JR九州の子会社「JR九州高速船」(福岡市)が昨年、博多港と韓国・釜山を結ぶ高速船「クイーンビートル」の浸水を隠したまま約3カ月半にわたり運航を続けていた問題で、福岡海上保安部が、船舶安全法や海上運送法違反などの容疑で法人としての同社と同社前社長らを書類送検する方針を固めたことが5日、関係者への取材で分かった。
海保は今回、北海道・知床半島沖の観光船沈没事故を受けて厳罰化された海上運送法(安全確保命令)違反の適用を検討。これまで適用例はなく、立件されれば全国初となる。
海保などによると、JR九州高速船は昨年2月、船首部分への浸水を確認したが九州運輸局に報告せず、5月末に報告するまで運航を継続した。浸水確認後も航海日誌やメンテナンスログに「異常なし」と記載していたほか、浸水を知らせる警報が鳴らないようセンサーの位置を上方にずらすなどの行為もしていた。
8月になって親会社のJR九州が問題を公表。国土交通省は海上運送法に基づいてJR九州高速船に安全統括管理者と運航管理者の解任を命じる行政処分を出した。
JR九州は11月、当時のJR九州高速船の社長ら幹部3人を懲戒解雇。その後、船体修理の難しさや格安航空と競合する経営環境などを踏まえ、今年2月末で船舶事業を廃止した。
同社は2023年にも船体のひびや浸水を確認したのに、必要な検査を受けずに運航を続けたとして、船舶安全法違反容疑で書類送検され、略式命令を受けた。