北朝鮮のIT労働者とみられる人物に自身の個人情報を提供し、日本人になりすまして仕事仲介のインターネットサイトでアカウント登録することを手助けしたとして、警視庁公安部は7日、日本人男性2人を私電磁的記録不正作出・同供用のほう助容疑で書類送検した。
国連は、北朝鮮が外貨獲得のためIT労働者を外国に派遣し、身分を偽って仕事をして報酬を得ていると指摘している。警視庁は、報酬が北朝鮮の核・ミサイル開発の資金源になった可能性もあるとみて調べる。
書類送検されたのは、大分市の男性会社員(32)と東京都北区の男性個人事業主(34)。
書類送検容疑は2020年9〜10月、メッセージアプリで、北朝鮮のIT労働者とみられる人物に運転免許証の画像データと銀行口座の情報を提供。ネット上で業務の取引をマッチングさせる「クラウドソーシング」での、日本人2人になりすましたアカウント登録を手助けしたとしている。警視庁は2人の認否を明らかにしていない。
警視庁によると、IT労働者とみられる人物は、2人と友人関係で、10年以上前から交流サイト(SNS)で連絡を取り合う関係だった。2人になりすましてアカウントを作成後、実際に日本企業や個人からアプリ関連などの業務を受注していたという。
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報酬は、仲介サイトを経由して2人名義の口座に振り込まれていた。IT労働者とみられる人物はその後、報酬の大部分について、2人に指示して海外口座に送金させたとみられる。
ネット上の住所に当たるIPアドレスを解析したところ、仲介サイトに北朝鮮からアクセスした履歴があるほか、アカウントに登録されたメールアドレスと国連が把握するものの特徴が一致したという。
警察庁などは24年3月、北朝鮮のIT労働者が日本人になりすまして業務を受注して収入を得ている疑いがあるとして、国内企業・団体などに注意喚起していた。IT労働者は海外に所在しているとみられ、摘発は難しいという。【木下翔太郎】
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