンダードスマホだ。
2024年11月に発売された最新モデル「AQUOS sense9」は、本機では外観やディスプレイ、カメラといった部分を大幅に刷新しており、これまで以上に魅力を高めている。コンパクトなサイズ感を求めつつ、ディスプレイの美しさやカメラ性能にもこだわりたい人、あるいはちょっと遊び心のあるデザインが好きな人にぴったりな1台となっている。
そんなAQUOS sense9をじっくりと試したので、その実力や、どんな人におすすめなのかを検証したい。
●横幅約73mmの持ちやすいボディーと6色のカラーバリエーション
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AQUOS sense9を手に取ってまず印象に残るのは、片手で握りやすいサイズ感だ。横幅は約73mm、厚さは約8.9mm、質量は約166gと、大画面化が進む昨今のスマホとしては比較的コンパクトで軽量な部類といえる。アルミ削り出しのメタリックなボディーはひんやりした触感があり、武骨すぎない上品さを醸し出している。
デザインは今回一新された。デザイナー三宅一成氏が監修した外観は、カメラ周囲のパネルをあえて別色にするバイカラー仕上げと、全体を同系色でまとめるタイプに分かれており、合計6色の中から選択可能だ。純正のシリコンケースも6色そろっているので、本体と合わせたり、あえて違う色を組み合わせたりと、ファッションの一部としてスマホを楽しめる。
画面サイズは約6.1型のフルHD+。カメラ部の出っ張りは実測で約1.5mmと薄く設計されており、手に持ったときの重量バランスも良好だ。
●Pro IGZO OLEDで約4倍明るく、メリハリのある画作り
今回のsense9で大きく進化したのがディスプレイだ。AQUOSの上位モデルで実績のある「Pro IGZO OLED」ブランドの有機ELディスプレイを、senseシリーズとして初めて搭載している。非常に色彩表現が良好で、フラグシップモデルと比べても遜色ない映像表現が楽しめると感じた。
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最大輝度はAQUOS sense8比で約4倍明るくなり、日差しが強い屋外でも文字や写真をくっきり視認できる。可変リフレッシュレートは1〜120Hzまで対応し、スクロール時の滑らかさと省電力化を両立している。さらに黒フレームを挿入する技術によって最大240Hz相当の描画が可能で、SNSの連続スクロールも思いのほかスムーズだ。
AQUOS sense9のディスプレイには「標準」や「ナチュラル」といった設定項目があり、標準はやや寒色系の色温度で日本人好みに調整されている。
星空の映像を映してみたところ、暗部がしっかり引き締まっていて、黒つぶれもほとんど見られなかった。星の輝きもしっかり再現されており、明暗差がはっきりしていて見応えがある。特に暗い背景と星の輝きの対比が美しく、細かな星の粒子まで確認できるため、映像に立体感と奥行きを感じた。
視野角についても、斜めから見た際の色変化が比較的少なく、コントラストが大きく低下することはなかった。こうした画質の総合力を考えると、ミッドレンジスマホの価格帯の中では群を抜いて優秀なディスプレイだといえる。
内蔵スピーカーはアルミニウム製の筐体を反響板として活用しているようで、想像以上に音場の広がりが感じられる。高音域は解像感が高くクリアなサウンドに仕上がっている一方、重低音の量感はやや弱く、迫力を求める場面では物足りなさを感じることもある。映画のせりふやボーカルが中心の楽曲を聴く際には明瞭感が得られ、高音域の伸びやかさと音場の広さを生かしたクリアな音質を楽しめるが、より低音域の迫力を重視するなら上位機種が向いているだろう。
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●標準カメラに1/1.55型センサーとF1.9の明るいレンズを採用
カメラ周りも大きな進化ポイントだ。標準カメラと広角カメラがそれぞれ約5030万画素となり、特に広角カメラはAQUOS sense8の800万画素から大きく引き上げられている。視野角は122度で、広大な風景をダイナミックに収めやすいだけでなく、約2.5センチまで寄れるマクロ撮影ができるというのもユニークだ。花や小物を接写したいときに、細部まで繊細に描写されているのを確認すると「こんなところまで撮れるのか」という驚きがある。
標準カメラには1/1.55型の大型センサーとF1.9の明るいレンズを採用しているため、暗所や夜景撮影でもノイズが少なく、HDR合成によって暗部と明部の情報がバランスよくまとまる印象だ。髪の毛や薄暗い背景など、ディテールをつぶさずに撮ってくれるため、日常のスナップショットでも満足度が高い。SNSに写真を投稿する際にも、比較的手軽にクオリティーの高い仕上がりを狙えるのがうれしい。
以下は、AQUOS sense9で撮影した作例だ。
●Snapdragon 7s Gen 2搭載、ハプティクスの触感も良好
AQUOS sense9のプロセッサはSnapdragon 7s Gen 2を採用している。メインメモリは販売元によって6GB版と8GB版が存在しており、6GBまでの仮想メモリを設定できる。今回は8GBで試してみたが、実際にSNSやブラウザ、動画再生アプリを切り替えてもカクつきやストレスは少ない印象だった。
ただし、上位モデルと使い比べると、ブラウザの読み込みで差を感じる瞬間があった。例えばChromeのシークレットタブでITmedia Mobileのトップページを開いたとき、Google Pixel 9 Pro(Tensor G4搭載、メモリ16GB)では1.5秒で表示されるのに対して、AQUOS sense9では約3秒かかる。こうした細かな使い勝手の差は価格を反映したものといえそうだ。ゲームのように高負荷なシーンでも、さすがにフレームレートを落とすなどの調整が必要になるだろう。
本体のハプティクス(振動フィードバック)はコトコトと柔らかく、安価なスマホでありがちな“ビリビリ”とした不快感がないのが好印象だ。キーボード入力時のかすかな振動が心地よく、通知が来た際にも突き刺さるような振動ではない。こうしたささいなポイントが、毎日使うスマホの満足度を左右するのだと改めて感じさせる。
なお、「GeekBench 6」のCPUベンチマークスコアはシングルコア性能で961、マルチコア性能で2713と、ミッドレンジ帯のGalaxy A54と近い結果になった。ゲーム向けのベンチマーク「3D Mark」のWild Lifeテストの結果は3056で、平均フレームレートは18.30FPSだった。
●AQUOSトリックとエモパー 独自機能がもたらす“ちょっと便利”な体験
シャープのスマホらしく、本機にも独自の工夫が多い。「AQUOSトリック」の代表例である「Payトリガー」は、右側面の指紋センサーを1秒ほど長押しすると決済アプリを呼び出せる仕組みだが、人によっては誤反応が起きやすい面もあるため、最初のうちは使い方に慣れる必要があるかもしれない。
「テザリングオート」はGPSと連動し、自宅やオフィスを離れると自動的にテザリングをオンに切り替えるなど、移動が多い人には助かる機能だ。通話録音や未登録番号警告など迷惑電話対策にも対応しており、地味だがありがたい。
なお、AQUOSトリックではないが、シャープ独自の音声アシスタント「エモパー」も引き続き搭載している。スマホが落下した際に「いてっ」とリアクションしたり、ニュースを読み上げたりして、ユーザーの生活に寄り添うような体験を演出する。ただ、スマホが積極的に話しかけてくるのを煩わしく思う人もいるため、好みに合わせてオン・オフを調整した方がいいだろう。
一方で、AQUOS R9が搭載するAI系の機能「電話アシスタント」はこのスマホでは非対応となっている。掛かってきた留守電を文字起こしするなどの機能があるが、sense9ではスペックが不足するため使えない。
従って、AQUOS sense9は昨今の「AIスマホ」のブームからは外れた比較的ベーシックなスマホといえそうだ。ただしそれでも、Googleの「かこって検索」はソフトウェアアップデートによって対応した。
●価格は5万円台から 6GB+128GBと8GB+256GB、どちらを選ぶ?
AQUOS sense9の販路は、4キャリア、MVNO、SIMフリー版といった複数のルートがある。NTTドコモやau、ソフトバンク、UQ mobileではメモリ6GB+ストレージ128GBモデルが6万5000円前後(税込み、以下同)という価格帯だが、楽天モバイルだけは5万7900円と戦略的に低く設定している。
一方、SIMフリー版ではAQUOS公式オンラインショップで6GB+128GBが6万940円、8GB+256GBが6万7980円となっており、IIJmioやmineoなどのMVNOでも取り扱いがある。自分が使いたい容量や予算、回線とのセット割などを考慮して選べる柔軟さが魅力だ。
8GB+256GBモデルはやや価格が上がるが、写真や動画を大量に保存したい人やアプリを多数同時に使う人には安心感がある構成だといえる。価格を抑えるなら6GB+128GBでも普段使いには十分だが、長期的に使う予定があるなら、少しでも大容量の方が心強いかもしれない。購入前に自分の使い方をしっかり考えておくのが賢明だ。
●コンパクトかつ上質感を備えた新定番モデル
AQUOS sense9は、長らく定番とされてきたsenseシリーズを大きく磨き上げた最新モデルだ。小さめの横幅とアルミ削り出しのボディーによって持ちやすさと上質感を両立し、カメラ周囲のパネル色を変えた“バイカラー”を含む多彩なカラーバリエーションがさりげない遊び心を演出している。
最大の魅力はPro IGZO OLEDによるディスプレイの明るさと発色が抜群な点で、映像の鮮明さは同価格帯の中でも目を引く。一方でカメラは広角レンズの画素数アップなどが図られているものの、ハイエンドモデルと比べると細部の彩度やディテール面で差が出る場面もあり、価格帯相応という印象だ。
Snapdragon 7s Gen 2の処理性能は日常使いに十分だが、AIスマホと呼べるほどの機能は搭載しておらず、高負荷なシーンではパワー不足を感じることもある。とはいえ、Payトリガーやエモパーなどの独自機能が搭載されていて、使いこなせばちょっとした楽しさを味わえる。カラーバリエーションやメモリ構成も豊富なので、予算と容量、そして好みのデザインを照らし合わせながら実機に触れてみてほしい。上位モデルほど多機能ではないが、手に取ったときのワクワク感と扱いやすさが魅力の1台だ。
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