
アメリカで急速に普及が進む自動運転タクシー、通称「ロボタクシー」。まもなく日本にも上陸するとみられていますが、その実力はもちろん、安全性にも注目が集まっています。
現地で取材するJNNニューヨーク支局・大橋純記者と、ロボタクシーの現状と課題について深く掘り下げていきます。
今回、大橋記者が取材したのは、アメリカ南部テキサス州のオースティン。「全米一住みやすい街」とも呼ばれるこの都市で、Googleの親会社アルファベット傘下の自動運転開発会社「ウェイモ」が、一般ユーザー向けのサービスを開始しました。
大橋
「今回初めて乗りましたが、率直に言ってすごかったです。もちろん色々な条件や課題もあるのですが、私が乗った範囲では技術的に完成しつつあると感じました」
ウェイモはすでにサンフランシスコやロサンゼルスなど3都市でロボタクシーのサービスを展開しており、今回新たにオースティンが加わりました。展開の規模では全米トップで、毎週20万回もの乗車があるそうです。
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今回の新しい取り組みとして注目されるのが、ウェイモがウーバーと提携したことです。ウーバーのアプリを使って車を呼ぶ際の選択肢にロボタクシーが加わるイメージです。大橋記者も実際に乗車してみました。
大橋
「スムーズでしたよ。ほとんどがスマホのアプリの操作でこと足りるんです。肝心の運転も、怖い感じはなかったですね。信号での停止や車線変更も完璧でした」
ロボタクシーの料金設定は、人間のドライバーの車両と同じに設定されているそうです。大橋記者が乗車したときは1キロあたり約700円でした。会社側は「人間のタクシーと違って、チップは不要なので、その分だけお得ですよ」とアピールしているとのこと。
一方で、ウェイモのコストについては気になる点があります。ドライバーの賃金はありませんが、車両価格やメンテナンス費用が非常に高いという声も聞かれます。
この点について、ミシガン大学のヘンリー・リュー教授は次のように述べています。
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「現在は車両の価格が非常に高額です。ただし、AIの進歩のスピードを考えると、車両の大量生産が進めば5年〜10年以内に人間が運転するタクシーよりも安価になる可能性が高いです」
「安全性を検証する方法が定まっていない」安全性については、ウェイモは自社のロボタクシーは人間のドライバーよりも事故が少ないと主張しています。
サービスを展開している都市において、人間とロボタクシーが同じ距離を走行した場合、80%以上事故を減らせるとしています。
しかし、ミシガン大学のリュー教授は課題も指摘しています。「安全性を検証する方法が定まっていません。行政が客観的な安全基準を示すことで信頼感が高まり、普及が進むでしょう」
また、ロボタクシーなどが事故を起こした場合の社会のコンセンサスも重要だといいます。リュー教授は「ロボタクシーは人間のドライバーよりもはるかに高い安全性を求められます」と述べています。
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日本でもウェイモが今年から、配車アプリの「GO」と提携して自動運転タクシーの実証実験を始めるとしています。
技術的にロボタクシーの普及が見えてきた中、安全性を担保する仕組みや、自動運転の車を街に受け入れる心構えのようなものも、いよいよ現実的に考える時期に来たようです。
大橋
「技術の進化にわくわくする一方で、安全性や社会受容性など、課題もまだまだあります。日本も乗り遅れないように、早めに向き合って態勢を整えた方が良いと感じました」
ロボタクシーの未来は、もう目の前に迫っているのかもしれません。技術の進歩と社会の受容、そしてインフラ整備のバランスが、その普及のカギを握っているようです。