台湾「澎湖人」はデニソワ人=成人男性の下顎骨化石―頑丈な体格か・総研大や東大など

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2025年04月11日 03:31  時事通信社

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台湾西方の海底で見つかった下顎骨化石に基づくデニソワ人男性の想像図(孫正涵氏提供)
 台湾西部と澎湖(ほうこ)諸島の間の海底から底引き網漁で発見され、2015年に原人の「澎湖人」と分類されていた下顎骨の化石は、旧人のネアンデルタール人と近縁のデニソワ人だと分かった。総合研究大学院大や東京大、台湾の自然科学博物館、デンマーク・コペンハーゲン大などの国際研究チームが化石からたんぱく質を抽出し、アミノ酸の配列を解析した成果として、11日付の米科学誌サイエンスに発表した。

 デニソワ人の化石はロシア南部や中国甘粛省の洞窟で見つかっているが、小指や下顎などの骨、歯しかなく、頭骨や全身の形態が不明。しかし、今回の研究で原人に近い頑丈な体格だった可能性が浮上し、アジア北部だけでなく南東部にも分布していたことが判明した。

 東大の太田博樹教授は、今後デニソワ人と特定される化石が増えれば、「ネアンデルタール人がユーラシアの西側の旧人、デニソワ人が東側の旧人と言えるようになるかもしれない」との見方を示している。

 澎湖人化石は成人の右半分の下顎で、臼歯も残る。同時に見つかった動物化石などから19万〜13万年前か7万〜1万年前と推定され、大きく頑丈な形から原人とされた。DNAは抽出できなかったが、総研大の蔦谷匠助教らが骨のコラーゲンや歯のエナメル質のたんぱく質を抽出し、アミノ酸の配列からデニソワ人に特有の変異があることを突き止めた。性別は男性だった。

 人類は700万〜600万年前にアフリカで猿人として出現し、進化した原人がユーラシアや東南アジアなどに進出。ユーラシアの西側では旧人となったが、30万〜20万年前にアフリカで出現した新人(現生人類=ホモ・サピエンス)が世界に広がり、古人類を絶滅させたと考えられている。東大の海部陽介教授は「これまで原人と分類されていた中国などの化石の一部はデニソワ人の可能性がある」と話している。 

デニソワ人男性と判明した右側半分の下顎骨化石(写真左が側面、右が上部)。台湾西方の海底で見つかり、これまでは原人の「澎湖(ほうこ)人」と分類されていた(海部陽介東京大教授提供)
デニソワ人男性と判明した右側半分の下顎骨化石(写真左が側面、右が上部)。台湾西方の海底で見つかり、これまでは原人の「澎湖(ほうこ)人」と分類されていた(海部陽介東京大教授提供)


台湾西方の海底で見つかった下顎骨化石がデニソワ人だと発表した総合研究大学院大の蔦谷匠助教(中央)、東京大の海部陽介教授(左)と太田博樹教授=7日、東京都文京区
台湾西方の海底で見つかった下顎骨化石がデニソワ人だと発表した総合研究大学院大の蔦谷匠助教(中央)、東京大の海部陽介教授(左)と太田博樹教授=7日、東京都文京区

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  • そろそろ縄文文明って言われてもいい気がするんだけどなぁ。
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