蝶野正洋さんが“自助”の大切さを訴える - 「えどがわ防災フェア2025」レポート

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2025年04月03日 20:31  マイナビニュース

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去る3月9日、東京都江戸川区の葛西防災公園において、地域全体の防災意識および防災力の向上を目指す「えどがわ防災フェア2025」が開催された。イベントでは民間企業・団体の企画によるさまざまな防災・減災体験のほか、警視庁騎馬隊による乗馬体験や陸上自衛隊東部方面音楽隊による演奏会などを実施。また、会場特設ステージではプロレスラーで日本消防協会の「消防応援団」を務める蝶野正洋氏によるトークショーも行われた。

○楽しみながら災害への備えを学べるイベント

このイベントが行われた江戸川区は、陸域の7割が満潮時の水面よりも標高の低いゼロメートル地帯となっており、住民も日頃から防災意識を高く持つことが求められている。そうした地域課題に対し「民間事業者ならではの視点で防災・減災について考える機会を作って地域全体の防災力につなげたい」という思いで、2023年にジェイコム東京 江戸川局/三和商事/葛西消防団の3団体によって「えどがわ防災フェア実行委員会」が立ち上げられ、東日本大震災が発生した3月11日前後にこのイベントが開催されるようになった。今年で3回目の開催となる。

えどがわ防災フェア実行委員会のメンバーでもあるジェイコム東京 江戸川局長の小沼亘氏によると「地域に根差した企業として、その地域のために何かできないかという思いから3年前にスタートしたイベントです。江戸川区や官公庁、地域の企業、消防団に賛同いただき、その協力を得て実現することができました。参加企業・団体の皆様にご負担をかけないようにというコンセプトで開催していますが、反響が大きく、回を追うごとに来場者も増え、展示・体験内容も充実してきています。来年以降も継続していきたいと思いますし、機会があれば他の地域でもジェイコムの活動の中でできることをやらせていただきたいと考えておりますので、関心のある企業・団体や地域の方はぜひお声をかけてください」とのことだ。

会場となる葛西防災公園は、災害時に必要な物品を備蓄できる防災倉庫や、非常時にかまどとしても利用できるベンチ、マンホールトイレなどの防災機能を備えた公園で、普段は区民の憩いの場として活用されている。今回のイベントでは、その公園内の芝生広場に特設ステージが設けられ、防災クイズゲームやトークショー、ダンスショーなどのさまざまなプログラムが行われた。

また会場内には民間企業や団体によって数多くのブースも出展。ARで暗闇からの避難を体験できる「AR GENSAIめいろ」や、VRで火災からの脱出を体験できる「VR防災体験」、区立小学校による防災グッズの展示・体験、AEDによる人命救助体験や消火器による消火体験、キッチンカーによる飲食の提供など、さまざまな企画が展開され、来場者で賑わっていた。

さらに会場内では消防車や地震体験車などの特殊車両の展示や乗車体験も行われた。なかでも注目を集めていたのが消防によるはしご車の乗車体験で、抽選で当選した子どもが消防士とともに乗車し、青空に高く伸びたはしごの上から恐る恐る地上を見下ろす姿が印象的だった。

このほか警視庁騎馬隊による乗馬体験も開催されたが、開始1時間ほどで予定人数に達して打ち切られるほどの人気ぶり。また消防士と一緒にホースを持ち、的に向かって水を噴射する放水体験なども行われ、実際に体験した子どもたちは、その水量や勢いに驚きながらも大喜びの様子だった。

○蝶野正洋氏がトークショーで防災啓発に取り組む理由を語る

今回のイベントでは、会場に設けられた特設ステージにて、プロレス界のレジェンド・蝶野正洋氏と葛西消防団副団長の彦田好之氏によるトークショーも開催された。

蝶野氏は救急救命や地域防災の啓発活動に積極的に取り組んでいることでも知られ、現在は日本消防協会の「消防応援団」や、日本AED財団の「AED大使」、日本気象協会の「熱中症予防PR大使」などを務めている。

大歓声のなかMCに紹介されて登壇した蝶野氏は「2010年に東京消防庁の講習を受けたのがきっかけでAEDの普及活動のお手伝いをすることに。2011年の東日本大震災のときはAEDの救急救命で現場に入ったのですが、254名もの消防団員が犠牲になったと聞き、彼らを応援したいと地域防災の活動に取り組むようになりました」と啓発活動に取り組むようになった経緯を語った。

続いて、「今回のようなイベントを機に、警察や消防、自衛隊の方たちが私たちを支えてくれているという『公助』に感謝の気持ちを持ってもらえるようになれば嬉しいですね。災害への備えは人それぞれ準備することが異なるので、ひとりひとりが防災への意識を持つ『自助』が大切になります」とコメント。

彦田氏も「この『えどがわ防災フェア』は『自助』を意識してもらうための体験型のイベントになっています。今日は、いろいろ体験してその大切さを感じていただけたら。『公助』について関心を持った人は、消防士や防災士などにチャレンジしてみてください」と来場者に呼びかけた。

トークショーでは、蝶野氏がAED講習を受けるきっかけについても語られた。プロレスでは、練習や試合の最中の事故で頭を打って気を失ったり、脊椎を損傷したりすることもある。蝶野氏は1990年に盟友・馳浩氏(現・石川県知事)が試合中の事故で一時心肺停止状態になったことに触れ、「当時はAEDがまだなくて現場にいらっしゃった救命士の方のおかげで一命を取り留めることができました。自分自身も試合のあと1時間くらい記憶が空白になったことがあります。そういった体験から、救急救命の大切さを実感して勉強するようになりました」と振り返った。

続いてステージには、防火に関する知識や技術を学ぶ少年少女で結成された葛西消防少年団が登壇。会場に集まった人たちが見守る中、AEDによる心肺蘇生のデモンストレーションを行った。

日本語と英語で声をかけながら救命を行う少年少女たちを、「素晴らしい」と蝶野氏は大絶賛。実演を終えて団長の号令にしたがい規律正しく退場する団員たちを見送りながら「プロレスラーもこういう練習から入らなきゃいけないですね。レスラーは誰の言うことも聞かないから、団体活動はまずできないですが」とボヤいて会場を笑わせていた。

その後、蝶野氏は「救急車を呼んで到着するまでにおよそ10分、そこから病院に搬送されるまで40分近くかかります。心臓が止まるという最悪の事態が起きても、今はAEDでケアすることが可能。救急車が来るまで命をつなぐため、皆さんも怖がらずにAEDを使ってください」と呼びかけ、「災害の際は、まず自分自身の身を守る“自助”が大切。それが困った人を助ける“共助”にもつながっていきます。今回のようなイベントで、その“自助”を学んでいただければ」と締め括った。

トークショー終了後、蝶野氏は囲み取材に応え「消防団が中心となって、これだけの規模の防災イベントを開催している地域は他にあまりないと思います。災害の際は、高齢の方など自力で身を守ることが難しい人に支援が行き届くようにするためにも、私たちが自分の身を自分で守ることが大切」と“自助”の重要さを改めて強調した。(山口優)

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