レノファ山口が激戦制して2連覇達成!《JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN中国》

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2025年04月09日 11:36  サッカーキング

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■出雲で12チームが相まみえる
 4月5〜6日の2日間にかけて、島根県出雲市の出雲健康公園多目的広場で『JA全農杯2025 全国小学生選抜サッカーIN中国』が行われた。

 広島県、岡山県、鳥取県、山口県の予選を勝ち抜いた各2チーム、そして開催県である島根県の予選を突破した4チーム、合計12チームが2日間にわたって熱い戦いを繰り広げた。

 会場周辺では桜が満開を迎え、1日目は曇り空、2日目は強めの風が吹いてはいたが、春らしい気候の中で試合が行われた。初日は3チームずつ4つのグループに分かれて予選リーグが行われ、各グループ1位の4チームが決勝トーナメントへ。そして2日目の準決勝を経て、オオタフットボールクラブ(岡山県)とレノファ山口FC U-12(山口県)が決勝に勝ち進んだ。




■それぞれのベンチワーク
 オオタFCは予選リーグでおろちフットボールクラブ(島根県)に4−0、鳥取セリオフットボールクラブ(鳥取県)に6−0と攻守両面で強さを発揮すると、準決勝では過去4回の優勝を誇るサンフレッチェ広島F.Cジュニアと対戦。先制されたものの同点に追いつき、延長戦で勝ち越して激戦を制した。

 一方の山口は予選リーグで玉湯サッカークラブ(島根県)を6−0、Jフィールド岡山ジュニア(岡山県)を2−0で下すと、準決勝ではFCツネイシU-12(広島県)に5−1と勝利して決勝へ。オオタFCは4年ぶり5回目、山口は2年連続3回目の優勝を目指して決勝の舞台で相まみえた。

 通常のサッカーの試合は前後半で行われるが、この大会は12分×3ピリオドのレギュレーションで行われる。第1ピリオドと第2ピリオドは連続して行われ、あらかじめ決められた8人ずつがプレー。5分間のインターバルを経て行われる第3ピリオドは、第1ピリオド、第2ピリオドの両方に出場した選手を除いたメンバーが出場し、交代も自由となっている。

 登録メンバー全員にある程度のプレー時間を確保するよう配慮されたレギュレーションである一方、第1ピリオド、第2ピリオドをどのような陣容で戦うか、それを踏まえて第3ピリオドで誰を起用するかというベンチワークも重要になる。

 オオタFCは「第1ピリオドでしっかり戦える子を起用し、第3ピリオドはそれをベースにしつつ、第2ピリオドで調子が良かった子と入れ替える形(大田修平監督)」で戦い、一方の山口は「自分たちがトレーニングしてきたこと、意識してきたことで勝負させたい(佐藤翔監督)」という思惑から、主力を第1ピリオド、第2ピリオドに振り分けて臨み、第3ピリオドをベストに近いメンバーで戦うスタイルだった


■序盤戦で決まった命運
 第1ピリオドの立ち上がりはオオタFCが主導権を握る。3分に片岡波留がファーストシュートを放ち、5分には左サイドからカットインした寺山瀬智の鋭いシュートがゴールマウスを襲う。山口はGK山近春稀のファインセーブでこのピンチをしのぐと、7分に最初のチャンスをモノにする。PA外でボールを扱う相手GKに2人がかりでプレスをかけると、安清蒼斗が奪ったボールを無人のゴールに蹴り込み先制に成功した。



 山口の佐藤監督は「試合の入りがうまくいくといいゲームの進め方ができる」とチームを評し、オオタFCの大田監督は「準決勝で延長まで戦い、劇的な勝ち方をして心身ともにリセットするのが難しかったのと、あのワンプレーで失点したことで気持ちが落ちてしまった」と振り返ったように、ここからは山口がペースを握り、攻撃を仕掛けていく。



 迎えた12分、最終ラインの裏に抜け出した安清が、飛び出してきたGKもかわしてゴールに流し込みリードを広げる。佐藤監督が「非常にバイタリティーがある。このまま成長してほしい」と信頼を寄せる安清は前回大会の決勝でも2点を挙げており、中国大会決勝では2年連続の2ゴールとなった。



 第2ピリオドに入っても山口は勢いを持続させた。追加点こそ生まれなかったものの、井上旭が右サイドを何度も突破して味方のフィニッシュに繋げ、相手を押し込んでいく。オオタFCは終了間際にCKを得たが、このチャンスを生かすことはできなかった。



 第3ピリオドは両チームが見応えのある攻防を繰り広げた。オオタFCの片岡が4分に放ったシュートはGKの正面を突き、山口の安清が6分に見せたドリブルシュートは枠に嫌われて得点ならず。オオタFC、山口ともにゴールを目指し続ける展開の中で試合終了のホイッスルが鳴り、2−0で勝利した山口が中国大会連覇を達成した。



■1カ月後の決勝大会へ向けて
 優勝したレノファ山口、準優勝のオオタFCは、5月に神奈川県で開催される予定の『JA全農チビリンピック2025 JA全農杯全国小学生選抜サッカー決勝大会』に中国代表として出場する。

 山口の佐藤監督は全国決勝大会に向けて「個人でボールを運び、相手のマークを外して突破できるような能力を身につける必要がある」と語り、殊勲の安清も「目標は全国決勝大会優勝」と宣言。オオタFCの大田監督は「先輩たちが日本一になった(2021年度大会)ので、それに追いつけるように。目の前の相手にひるまずに戦ってほしい」と奮起を促した。




試合後コメント
■佐藤翔監督(レノファ山口FC U-12)
大会を通じて、楽に勝てた試合は一つもなかったという印象です。
決勝の試合前に、自分たちが主導権を握ってプレーできず、相手も上手だからボールを動かされる時間もあるから、その時にどう守備対応していくかは伝えていました。
試合の入りがうまくいくといいゲームの進め方ができるチームなのですが、今回は第1ピリオドで得点を奪えたのが大きく、それによって第2ピリオド、第3ピリオドと気持ちが繋がったのかな、と思います。
全国決勝大会に向けては、個人でボールを運び、相手のマークを外して突破できるような能力を身につける必要がありますし、トップに上がる子は個が充実しているので、個の成長を強く意識して取り組んでいこうと思っています。

■安清蒼斗(レノファ山口FC U-12)

大会を通じて、GKの届かないところを狙ってシュートを打とう、相手の裏をかくようなプレーをしようということを意識していました。
チームとしては、最近は試合で負けることが多かったので、「ここで勝って強いチームになろう」とみんなで話し合っていましたし、決勝という最高の舞台に立てたので、楽しんでプレーしようと言っていました。
決勝で2つのゴールを決めて優勝できたので、とてもうれしいです。チームのみんながたくさんボールに関わってくれて、最後はシュートを打つだけだったので、決められてよかったです。
目標は全国決勝大会優勝です。自分の武器であるスピードとシュートを発揮して活躍したいです。

■大田修平監督(オオタフットボールクラブ)
全国決勝大会出場は目標にしていましたが、まさかここまで来られるとは思っていませんでした。
元々、試合が重なると走れなくなる感じのチームだったのですが、1試合1試合、すごく成長してくれたと思いますし、4試合すべてで走り切ってくれたと思います。
(菅原奏太の負傷は)今まであの子が不在で試合をすることがなかったので、その意味では少し不安がありましたが、全員で戦うぞ、という気持ちで決勝戦に入ることができましたし、そういう意味ではいいゲームができたと思います。
全国決勝大会に向けて、もう一回り成長しないといけないと感じました。攻撃面を改善しつつ、守備の強度は今まで以上に高めて、全国でも戦えるようにしたいと思います。




取材・文=池田敏明

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