
猫を保護し、共に暮らすことは、それまでの生活に大きな変化をもたらします。元保護猫の男の子「大福」くんと、Xユーザーの飼い主さん(@mamedaifuku0801)も、新たな家族を迎えたことで日常が一変しました。
【写真】お迎え当初、スマホと比べて驚くほど小さく、はかなげでした
2016年8月1日の夜、買い物に行こうと玄関を開けた飼い主さん。その瞬間、どこからか猫の鳴き声が聞こえてきました。
「気になって暗い中を探し回ったのですが、なかなか姿が見つかりませんでした。ようやく、一軒家を挟んだ隣の貸駐車場の奥にある木の根元の草むらで、小さな子猫を発見しました」
「おいで」と手を差し伸べると、驚くほど素早く手から腕をよじ登ってきたといいます。飼い主さんは急いで家に連れ帰り、先住猫がいるため、念のためお風呂で清潔に。その日は夜遅かったためミルクを用意できず、翌朝、早くから営業しているホームセンターへ向かいました。
|
|
「子猫用ミルクの紙パックを購入しました。哺乳瓶がなかったのでスポイトで与えると、しっかり飲んでくれました」
あまりに小さかったため、母から「こんなに小さくて育つの?」と心配されましたが、大福くんはすくすくと成長していきました。
試練の日々 噛み癖とウールサッキングとの向き合い
大福くんは初日からとにかく鳴き続けていたそうです。お腹が空いていたことに加え、突然ひとりになった不安もあったのでしょう。
「去勢手術を迎える頃には、遊び盛りということもあり、とにかく何でもボロボロになるまで噛んでしまうように。動物病院の先生に相談すると『歯の生え変わりの影響で痒くて噛むのかもしれませんね』と言われました」
さらに、大福くんは寝床用に置いていたブランケットや毛布にも噛みつき、穴が開くだけでなく、飲み込んでしまうこともあったといいます。
|
|
「調べてみると、『ウールサッキング』という症状に当てはまることがわかりました。幼少期に母猫と早く離れた猫がなりやすいと言われている症状で、大福もその影響を受けたのかもしれません。噛みやすいものを手の届くところに置かないようにし、夜はケージで過ごさせるなどの工夫をしました」
根気よく見守っていったところ、2歳近くになる頃にはウールサッキングも治まっていたそうです。
大福くんと共に変わる暮らし
大福くんを迎えてから、飼い主さんの生活も大きく変わりました。
「もともと長期休暇を取るとひとり旅をするのが趣味で、それが何よりの楽しみでした。ですが、大福を迎えて初めて3泊4日の旅行に行った際、母から『1日目は平気だったけれど、2日目になると家の中を探し回るようになり、3日目にはご飯をあまり食べなくなって元気がなくなってしまった』と聞かされました」
家族がいるから大丈夫だろうと思っていたものの、大福くんがそんなに寂しがっていたことは予想外だったという飼い主さん。それ以来、旅行は長くても2泊3日までと決めるようになりました。
|
|
その後、大福くんが5歳のとき、飼い主さんは娘さんのそばで暮らすため、実家を離れることを決意。もちろん、大福くんも一緒です。
「大福を置いていくという選択肢はなく、一緒に引っ越しました。今では、大福がいない生活は考えられません」
甘えん坊な大福くんとこれからも一緒に
大福くんは、とにかく甘えん坊。現在、推定8歳になりましたが、その愛らしさは変わりません。
「今までお迎えした猫はみんな女の子でしたが、初めてミルクから育てたからか、または男の子だからなのか、その甘えぶりには驚かされました」
飼い主さんが実家で暮らしていた頃、仕事を終えて駐車場に車を停めると、大福くんは家の2階に駆け上がり、窓で待機。飼い主さんの姿が見えると鳴き始め、ソワソワしながら待っていたといいます。
「エンジン音で帰宅がわかるようで、いつも私の帰りを待ちわびていました」
大福くんと飼い主さんは、今もその絆を深めています。これまで共に過ごした日々を振り返り、飼い主さんは次のように語ってくれました。
「これまで大きな病気をすることなく、元気に育ってくれました。それが何よりうれしく、これからもずっと元気でいてほしいと願っています」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)