【フィギュア】世界選手権で初表彰台の千葉百音「過信せず、過小評価せず」 世界国別対抗戦へ「躍進」誓う

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2025年04月04日 07:30  webスポルティーバ

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【世界の舞台でバイブスを上げられた】

 昨年に続く2度目の挑戦だった3月の世界選手権で3位と、初めてのメダルを獲得した千葉百音(19歳/木下アカデミー)。ショートプログラム(SP)は日本勢トップの2位発進、フリーは順位をひとつ下げた戦いについて、千葉はこう振り返った。

「ショートプログラムは完全に自分に打ち勝てたけれど、正直、フリーはちょっと緊張に勝ちきれなかったところがある。これからどんどん場数を踏んで、経験していくしかないと感じています」

 前戦、2月の四大陸選手権ではSPの2位からフリーで6位に順位を落とす悔しい結果。フリー当日に胃腸炎になり、「不本意だった」と千葉は、この世界選手権で「悔いを晴らしたい」と話していた。

 SPは集中力と気迫にあふれ、冒頭からスピードに乗った滑りでほぼノーミス。得点は今季自己ベストの73.44点をマークした。

「今シーズンで一番楽しめた演技。最後の3回転フリップ前のキャメルスピンを終えたあたりから、すごくハイテンションな感じでいけました。去年の世界選手権のショートでは、最後のルッツをパンクしたのが知らず知らずのうちに自分のなかでトラウマになっていたけれど、それも全部忘れるくらいのハイテンションでした。そして練習どおりにフリップが跳べて、すごく楽しめました」

 そう話す千葉は、好演技の要因について「6分間練習の時から自分をしっかり俯瞰して捉えられていたので、緊張と向き合えた。緊張に合わせて自分の"バイブス"(気持ちの盛り上がり)もどんどん上げていけて、すごくポジティブに捉えられてよかったと思います」と、納得の表情を浮かべた。

【歓声をエネルギーに変える"いい感覚"】

 千葉が滑った第3組のあとのSP最終組は、予想外の結果が続出した。GPファイナル優勝のアンバー・グレン(アメリカ)は9位発進で、坂本花織も後半の連続ジャンプでミスをして71.03点の5位。四大陸選手権優勝のキム・チェヨン(韓国)も11位だった。

 メダル候補だった3人がともに出遅れるなか、千葉は、74.58点のアリサ・リュウ(アメリカ)に次ぐ僅差の2位発進となった。

「まさか自分が2位になるとは思っていなかったので、すごくビックリしました。でも、前回の世界選手権ではショートで上位に食い込んでいた選手がフリーで落ちていたので、そういうことも踏まえ、フリーはフリーとしてしっかり自分のやるべきことに集中するのが大事だなと思っていました。自分が完璧な演技をしたとしても、それをさらに上回ってくる選手が必ずいるだろうとも捉えていたので、順位は考えずフリーに臨みました」

 そのフリーで、キムとグレンは浮上せず、坂本が合計217.98点で暫定1位になった状況で千葉は出番を迎えた。SPとは違い、その表情には緊張がにじみ出ていた。

「やっぱり世界選手権のフリーで最終グループだったので、すごく緊張感がありました。全日本選手権と同じくらい緊張したけど、最小限のミスに抑えられたのがよかったと思います」

 少し硬さもある滑り出しとなった千葉は、前半の3回転サルコウと後半の3回転ルッツが回転不足となったが、流れを途絶えさせずに滑りきり、スピンとステップはすべてレベル4でまとめる演技。フリーも今季自己ベストの141.80点を出し合計は215.24点と、坂本の次につけた。

 結果は、最終滑走で自己ベストを更新したリュウが合計を222.97点にし、千葉は3位。表彰台に乗ったが満足しきったわけではなかった。

「フリーの内容は100%出しきれたわけではなかったので、悔しさがけっこうあります。でも、時間が経つにつれて、やり遂げたんだという実感が少しずつわいてきて、疲労が一気にきたという感じです」

 そう言って笑顔を見せた千葉は、「自分が表彰台に乗れると思っていなかったので驚きましたが、今回は歓声をエネルギーに変えられるという、いい感覚でショートを滑れたのが一番の収穫でした。その感覚を忘れずにすべての試合で、いい緊張感というか、スケーティングを楽しむという気持ちを忘れずに臨んでいきたいです」と語った。

【今季最終戦へ「立ち振る舞いを学びたい」】

 千葉の次の舞台は、4月17日に東京で開幕する世界国別対抗戦だ。シーズン最終戦で、チームメイトがさまざまな意匠を凝らしてリンクサイドで応援する、一種の祭典とも言える大会。これまで自己最高得点を出した選手も多く、リラックスした精神状態で臨める場でもある。

 その大会への抱負の言葉を「躍進」とした千葉。その意図をこう説明した。

「今シーズンは結果を出せた試合も悔しかった試合も両方あるけれど、結果を出せた試合でも反省点が多く見つかったシーズンでした。来季へ向けては自分の今持っているいいところをさらに伸ばして、足りないと思うところもしっかりと補って、さらにパワーアップしていけるようにしていきたい。もう一段階上へ飛び跳ねて、突き進むという感じで『躍進』ということにしました」

 団体戦は初出場となる千葉にとって今回の国別対抗戦は、2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪の団体戦へ向けても貴重な経験になる。

 大会自体は、日本とアメリカの優勝争いになることが予想され、そのなかでも女子は世界選手権で大躍進したリュウや、緊張から解き放たれて本来の力を見せるだろうグレンとの戦いで、千葉がどの順位を確保するかが日本チームにとっても重要になる。

「個人で普段の試合に臨んでいる時のような緊張感も少しはあると思うけれど、団体戦の楽しさでその緊張がかき消される部分もあります。それがいいモチベーションになって、滑るのが楽しいなという気持ちだけで突き進んでいけると思います。全力で楽しんでいきたいです」

 千葉はそう意欲を見せ、続ける。

「自分を過信せず、かつ過小評価しすぎず、ちょうどいい案配が大事だと思います。点数というよりは、今シーズン最後の(SP)『ラストダンス』と(フリー)『アリアナ コンチェルト』なので、世界選手権に向けてけっこう細かいところを意識してやってきたとおりの濃いプログラムを、悔いのないようにしっかりのノーミスでやりきりたい。

 一緒に出る選手たちは五輪を経験していて、威厳とか貫録が自分とはレベルが違うなと感じていたので、私も自分の実力を出しきるために、その立ち振る舞いも学んでいきたいです。世界国別対抗戦は緊張していても楽しんでいるように見せる、みたいな。そう見せているうちに自分も楽しく感じてくるみたいな、いい流れをつくる試合できたらと思います」

 千葉は来季の五輪シーズンへ向け、世界国別対抗戦でもう一歩ステップアップできる大会にしようとしている。

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