※画像はイメージです 移動に時間はかかるが料金は安く、旅行先でドライブやツーリングを楽しみたい人にとってフェリーは最適な移動手段。特に本州と北海道を結ぶ航路は人気があり、ハイシーズンには混みあうことも珍しくない。
今から6年前、当時大学4年生だった柳沢康平さん(仮名・29歳)は、大学最後の夏休みを利用して北海道へのツーリング旅行へ出発。それまで遊覧船くらいにしか乗ったことがなく、長距離フェリーはこれが初めて。そのため、あまりの大きさに圧倒されつつも、これから始まる船旅に気分が高揚しているのを感じていた。
◆最初は船旅を満喫していたが、すぐに船酔いに…
「出航前に船中を探検しましたが、吹き抜けになっていたエントランスはゴージャス感があって、ほかにもレストランやカフェ、売店などいろいろあって面白かったです。ひと通り見て回った後はデッキに出て、港から離れる様子を眺めていました。
その後は乗船前にコンビニで買ってきたおにぎりと惣菜を食べ、それから大浴場に行きました。真っ暗で窓からは何も見えなかったですけど、船の中で大きなお風呂に入れるとは思いませんでした」
風呂上りには船内の自販機で購入したビールを飲み、私服のひと時を過ごす柳沢さん。だが、この日は荒天というほどではないが波が少し高かった。気がつくとフェリーは外海に出ており、揺れを感じるようになった。
「大シケで波がうねっていたわけではないですが、出航したばかりの頃に比べると明らかに揺れていました。ただ、酔いが回れば気にならないだろうと思い、缶ビールを2本3本と追加で購入して飲んでましたね。
けど、お酒にではなく船に酔ってしまったらしく、しばらくすると気持ち悪くなっちゃったんです」
子供の頃から乗り物酔いをした記憶がなかったそうで、これが彼にとっては初めての経験。ただし、我慢できないほどではなかった。
「吐きそうってレベルではなかったですけど、フェリーは出航してからまだそれほど時間が経っていませんし、この状態が続くとキツいなとは感じました。だから、こんな時はさっさと寝たほうがいいと思ってベッドに潜りました」
◆トイレで隣の個室に駆け込んだ人がそのまま嘔吐
彼が乗船していたフェリーは、いちばん安い運賃でも二段ベッドが並んだ大部屋。ロールカーテンが付いているため、プライバシーも確保されている。ただし、1時間半ほどで目が覚め、用を足したくなったのでそのままトイレへ。
しかし、個室に入ってしばらくすると、隣の個室にも誰かが駆け込んできたとか。すると、ドアを閉めた途端、いきなり嘔吐の音が聞こえてきたそうだ。
「なかなかの大音量でしたね。壁越しで直接見たわけじゃないですが、音だけでどんな様子なのか想像できました。きっとこの方は私より重症の船酔いだったんだろうなって。
しかも、隣からは酸っぱい吐しゃ物の臭いが漂い始めるじゃないですか。この時も船は相変わらず揺れたままだったため、一瞬ちょっとヤバかった。もらいゲロをしちゃう人の気持ちがよくわかりました(苦笑)」
一応、気になって隣の個室に向かって「大丈夫ですか?」と声をかけたが、相手からは「だ、大丈夫です……」と弱々しい返事。喋れるくらいなので問題ないと判断し、そのままトイレから部屋に戻って再び寝ることに。
◆再びトイレに行くと、個室内には吐しゃ物の跡が…
だが、揺れていることもあって眠りが浅く、2時間ほどでまた目が覚めてしまう。今度はお腹の調子が少し悪かったそうで、またトイレに行くが、個室のドアを開けるとそこには便器や床に吐しゃ物が広がっていた。
「私の隣で吐いた方のいた個室とは別のところです。揺れているから気分が悪くなった方が結構いたんでしょうね。先程は音だけでしたが、今度はもんじゃ状になっているアレを思いっきり見ちゃいました(苦笑)。おまけに臭いも目の前にあるせいか今度のほうが強烈。
私はさっきまで横になっていたから船酔いは多少治まっていましたが、それでも視覚と嗅覚のダブルだったのでヤバかったですね」
もちろん、すぐにドアを閉めたのは言うまでもないが、さすがにそのまま放置しとくわけにもいかない。自分で掃除したわけではないが、部屋に戻る途中、スタッフがいたので事情を説明したという。
◆天候によって何かしらの対策を講じる必要が
「船酔い体験は辛かったし、自分にとって初めての経験でしたが、それも含めて忘れられない経験になりました。まあ、二度と味わいたくないし、人が嘔吐する瞬間にもできれば遭遇したくないですけどね(笑)」
体調の問題なので仕方ない部分はあるが、予報で天気や波の高さは確認できる。揺れが大きくなりそうな場合は、乗船前の食事を控える、酔い止めの薬を飲むなど対策をしておいたほうがよさそうだ。
<TEXT/トシタカマサ>
【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。