
「最初は黒い瞳に驚きましたが、その瞳の不思議な魅力に惹かれました」
【写真】お迎え初日からリラックスしてくれた猫さん 部屋の中も積極的に探検したそう
愛猫・小梅ちゃんの目をそう表現するのは、飼い主の梅虎さん(@uchan_kota)だ。サビ猫の小梅ちゃんは目が見えない。なかなか里親が現れない時期を乗り越え、飼い主さん宅の一員になった。
動物愛護センターで出会った“目が見えないサビ猫”をお迎え
2019年8月頃、飼い主さんは動物愛護センターで行われた譲渡会へ行き、小梅ちゃんと出会った。小梅ちゃんは4兄妹で保護された子。保護時、重度の猫風邪を患っており、失明。猫風邪が治っても視力は戻らなかった。
そんな瞳をハンディキャップと捉える人が多かったからか、兄妹の中でひとりだけ里親が決まらなかったという。
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「小梅は人間が好きで、愛護センターの職員さんによく甘えていたそうです」
飼い主さんは小梅ちゃんに心惹かれ、お迎えを決意。お迎え当初、小梅ちゃんは積極的に部屋の中を探検し、音の鳴るおもちゃで2時間ほど遊んでくれた。
「目が見えないからか、クルクルと円を描くように回ることが多かったです。最初は不安もありましたが、元気に遊ぶ小梅をみて安心しました」
おやつや同居猫との遊びを楽しむ日々
小梅ちゃんは聞き上手だ。飼い主さんが話しかけると顔を見ながら一生懸命、話を聞き、時には小さな声で相づちを打つ。
「子猫の時に突然首を傾げるようになったので心配になり、動物病院へ連れて行きましたが異常はなく、音や距離感を掴むために身についた癖という見解になりました」
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飼い主さんが顔を近づけると気配を感じ取って、においをクンクン。距離感が掴めず、冷たい鼻が当たるまで近づいてくれる姿に、飼い主さんはキュンとさせられている。
その一方で、ユニークな行動も。実は食いしん坊な小梅ちゃんは、大好きなおやつの袋の音が聞こえると、すぐに気づいておねだり。貰えるまで、その場から動かない。
「目が見えない分、音に敏感らしく、同居猫の虎太郎より早く気づくんです。ハンデを感じさせない行動に感心させられます」
なお、弟分の虎太郎くんは小梅ちゃんをお母さんだと思っている様子だが、小梅ちゃんはそこまで関心がなく、片思いの状態だ。
虎太郎くんは毎晩、眠る前、小梅ちゃんの顔に頭を寄せて毛づくろい待ち。しかし、毛づくろいをしてもらえるのは小梅ちゃんの気分が乗った時だけ。毛づくろいをしてもらえない日、虎太郎くんはスネながら寝床に戻るのだとか。
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ただ、小梅ちゃんは虎太郎くんとの追いかけっこは好きなよう。虎太郎くんの足音を一生懸命聞き、遊びを楽しむ。
「いきなり飛びつくとびっくりするので、虎太郎の位置がわかるように首輪には鈴をつけています。目が見えないことを感じさせない追いかけ方には感心させられます」
ハンディキャップがある猫は劣っているわけではない
小梅ちゃんが快適に暮らせるよう、飼い主さんが気を付けているのは床に物を置かないこと。乗りたがるケージの近くにはペット用の階段を設置し、安全に上り下りできるようにもしている。
「行動はルーティン化されていることが多いので、部屋のレイアウトは極力変えないようにしています」
遊ぶ時は、カシャカシャ音が鳴るおもちゃを使用。丸めたビニール袋も楽しいおもちゃだ。
「素早くドリブルし、追いかけて遊びます。たまに空振りすることもありますが、そこもかわいいです」
ハンディキャップを持つ猫は、一緒に暮らすのが大変そうと思われることもある。だが、小梅ちゃんと実際に暮らしてみて飼い主さんは目が見えない猫と暮らすことへのイメージが変わった。
「正直なところ、最初は不安もあるとは思いますが、小梅のように目が見えない子は手が届かないところには基本的に登らないので、机の上に置いてある物を落とす虎太郎より手がかからないと感じました。前向きに一生懸命生きている姿から元気を貰うこともあります」
猫は自分のハンデをハンデだと思わず、前向きに生きている。そして、ハンデがあるからといって劣っているわけでは決してない。そんな飼い主さんの言葉に触れ、小梅ちゃんの日常を知ると、目が見えない猫に対する印象が少し変わるのではないだろうか。
持って生まれた毛色・毛柄への差別が減ってきている今だからこそ、ハンディキャップを持つ猫もありのままの姿で幸せになれる社会になってほしい。
(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)