起業家のメンタルヘルス:成功を支える心の戦略

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2025年04月08日 07:30  JIJICO

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起業家の見落としがちな課題:「メンタルヘルス」


起業家として成功を目指す多くの人が、資金調達やマーケティング、プロダクト開発には意識を向けるものの、「メンタルヘルスの管理」については後回しにしがちです。しかし、精神的な安定が欠けると、判断ミスを犯したり、事業継続が困難になったりすることも珍しくありません。


実際に、起業家のメンタルヘルスに関する研究では、一般の人と比較して起業家はうつ病の発症率が2倍、不安障害のリスクが3倍に達すると言われています(University of California, Berkeleyの調査より)。なぜ起業家は精神的に追い詰められやすいのでしょうか? そして、その解決策はあるのでしょうか?


起業家が直面する3つのメンタル課題


1.孤独感と意思決定の重圧


起業家は、特に初期の段階では、ほぼすべての意思決定を自分一人で行わなければなりません。経営判断の正否が事業の成否に直結するため、その重圧は計り知れません。また、多くの起業家は「周囲に弱音を吐けない」というジレンマを抱えています。従業員や投資家の前では自信に満ちた姿を見せる必要があり、結果として孤独を感じやすいのです。


2. 仕事とプライベートの境界が曖昧になる


スタートアップの立ち上げ期には、長時間労働が当たり前になります。ある調査によれば、起業家の約60%が週49時間以上働いており、健康を害するリスクが高まると言われています(日本政策金融公庫総合研究所の調査より)。休息や趣味の時間を確保せずに働き続けると、燃え尽き症候群(バーンアウト)に陥る可能性が高まります。


3. 経済的な不安と成功へのプレッシャー


起業家の多くは、資金繰りや売上の不安を抱えています。特に設立から3年以内に約60%の企業が廃業すると言われる現実(中小企業庁のデータより)は、起業家にとって大きな精神的プレッシャーになります。常に「成功しなければ」というプレッシャーにさらされることで、不眠や過度なストレスを抱えるケースが後を絶ちません。


メンタルヘルスを守るための3つの戦略


こうした課題を乗り越えるために、起業家自身が意識的にメンタルヘルスを管理することが求められます。その方法について、メンタルヘルスの専門家であり、千葉県松戸市で屋外でのお散歩カウンセリング「風のセラピー」を提供する織田潤一氏に話を伺いました。


1. 自然の中で思考を整理する


「起業家は頭をフル回転させることが多いですが、意識的に『頭を休める時間』を作ることが重要です。」と織田氏は言います。特に、屋外でのウォーキングは、ストレス軽減に効果的です。実際、アメリカ心理学会の調査によると、自然の中を20分歩くだけで、コルチゾール(ストレスホルモン)の分泌が大幅に減少することが確認されています。「歩くことで思考が整理され、新たなアイデアが生まれることも多いです。事業に行き詰まった時こそ、オフィスを離れて歩く時間を作ってみてください。」(織田氏)


2. 「安心できる環境」で本音を話せる場を作る


「孤独を感じる起業家が多いですが、本音を話せる環境があると、心理的な負担が軽減されます。」(織田氏)特に、信頼できるメンターや同じ境遇の起業家仲間との交流は、精神的な安定をもたらします。ビジネスの話だけでなく、プライベートな悩みも共有できる相手を見つけることが大切です。


3. 「短時間でも休息」を意識する


「忙しい起業家こそ、休息のスケジュールをしっかり決めるべきです。」(織田氏)
たとえば、1日のうち15分だけでも「仕事から完全に離れる時間」を確保するだけで、脳のリフレッシュ効果が期待できます。


まとめ:「起業家こそ、メンタルヘルスを経営資源に」


起業家にとって、資金や人材と同じくらい「メンタルの安定」は重要な経営資源です。孤独感、長時間労働、プレッシャーに押しつぶされる前に、「自分のメンタルヘルスを守ることが、事業の成功にも直結する」 という意識を持ちましょう。織田氏が提案する「自然の中での思考整理」「信頼できる人との対話」「短時間の休息」を実践することで、起業家としての持続的な成長を実現できるはずです。


成功するために、まずは自分自身の心を整えることから始めてみてはいかがでしょうか?


インタビュー協力:風のセラピー 織田潤一



(新井 一・起業コンサルタント)

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