国内ファッション企業唯一の単独出店 アーバンリサーチが大阪・関西万博にオープンする「アーバン博」の全貌

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2025年04月10日 17:41  Fashionsnap.com

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 アーバンリサーチが、4月13日に開幕する大阪・関西万博に出店する。「アーバンリサーチの万博」、略して「アーバン博」と銘打ち、“ジャポニズム”、“テクノロジー”、“スーベニア”の3つをキーワードに「未来につながる“すごい”をシェアする」ショップとして、日本を代表するアパレル企業ならではの取り組みを行う。なお、国内のファッション企業として、単独で出店するのは同社のみ。日本中はもちろん、海外からの注目も高まる中、万博への出店にはどのような思惑があるのか。担当者に話を聞いた。

 同店は、土産品を求める来場者の期待に応え、雑貨を中心にラインナップする循環型ファッションライフスタイルブランド「ザ グッドランドマーケット(THE GOODLAND MARKET)」のアイテムを中心に展開。「万博は、一生に一度、訪れるかどうかという貴重なイベント。だからこそ、思い出をお土産として持って帰れる雑貨を中心に取り揃えた。私たちにとって、アーバン博は“普段、出会えないお客さんと出会える場所”という位置付け。ザ グッドランド マーケットの要素を取り入れながらも、全く新しいブランドをオープンするつもりで準備してきた」(アーバンリサーチ 広報担当者)。
 開幕に際して、“これまでの経験と新たなチャレンジを掛け合わせた、アーバンリサーチらしいテクノロジー”として、アーバンリサーチの社員100人の声の振動を柄にしてデザインし、商品化するプロジェクト「一〇〇 VOICES」を始動。声の柄をプリントした鯉口シャツ(1万6500円)を数量限定で販売する。同プロジェクト同様、万博期間中は、毎月異なるテーマに合わせて、アイテムを展開予定。今後は関西の企業とのコラボレーションなどを予定しており、詳細については公式サイトなどで随時発信される。

 そのほか、大阪名物「551」とコラボレーションしたアパレルアイテムや、京都・丹後地方で生産されたちりめん生地を採用したトートバッグ、大阪・堺で生産された注染染めの手ぬぐい、「大阪」の文字をあしらったオリジナルの達磨、「TOYOTA UPCYCLE」とのコラボによる雑貨などを揃える。限定アイテムとして、赤と青のカラーパレットで製作したアイテムも複数ラインナップ。アーバンリサーチのテーマカラーである赤に、自然をイメージした青を掛け合わせることで、同万博のマスコットキャラクター「ミャクミャク」のカラーリングを連想させる色使いに仕上げた。なお、万博の開催に合わせて、会場以外の一部店舗でも万博限定アイテムを展開。「会場では一見の方が多く訪れることを見越して、万博から帰ってきてからも、街でアーバンリサーチの店舗を見つけたときに万博を思い出して買い物を楽しんでもらえる工夫をしたい」(担当者)。
 店内のインテリアに使用した什器の約70%は再利用可能で、万博が終了してからも既存店に流用できるように仕上げた。プラスチックのスツールなどは、環境負荷の低い、植物由来の酢酸セルロースを用いた素材を使用し、3Dプリンターで形成した。

 今回、万博への出店を決めた理由について、担当者は「コロナ禍を経て、店舗数が減り、社内組織が変革する中で、2023年にはコロナ前の2019年の売上を超えて軌道回復することができた。これからに向けて前進する下地ができたタイミングで、新しいアーバンリサーチを知ってもらえるきっかけになると考えた」という。一般公募に当選する形で出店が決まったのが、2024年の10月。「約半年間というスケジュールの中でも形にできたのは、これまでに一緒にやってきた関係者の協力があってこそ。一丸となって取り組めたことで、社内外の関係性が強化された」(担当者)。なお、販売スタッフは、全国の店舗から希望者を募集。関西に限らず、全国各地のスタッフが万博期間限定で近隣に在住できるよう準備を整えたという。
◆プレオープンでは手応え 新業態の柱に
 ザ グッドランド マーケットの事業部長で、アーバン博の統括責任者を務める新山浩児氏に、万博に出店する上で意識したことを尋ねると、「良い意味で、“敷居の低い店”」だと話す。「来場者のほとんどがインバウンドか、お土産を求める新規層。新たなテクノロジーや日本の職人技術を絡めた挑戦をしながら、『さすがはアーバンリサーチ』と思ってもらえる店づくりを目指した」(新山氏)。
 新山氏は、プレオープンを振り返り、「手応えを感じた。限定品を中心に予想以上の売れ行きとなり、今はオープンに向けて在庫の追加発注をかけているほど。当社は現在、ターミナル駅の商業施設を中心に店舗を運営しているが、万博での経験を踏まえて、今後は地域密着型のイベントやポップアップストアへの出店も見据える。この店舗を新業態の柱として、未来の店舗設計に繋げたい」と今後の展望を語った。

■アーバン博:公式サイト

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