[写真]=Getty Images チェルシーは、UEFA(欧州サッカー連盟)のファイナンシャル・フェアプレー規則(FFP)に違反する可能性があることから、UEFAと協議中であることが明らかになった。5日、イギリスメディア『BBC』が伝えている。
チェルシーは4月1日に2024年6月までとなる年度での決算書を公開し、1億2840万ポンド(約244億円)の税引き前利益を報告。2022年5月に現在の新オーナー体制になってから初のプラス決算となったことが明らかになっていた。
昨年からの税引き前損失9010万ポンド(約171億円)から大幅な利益に転じた主な要因としては、選手売却費やチケット収益増などのほか、女子チームを2億ポンド(約380億円)で売却したことが大きな理由とされていた。
昨年もチェルシーは、本拠地『スタンフォード・ブリッジ』に隣接する2つのホテルをチェルシー・ホールディング社からBlueCo 22プロパティーズ社とどちらもオーナーのトッド・ボーリー氏とクリアレイク・キャピタル社が所有する姉妹会社に売却したことで、プレミアリーグが定める収益と持続可能性に関する規則(PSR)違反を回避していた。
まだプレミアリーグからは女子チームの売却について金額の承認を得られていないものの、昨年は7630万ポンド(約145億円)と評価していたホテル売却が、600万ポンド(約11億円)減額されて承認されていたため、今年も同様の形であることから、PSRの問題はないと見られている。
しかし、UEFAはプレミアリーグよりも厳しい規則を設定しており、関連当事者間の取引を禁止している。このため、昨年のホテル売却を含め、女子チームの売却もFFPの数字には含まれないことになっている。
これにより、欧州大会に出場するクラブは3年間で最大2億ユーロ(約322億円)の損失が認められているUEFAのFFP規則をチェルシーは違反する可能性が高まっている。このような状況から、チェルシーは「規制申請に影響する緩和要因についてUEFAと協議に入った」ことを明らかにしている。
なお、FFP違反による処罰は和解や罰金の形で行われる可能性が高く、2022年にパリ・サンジェルマン(PSG)がUEFAのFFPに違反したと判断された際には、860万ポンド(約16億円)の支払いで終わった例もあることから、厳しいスポーツ制裁を伴う処罰の可能性は低いと予想されている。