※画像はイメージです 最近のニュースで頻繁に取り上げられる言葉に『不倫』があります。行為そのものは今に始まったわけではありませんが、その社会的な制裁は以前と比べものにならないほど厳しくなっています。
今回取材したケースも特に珍しいシチュエーションではありませんが、改めて『不倫』の代償が与える影響の大きさが再確認されました。
◆勝ち組が繰り広げるキラキラな日々
IT企業に転職した新林さん(仮名・37歳)は、大卒で入社した出版社のeコマース事業部にいたころに、現在の代表者からヘッドハンティングされたそうです。
「私より4歳年上の代表は、もともと前職の時のお客さんでした。まだその時は代表もサラリーマンでしたが、急速に頭角を現し、気が付けば投資家から資金を得てIT企業を立ち上げました。どちらかというと熱血漢で、女性よりも仕事を好むタイプでした」
代表に慕われていた新林さんは、行動をすることが多く、頻繁に催される豪華なパーティーにも顔をだしていました。
「私には経験したことのない華やかなパーティーでしたね。毎回モデルのような女性たちがそこにはいて、皆が派手な高級腕時計をつけていました。車寄せにはベンツではなく、アストンマーティンやベントレーなど、まるで不動産のような価格帯の高級車が並んでいました」
◆ゴルフのラウンド中に決まった新プロジェクト
代表と行動を共にすることが多く、毎週土日のいずれかはゴルフに同行するという新林さん。そんなオフの日にも仕事の話は尽きないといいます。
「今回のコンペには、珍しく異業種のトップたちが集結しました。IT業界に限らず、飲食業やロジスティック業などが多く、いずれもトップたちも代表と同じ年齢層です。
その時はまだオフレコだったのですが、どうやら日本全国で腕利きのパティシエを募り、極上スイーツのオンライン販売を行うというプロジェクトが決まったようです。
私の会社がEC関連業務を担当することになり、翌日からプロジェクトがスタートしました。この即断即決には、いつも感心させられます」
新プロジェクトのリーダーに任命された新林さんは、すぐにプロジェクト立ち上げパーティーの準備に取り掛かりました。
◆家族同伴の豪華パーティーで意気投合
今回のプロジェクトには、メンバー全員が非常に熱心に取り組んでおり、パーティーも大規模な会場を借りて、多くの関係者が招待されました。
「立ち上げメンバーは皆、配偶者同伴で参加していて、ウチの代表はシングルなので逆に目立っていましたね。会場も広い割にはアットホームな雰囲気が漂い、皆が和やかに交流していました。今振り返ると、飲食チェーンの代表の奥様と我が代表が非常に良い雰囲気だったことが印象に残っています」
代表とその奥さんとは、同じ出身地で話が盛り上がったといいます。ただ、それだけでは終わらなかったそうです。
「実は、私見てしまったんです。その日は代表が少し早めに退社すると言ってきたので、代表が乗るマクラーレンをオフィスの前に回した時、少しその先に見覚えのある女性がいました。よく見ると、あのパーティーに参加していた飲食チェーン代表の奥様だったのです」
◆もはやプロジェクトどころではなくなる
その後も、代表とその奥様が一緒にいるところを何度も目撃していた新林さん。進言する勇気もなく、ただ時間が過ぎていくばかりだったといいます。
「代表は頭が切れる人です。だから今の会社があるのは言うまでもありません。しかし、代表は愚かな失敗を犯してしまいました。プロジェクト会議は持ち回りで行われているのですが、その日は弊社で全員が集まることを知りながら、いつもの場所で飲食チェーンの代表の奥様を待たせていたのです。
もちろん、その代表も車で来ていたため、鉢合わせとなり、最初は白を切っていた奥様でしたが、その言い訳は通用せず、やがて罵声が飛び交い、修羅場と化しました」
案の定、一番多く出資していた飲食チェーン代表はこのプロジェクトから手を引き、それだけにとどまらず、ITの代表に対して民事訴訟を起こし、一方、奥様も夫に対して複数のハラスメントを理由に離婚訴訟を提起する事態に発展しました。
「もう破茶滅茶な展開ですよ。結局裁判所から和解勧告が提案され、渋っていた両者もそれに応じたようです。ただ、飲食チェーン代表の奥様は後戻りできず、その後協議離婚に踏み切り、なんと我が社の代表と結ばれたそうです」
TEXT/八木正規
【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営