写真 SNSで大きな反響を集め、様々な感想を集めた漫画『娘がいじめをしていました』(KADOKAWA刊)。同作の作者・しろやぎ秋吾さんが昨年11月にリリースした『娘はいじめなんてやってない』(同)も、前作以上に「自分なりの感想を誰かに聞いてもらい、語り合いたくなる」作品だ。
小学6年生の紫村俊介がいじめを苦に学校の屋上から飛び降りたところからストーリーが始まる本作。俊介の残した遺書には、いじめ加害者と目されるクラスメイトらの名前があり、その中には“青空茜”の文字が。娘がいじめをしていた可能性を知り、茜の母親・翼は激しく動揺するも、茜の「私はいじめなんてやってない」という言葉を信じようとするが──。
学校内で起きたいじめは決して子供同士だけではなく、その子供の親も“当事者”になることをハッキリと突きつける本作を描いたしろやぎさんに話を聞いた。
◆被害者の母親目線のシーンを描くのが難しかった
──まず本作ではおどろおどろしい空気が終始流れていますが、3月26日発売の『ちにかみ 死が怖い小さな死神』(KADOKAWA刊)では一転してほのぼのした内容でした。作品ごとに印象をガラリと変えることは大変なのでは?
しろやぎ秋吾さん(以下、しろやぎ):その時に描きたいものを描きたい感じでやっているので、苦労はそんなにありません。
──加害者である娘に強い嫌悪感を抱く母親など、目を背けたくなる辛いシーンが散見されましたが、特に描くのが苦しかったシーンはありますか?
しろやぎ:「描くのが苦しい」というよりは「描くのが難しかった」と思ったのは被害者の母親目線のシーンでした。「どんなに描いても嘘っぽい」というか、「こんな時にそんなこと考えないだろ」というか、でも「読み手が共感できるようにしなきゃ」とか、とにかく難しかったです。
◆「最初にいじめをした方が悪い」という意見も多かった
──SNS上をはじめ、作品にはいろいろな感想が寄せられまていますが、印象に残っている反応などはありますか?
しろやぎ:予想外だったのは、自殺未遂をした元いじめっ子・紫村くん側への厳しい意見が多かったことです。「自業自得」「最初にいじめをした方が悪い」という意見がたくさんありました。
──まさに作中で紫村くんに向けられた声が現実化したような反応ですね……。そういった声を目にしたときの心境はいかがでしたか?
しろやぎ:断罪できる正当な理由がみつかったらとことん叩く、今のインターネットを見ていてもよく見ることだと思います。それが良いか悪いかは別として、その人が許せないと感じた感情は嘘ではないと思うのでしょうがないと思います。
◆読者に“考えてもらう”漫画になった背景
──いじめ問題への正解を示したり、アドバイスをしたりするのではなく、あくまで読者に多くの視点を見せて自ら考える機会を与える漫画でした。こうした内容にした背景を教えてください。
しろやぎ:描きながら「仲直りするのも気持ち悪いし、なんか良い感じの雰囲気になって終わるもの嫌だな」と思いました。なので茜の心を開くのも、母親・翼の“ある間違った言動”にしました。
──スマホの普及により、いじめはより複雑化しています。私たちはどのような意識を持って向き合っていくべきでしょうか。
しろやぎ:スマホを子供に持たせるなら、大人がちゃんと管理すると良いのかなと思います。
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本作でも描かれているように、いじめがスマホの中で行われているケースは増えている。ある日とつぜん、我が子がいじめの被害者・加害者であることを知る可能性は高い。だからこそ本作を読み、いじめ問題に対する心構えを築いていく必要があるように思う。
<取材・文/望月悠木 漫画/しろやぎ秋吾>
【望月悠木】
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki