「魔の7歳」交通事故による死傷者数が際立って多い理由とは?

0

2025年04月08日 09:51  マイナビニュース

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
こくみん共済 coop(全労済)は4月2日、「子どもと交通安全にまつわる実態・意識調査」の結果を発表した。調査は2025年2月14日〜2025年2月14日、全国の生活者(大人)1,500名を対象にインターネットで行われた。

○7才児の死傷者数が際立って多い理由とは



小学校にあがり行動範囲が広がる7才児は、大人よりも目線が低く、まだ十分に注意力が育まれていないために、歩行中の交通事故による死傷者数が突出して多いというデータがあるという。


交通事情の統計を調査する交通事故総合分析センターは、歩行中の交通事故による死傷者数で、7才児の死傷者数が際立って多い理由を「小学校への入学後に登下校中の事故が増加するためである」と推定している。具体的には、幼稚園や保育園までは保護者や園の関係者が送迎し、園から帰宅後も保護者が付き添って過ごす場合が多いものの、小学校入学とともに子どもたちだけで登下校を行い、また登下校中以外でもこの頃から子どもだけで行動する機会が増えるため、小学校入学を境に交通事故の発生リスクが高くなると考えられている。



交通安全教室などにより、子どもに交通ルールの啓発活動が行われてきたが、頭では危険や予防策を理解していても、子どもの年齢が低いほど実際の安全行動につながりにくいのが現実。登下校中の事故だけではなく、友だちと遊んでいるときや自転車に乗っている時の事故も多く、地域・社会が一体となって子どもたちを見守っていく活動の重要性が浮き彫りとなっている。

○9割が「交通安全は大事」と回答


「交通安全を意識したり、取り組むことが重要だと思いますか?」という問いに対し、97.9%が「重要だと思う」「やや重要だと思う」と回答。ほぼすべての人が、その必要性を認識している結果となった。



このような高い意識を背景に、実際の日常でどのような経験をしているのかにも着目し、「ヒヤリとした瞬間」の有無についても確認したところ、53.4%が「自身や家族が子どもの時に、自動車にぶつかりそうになってヒヤッとした」と回答。また、ドライバー100名の60.0%が「子どもとぶつかりそうになってヒヤッとした経験がある」と回答しており、リスクが"身近なもの"として存在する実態が浮かびあがった。


加えて、交通事故防止に向けた取り組みとして行われている各種研修や啓発活動への参加状況と、その記憶の定着についても調査した。交通安全に関する研修や活動について、 「自治体で実施している研修」に参加している人の半数は、研修に参加して2〜3年以上が経つとその内容を忘れてしまうことなどが明らかになった。つまり、交通安全への意識や実体験がある一方で、その知識や行動が時間の経過とともに薄れてしまうリスクがあることも示唆されている。だからこそ、いま一度「春の交通安全週間」などを活用し、定期的かつ繰り返しの情報発信や学び直しの機会を持つことが、交通安全の意識の維持において重要であることがわかった。

○子どもの交通安全に関する意識


続いて、「子どもの交通安全に関する意識」についても調査を行ったところ、実際に子どもの交通事故が起きる原因については、意外と知られていない事実が明らかになった。



例えば、「飛び出し」や「子どもの注意力がまだ十分に育っていないこと」については、約8割が認識しており、多くの人が事故要因として理解している反面、「7才は他の年齢に比べて、交通事故に遭いやすい年齢である」 という事実については、認知している人は50.0%となり、(年長・小学1年生を含む)7才のお子さんがいる人でも、63.5%にとどまった。



また、子どもの交通事故が発生しやすい"場所"についても、実は、事故の多くは「自宅から500m以内」で発生しているという事実があるにもかかわらず、これを知らない人は全体の約6割にのぼった。"自宅の周りだから安心""いつも通る道だから大丈夫"と思いがちだが、むしろそうした "慣れた環境"こそ、子どもにとっても気の緩みが生じやすい場所であり、子どもを見守る親たちは気をつけたい場所と、言えるかもしれない。

次に、子どもの交通安全における「見守りのあり方」についても調査したところ、、小学生の子どもを持つ親の多くが、「自分がいないときに、子どもが安全に行動できているか不安(約9割)」「子どもだけで登下校させることにどこか不安を感じる(約8割)」といった思いを抱く結果となった。



こうした不安を背景に、フリーアンサー形式で「子どもの交通安全を守るためには何が必要か」について広く意見を募ったところ、以下のような声が寄せられた。


「とにかく教育だと思います。自身を振り返っても子どものころは知識がないがゆえに危険な行動が多かったと思います。今の安全意識の高い運転ができているのは、車に轢かれそうになった幼少時の記憶がすべてだと思っています」(一般セル/男性50代)

「子どもが1人で歩行通学、自転車通学をする時は初めて行く前に一緒に行き、危険ポイントを説明してきた。それは親として、みんながしてもらいたい。飛び出しなどしないようにも何度も言ってきたつもり。子どもが歩いている時は徐行している。見守りの旗当番の方には感謝しかありません」(一般セル/女性40代)

「子どもが公園に行く時は親も一緒に行って、他のお子さんのことも危険がないか見守ったり、学年を超えて近所の方とのコミュニケーションが日頃から取れるといいです」(一般セル/女性60代)

「こういう交差点はなんで危ないのかとか実際に現場で教え、車を運転する大人は常日頃から目線を低くして『かもしれない運転』で悲しい事故を防ぐ努力をドライバー全員で取り組んで欲しい」(一般セル/男性60代)



○「こども見守り活動」について


まず、 「こども見守り活動」に関する認知率は高く約9割となり、「詳細まで理解している」と答えた人は50.8%。「見聞きしたことがある程度」が39.9%、「見聞きしたことがない」が9.3%という回答となった。


実際に、「見守り活動が実施されている」と答えた7才の子どもがいる人は88.8%、8-12才の子どもがいる人は95.7%と、ほとんどの学校で「こども見守り活動」が実施されていることがわかった。その実施者については、保護者や地域のボランティアが活動を行うケースが約6割以上という結果となった。


また、「保護者によって実施されている」と答えた小学生の子どもがいる人の約6割以上がこの活動に参加したことがあると回答。協力的な家庭が大半であることがわかった。


そんな見守り活動についてのイメージを尋ねたところ、「この活動があることで何も起きない毎日が守られていると思う」「この活動がこの先も続いてほしい」「活動に取り組んでいる人に感謝の気持ちでいっぱい」 といった項目で、回答者の約8割以上が共感を示し、 「こども見守り活動」の重要性や感謝の思いが伝わる結果となった。一方で、この活動に負担を感じる人も半数を超えることも明らかとなった。



また「こども見守り活動」についてフリーアンサー形式でも保護者の声を募ったところ、日々の活動への感謝や、今後の継続を願うメッセージが数多く寄せられた。


「車を運転しているものとして、子どもが赤信号できちんと止まるようにしてくれたり、逆に車をしっかり止めたりしてくれるので、子どもの近くを運転する時に安心して運転できます。日々の忙しい中で、決まった時間帯に決まった場所に立っているというのはとても大変だし、こういった活動はその方の善意で成り立っているものだと思っていますので、本当に感謝しています。いつもありがとうございます」(一般セル/女性20代)

「いつもたくさんの子ども達の安全を守ってくださりありがとうございます。時間帯的に社会人の若者が参加できることが少ないが、私たちの世代やその先にもずっと継続されていくような、このような活動を是非続けていただけたらと思います」(一般セル/女性30代)

「いつもありがとうございます。みなさんのおかげで、子どもたちだけで登下校ができる社会になっています。海外だと親が送り迎えすることが当たり前のような世の中で、信じられないような活動だと思います」(7才の子どもがいる男性)

「いつも本当にありがとうございます。高齢の方が多いので、今後はできる人ができる時に、積極的に参加できる世の中になってほしいし、そのためには、取り組みを発信していってほしいです」(小学校教員)



○4月4日を「こども見守り活動の日」に制定



こくみん共済 coopでは、2019年3月に「7才の交通安全プロジェクト」をスタートし、今日に至るまで約155万本以上の「横断旗」を、全国の小学校・児童館などへ寄贈してきた。6年目を迎える本年度は、小学校の入学式直前となる4月4日を新たに「こども見守り活動の日」として記念日に制定。この日を皮切りに、保護者やドライバー、学校関係者、地域が一体となって交通事故抑制に向けた意識を高め、みんなでたすけあい、豊かで安心できる社会づくりに向けて活動していく。(Yumi's life)

    前日のランキングへ

    ニュース設定