
結婚すれば幸せな日々を過ごせると考えていたAさんは、夫と暮らし始めて3年が経過した頃から「これでよかったのだろうか…」と後悔しはじめます。夫は仕事熱心で生活に困ることはないものの、彼の言動はAさんの心を蝕んでいたのです。
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Aさんは夫から、些細なことで人格を否定するような言葉を投げかけられたり、監視されているかのように一日の行動を細かく報告させられたりしています。最初は「心配してくれているんだ」と好意的に解釈しようと努めたものの、近頃ではそれは愛情ではなく、ただの束縛なのではないかと感じるようになっていました。
夫に言葉を投げかけられるたびに、Aさんは自信を少しずつ失っていきます。「どうして私ばかり責められるのだろう」「私が何か悪いことをしたのだろうか」と、自分を責める毎日です。笑顔で過ごすことも少なくなり、家にいても憂鬱な日々を過ごしています。
意を決して友人に相談しても「あの人に限ってそんな酷いこと言うの?」と言われて信じてもらえません。夫は親や友人など外面もいいので、家での姿は知られていないのです。
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誰に相談しても信じてもらえず、インターネットで自分の状況を調べてみると「モラハラ夫」という言葉を見つけます。そこには夫の言動と酷似した事例が数多く掲載されていたのです。Aさんは衝撃を受けるとともに、言いようのない不安に襲われました。
離婚という選択肢も頭をよぎりましたが、Aさんはまだ夫への愛情を捨てきれません。「もしかしたら、彼は変わってくれるかもしれない」というかすかな希望を抱いているのです。離婚をしないのであれば、Aさんはどうすればいいのでしょうか。夫婦関係修復カウンセリング専門行政書士の木下雅子さんに話を聞きました。
ーモラハラ夫になってしまう背景は?
結婚をすると「簡単には別れられない」と考えて、配偶者に対して冷たい態度をとるようになるケースがあります。いわゆる「釣った魚に餌をやらない」という状況です。結婚する前は印象がよかったとのことなので、Aさんの夫はきっと外面がよかったのでしょう。それもあって、親や友人も夫のことを良い人だと思っており、モラハラな言動を相談しても信じてもらえません。
ただ、結婚して態度が変わる人というのはこれまでも数多くいたことでしょう。モラハラという言葉も知らないままに我慢していた方もいたと思われます。近年ではAさんのように自ら調べてモラハラ夫だと認識することも増えました。情報が容易に手に入るようになったことでモラハラ夫が表に出てきたとも考えられるでしょう。
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ーAさんが自分の身を守るために心がけることとは?
Aさんは「自分が悪いのでは」と責めてしまう傾向にあるようです。これでは自分の身を守るどころか、自らを傷つけてしまいます。だからといって強気に出て反論すると、ますます夫の発言は悪化してしまうでしょう。
離婚をする気がないのであれば、夫の言うことを聞き流すことが大事です。話を聞いているふりをして別のことを考えたり、口角だけあげて笑顔で聞いているように見せたりするといいでしょう。ひとりで対応するのが困難であれば、夫のことを知らない第三者に相談するのもおすすめです。
◆木下雅子(きのした・まさこ)行政書士、心理カウンセラー。大阪府高槻市を拠点に「夫婦関係修復カウンセリング」を主業務として活動。「法」と「心」の両面から、お客様を支えている。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)
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