
保護猫との出会いは、時にいくつもの奇跡が重なって訪れることも。元保護猫の女の子「ばん(BAN)」ちゃんもまた、多くの人々の善意によって飼い主となったXユーザー・ふぅさん(@nekodasuke)のもとへやって来ました。
【写真】お迎え当初はテレビのリモコンくらいの大きさしかありませんでした
運命的な出会いが訪れたのは、2014年8月のこと。当時、飼い主さんは保護猫活動をしていました。ある日、隣の市にあるリサイクルショップの店先で「飼ってください」と書かれた段ボール箱の中に子猫がいるという情報が入ったのです。
知らせてくれたのは、お祭りに遊びに来ていた高校生。その子はまず自分のおばあちゃんに連絡し、おばあちゃんがかかりつけの獣医へ相談。その後、保護猫ボランティアをしている飼い主さんの友人へと話が繋がり、結果としてばんちゃんは保護されました。まさに、奇跡的な命のリレーだったのです。
「ばんは当時、生後推定1.5カ月、体重はおよそ600グラムでした。体がひどく汚れていて、白い被毛の部分が灰色に見えるほどだったんです。ボランティア活動をしている友人がお風呂に入れてくれて、ようやく本来の美しい姿に戻りました」
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しかし、すでに多くの保護猫を抱えていた友人は、ばんちゃんを迎える余裕がありませんでした。
そこで、飼い主さんが一時的に預かることに。しかし、飼い主さんの家にもすでに3匹の猫がいたため、母親から「これ以上は迎えられない」と釘を刺されていたといいます。
そんな状況の中、ばんちゃんを引き取るため友人宅へ。初めて会ったとき、飼い主さんは「般若みたい…!」と思ったそうです。「目を閉じるとまるで般若のお面のような顔立ちだったんです」。その個性的な顔立ちから「里親さん探しは難しそうだな……」と思ったものの、ばんちゃんの魅力に次第に惹かれていきました。そして、とうとう「うちの子にします!」と宣言したのです。
お利口な“家猫”になったばんちゃん
保護したばかりの猫は通常、しばらくケージで隔離するものですが、ばんちゃんは「こんな狭い部屋はいやでしゅ!」とばかりに大暴れし、大鳴き。そのため、ケージの扉を開放し、上に猫用ベッドを置いて寝てもらうことにしました。
健康状態に問題がなかったため、しばらくしてリビングも開放。そこで3匹の先住猫、「たぬ」ちゃん(当時15歳)、「ふうこ」ちゃん(当時14歳)、「ちー」ちゃん(当時5歳)と対面しました。みんな元保護猫です。
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年長のふたりは新たな猫と接することに慣れていたため、ばんちゃんの存在にも動じませんでした。一方、末っ子のちーちゃんは、ばんちゃんのことをかわいがるようになったといいます。「ばんは、これまで保護してきたどの猫よりも手がかからず、いたずらもせず、好き嫌いもなく、とてもいい子でした」
怖がりで甘えん坊、ばんちゃんと過ごすにぎやかな日々
ばんちゃんは、現在10歳になりました。お迎え当初は天真爛漫で怖いもの知らずでしたが、今では超ビビりに。「一時期は、インターホンが鳴るとどこかへ消え、まるで“エア猫”のようでした。今は少し改善し、遠くからじっと観察する程度になったのでホッとしています」
また、ブラッシングや爪切りは大嫌い。「病院で診察を受けるのもひと苦労なんです」と飼い主さんは苦笑します。
「ブラシや爪切りを手に取る気配だけで察知し、すぐに逃げ出してしまいます。病院では激しく抵抗し、キャリーバッグからなかなか出てくれず…。仕方なく、毎回キャリーバッグを解体して診察を受けています」
そんなばんちゃんには、お気に入りの場所があります。それはクローゼット。何時間も中で過ごすことがあるといいます。
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「最初の頃は姿が見当たらず、探し回ったことも。今は、あとから迎えた年下の猫が『ここに誰かいる!』と教えてくれるようになったので、すぐ見つけられるようになりました」
また、寒い時は飼い主さんが着ているフリースの裾から潜り込み、襟元から顔を出してゴロゴロと喉を鳴らしながら眠ることも。
「立ち上がるときには『ちょっと産ませて〜!』と声をかけ、するりと出てもらうのが日課になりました」
今では家で一番の甘えん坊になったばんちゃん。毎晩、飼い主さんの布団で一緒に寝るようになりました。
「お迎え当初はピンク色だった鼻には小さなホクロがありましたが、年を重ねるごとに大きくなり、今では真っ黒に。猫って、不思議ですね。個性的な顔立ちも、ビビりなところも、すべてが愛おしくてたまりません」
飼い主さんをメロメロにしたばんちゃん。これからもたくさんの笑顔と幸せをもたらしてくれることでしょう。
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)