アメリカのハーバード大学は、2025年秋から、世帯年収が20万$(約3千万円)以下の学生の学費を全額免除にすると発表しました。
現在は世帯年収8万5千$以下の学生の学費を免除していますが、その対象を大きく広げます。
また、世帯年収10万$以下の学生には、食費や住宅費、健康保険料など授業料以外も全面的に支援するといいます。2024〜2025年度の授業料や寮費などを含む年間負担は8万6千〜9万1千$なので、大きな支援となるでしょう。
ここで注意したいのは日本との給与水準の違いです。日本の平均年収は460万円(2023年分、国税庁)に対して、アメリカの平均年収は9万4千700$です(約1千320万円、2023年、Salary Explorer)。日本の約3倍と考えると、アメリカの世帯年収20万$は日本では年収約1千万円程度に当たります。学費免除の対象者はアメリカ家庭の86%というのも納得です。
実は、同様の学費免除はすでに、マサチューセッツ工科大学やペンシルベニア大学が行っています。経済的に困難な家庭の出身者にも門戸を広げて優秀な学生をより多く集めたいと考えているのでしょう。アメリカでは優秀な学生の争奪戦が始まっているのです。
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■経済的に困難な家庭の出身でもよりよい教育を
いっぽう日本では「高校無償化」が論議されています。現在は年収910万円未満の世帯に、公立私立を問わず年11万8千800円が助成されていますが、2025年度からは所得制限を撤廃。2026年度からは私立高校生向けの上乗せにも所得制限が撤廃され、最大で45万7千円を助成する方針です。
背景にあるのは、少数与党である石破政権が期限内に予算を成立させたいという思惑です。そのため日本維新の会が提唱する高校無償化を受け入れたといわれますが、教育問題を“政争の具”に使わないでいただきたいと強く思います。
私は私立高校まで全員無償にする必要はあるのかと懐疑的です。それよりも、国立大学の学費免除を広げてほしいと思います。経済的に困難な家庭の出身でも、勉強をがんばれば国立大学へ無償で進学でき、よりよい教育を受けられる土台を作ってほしいのです。
もちろん教育支援は勉強だけに限りません。スポーツでもゲームでも、好きで得意なことを伸ばす教育体制の構築のために、限られた国の予算をどう使えばいいのか、熟議が必要でしょう。
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日本の国立大学は小泉政権下の2004年から独立行政法化され、大学独自で“稼ぐ”ことを求められるようになりました。その結果、東京大学は2025年度から約11万円学費を値上げします。
日本の国としての教育費支出は、経済協力開発機構(OECD)に加盟する36カ国のうち、ワースト3位です(2024年)。恥ずかしいと思いませんか。
政治家には子どもたちの教育に真摯に向き合い、抜本的な教育改革に取り組んでほしいものです。
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