弥生が中小企業を支援する「弥生会計 Next」を正式リリース クラウドベースでサービス連携による処理の自動化を推進

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2025年04月09日 17:11  ITmedia PC USER

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弥生の武藤健一郎社長兼CEO(左)と広沢義和氏(右)

 弥生は4月8日、法人向けクラウド会計サービス「弥生会計 Next」を正式リリースした。利用料金は月額3480円/年額3万4800円(税別:以下同)からで、最大3カ月間の無料体験も用意している。


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 また同社は同日、2023年10月に先行リリースした「弥生給与 Next」の大幅アップデートを実施した。利用料金は月額900円/年額9000円からだ。


 弥生会計 Nextの正式サービス化と弥生給与 Nextの大幅アップデートに合わせて、弥生は東京都内で記者説明会を開催した。説明会には武藤健一郎社長兼CEOと、開発責任者の広沢義和氏(次世代本部 次世代戦略部)が登壇し、各製品についてプレゼンテーションを行った。


●中小企業間の「デジタルディバイド」をなくしたい


 中小企業庁がまとめた「中小企業白書 2024年版」によると、日本の企業のうち「中小企業」は総数の99.7%を占めているという。中小企業は、日本経済の低迷と労働人口の減少、事業環境の変化に伴う経営舵取りの困難化、デジタル化の遅れといった課題を抱えている。


 武藤社長は「(中小企業化が)デジタル化しにくい要因の1つは、(デジタル化の)コストが高く、導入しづらいところにある」と述べる。その上で「(従業員数が少ないからこそ)最もデジタル化を必要とする中小企業においてデジタル化が進まないと『デジタルディバイド』、つまりテクノロジー活用の格差が広がり、売上を始めとする経営指標にも差が生まれ、その差がどんどん深刻になっていく」と警鐘を鳴らす。


 業務ソフトウェアでシェア71.4%、登録ユーザー数350万以上など、日本で最も中小企業のバックオフィス業務を理解している弥生だからこそ、この課題に真剣に取り組むべきだ――そこで掲げた新しいスローガンが「この社会に、挑戦の循環を。」だ。


 中小企業を元気にすることで、日本の経済や社会の好循環につなげていきたいという。


 2023年に誕生した「弥生 Next」は、中小企業の継続的な成長に寄与することを目指した、クラウドベースの製品(サービス)向けの新ブランドだ。


 「バックオフィス業務ゼロの実現、データの利活用、それにより会社の意思決定をする際のパートナーになるというコンセプトを掲げている。弥生会計も“次へ”という意味を込め、『弥生会計 Next』をリリースした」と武藤社長は語る。


●「弥生会計 Next」は何が新しい?


 誰でも簡単に利用できて、事業成長に不可欠な経営プラットフォームになる――広沢氏は「弥生会計 Next」が目指す姿を語る。


 これまでの弥生会計は、自動化による業務効率化をサポートしてきた。それに対して弥生会計 Nextでは、事業成長に資するため「経営支援による業績向上」、つまり事業そのものを成長させるサポートも行えるようになる。


 とはいえ、使ってもらわないと意味がないということで、開発時に掲げたキャッチコピーが「会計・経費・請求。誰でもカンタン まとめて効率化。」だ。


 「誰でもカンタン」には、以下の3つが含まれるという。


使い始めからカンタン


 広沢氏によると、「初期設定の大変さにより脱落するユーザーは多い」という。そこで弥生会計 Nextでは、4ステップで初期設定が完了するようにした。


 法人として登記(起業)する前に発生した費用がある場合、会計上固有の処理をしなければならないこともあるが、会計知識がないとどのように入力すればいいか分からないこともある。そこで対話型UIで簡単に処理できる「設立時の費用のセットアップ」機能を用意したという。


 「カンタンでありつつ、会計ルールや法令に則した処理ができることが特徴で、(弥生が)特許を取得している」(広沢氏)とのことだ。


取込・仕訳がカンタン


 初期設定が簡単でも、使い続けられなければ意味がない。


 そこで弥生会計 Nextでは、銀行口座との連携から仕訳登録までをスムーズに行える「明細ボックス」を用意している。連携した銀行口座やクレジットカードの入出金データをいったんためておき、そこから必要な会計処理を行って帳簿に登録できるという。


 帳簿登録は、AIが内容から推測して自動で行えるようにもなっている。誤りがあった場合の修正も可能だ。


数字確認がカンタン


 一般的な会計業務では、複数の帳簿や集計表を行ったり来たりして確認作業を行う。


 その点、弥生会計 Nextではこのような「ドリルダウン」「ドリルアップ」をカンタンに行えるという。決算時に集計した数値の元が正しく処理されたものどうか、クリックすることで確認可能だ。


 集計表から個別/具体の取引にさかのぼることもでき、逆に個別/具体の数字から集計表にも戻れる。広沢氏によると、この機能も特許取得済みだという。


●経営層にも役立つ「資金予測β版」を搭載


 弥生会計 Nextでは、帳簿や決算書を作成するといった会計業務の他、経費精算や請求業務、証憑の保存/管理も一元的に行える。


 外部サービスから売上や経費の取引データなどを取得したり、金融機関/クレジットカード/電子マネーサービスと連携して利用明細や入出金明細データを取得することも可能で、これらのデータを税理士や会計事務所と共有する機能も備える。


 新機能の目玉は「資金予測β版」だ。これは、直近3カ月の各種データを元に向こう3カ月間のキャッシュフローを予測/評価するという機能となる。


 折れ線グラフにより現状を可視化するだけでなく、今後の資金繰りを予測して「要改善」「注意」「安全」の評価をカラーやアイコンで表示してくれる。「要注意」または「注意」レベルであると評価された場合、資金繰りを改善するのに役立つ外部サービスを案内し、次のアクションにつなげられるようにもなっている。


 資金繰りについて事前に予測できるだけでなく、改善策も提示されるので「状況が悪化してから1人で悩む」といった最悪の状態になるのを避けられる。


 弥生会計 Nextの利用料金は、機能によって以下の通り異なる。なお月契約と年契約を選択可能だが、月契約プランは6月から提供する予定となっている。


・エントリープラン:月額3480円/年額3万4800円


・ベーシックプラン:月額5400円/年額5万400円


・ベーシックプラスプラン:月額8400円/年額8万4000円


 リリースを記念して9月30日まで開催する「スタート応援キャンペーン」では、有償プランの半額相当のAmazonギフトカードが進呈される。


 なお、全ての機能(ベーシックプラスプラン相当)を最大3カ月無料で試せる「無料体験プラン」もあるので、まず無料プランで試してみると良いだろう。


●「弥生給与 Next」の大幅アップデート


 続けて、「弥生給与 Next」の大幅アップデートについて解説された。


 その名の通り、弥生給与 Nextでは給与計算や年末調整を中心にサービスを提供してきた。今回アップデートでは、新機能として勤怠管理を行う「弥生勤怠 Next」、労務管理を行う「弥生労務 Next」を新たに実装し、勤怠/労務管理も行えるようにした。


 給与計算に使うサービスになぜ勤怠/労務管理機能を追加するのか。広沢氏によると「給与(計算)ソフトは(中小企業の)4割ほどで導入されているが、勤怠管理や労務管理は手入力している中小企業が多く、それに伴うミスや工数の増加が課題になっている」という。


 そのことを踏まえて、給与計算サービスに追加すると効果的と考えたようだ。


 弥生勤怠 Nextは、PCやスマートフォン、ICカード、生体認証デバイスを使った打刻(勤務開始/終了通知)に対応する。また、フレックス勤務や在宅勤務など、現代の柔軟な働き方にも対応可能だ。勤務時間は自動集計されるので管理する側はもちろん、管理される側の手間も省ける


 弥生労務 Nextでは、「雇用契約書」はもちろん、社会保険/雇用保険など計110種類以上の書類(届け出)に対応する。


 広沢氏は「今の(企業)規模ではいらないと思われるかもしれない」とした上で、「事業が成長して、労務タスクが増えても追加費用を払う必要がない」とメリットを解説した。


 機能追加に伴い、弥生給与 Nextの料金プランは以下の通り改訂される。なお、弥生会計 Nextと同様に月額プランは6月以降から利用可能となる見通しだ。


・エントリーライトプラン:月額900円/年額9000円


・エントリープラン:月額2400円/年額2万400円)


・ベーシックライトプラン:月額3600円/年額3万6000円


・ベーシックプラン:月額5520円/年額5万5200円


・ベーシックプラスプラン:月額8400円/年額8万4000円


 また、全機能(ベーシックプラスプラン相当)を最大3カ月無料体験できるプランも設けている。


 最後に登壇した武藤CEOは、「弥生 Nextで会計と労務に関係した業務をカバーし、中小企業を元気にすることで好循環を作っていきたい」と締めくくった。



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