シム・ウンギョンと堤真一が、つげ義春氏の漫画原作の三宅唱監督の新作「旅と日々」に出演

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2025年04月11日 10:00  日刊スポーツ

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三宅唱監督(左)の新作「旅と日々」に出演するシム・ウンギョンと堤真一(C)2025『旅と日々』製作委員会

シム・ウンギョン(30)と堤真一(60)が、22年「ケイコ 目を澄ませて」、24年「夜明けのすべて」などで知られる、三宅唱監督(40)の新作「旅と日々」(11月公開)に出演することが10日、分かった。漫画家・つげ義春氏(87)の1967年(昭42)「海辺の叙景」と68年「ほんやら洞のべんさん」の2つの漫画を原作に、同監督が脚本も手がけ、主人公の旅と旅先での出会いを描く。


シム・ウンギョンは、脚本家の李を演じる。堤演じる宿主・べん造との旅先での出会いをきっかけに、人生と向き合っていく過程を李本人がつづっていく物語。シム・ウンギョンは「三宅唱監督とご一緒できたらいいなとずっと思っていました。でも、まさかこんな早くチャンスが来るとは思わなかったので、最初はお話を聞いて、うそでしょう? と言った記憶があります。ここ数年間で読んだ台本の中で最も好きな物語の台本でした」と出演を喜んだ。


役どころについては「李という役は、私でもあり、そして皆さんでもある。皆さんが映画を見て、李とともに映画館で旅をすることができたら、それは何よりうれしいですね。完成をとても楽しみにしています」と評した。堤との共演については「堤さんからインスパイアをたくさんいただきました」と感謝。「すごく会話があるわけじゃないですが、何かつながっているような気持ちもあって、こういうことを絆っていうんだろうなと思いました。まさに『旅と日々』という映画はそんな『絆』に関しての映画であるということを実感した日々でした」と撮影を振り返った


堤は「つげ義春さんの独特の世界観で、特別なことは何も起きないけれど、ちょっとしたことが『それも人生』と思える作品だと思いました。脚本を読んで『ぜひやらせていただきたいです』と即答しました」と出演を決めた当時の思いを振り返った。べん造を演じるにあたり「とにかく言葉が難しかったので、撮影に入る前から何度も方言指導のテープを聞いていました。普段はここまで全部覚えることはないのですが、今回は、初めてと言っていいほど、しっかりとたたき込んでから撮影に入りました」と準備を徹底しつつ「また、セットや衣装もとても助けになりました」と製作陣に感謝した。シム・ウンギョンとの共演については「日本語ができる韓国人の役ですから、彼女らしさが存分に出ているのではないかと思いました。撮影の間も、いつも楽しそうで、明るい方ですね」と語った。


三宅監督は「つげ義春さん、つげ正助さんに心より感謝申しあげます」と、つげ氏と長男に感謝。「ここ数年、家でも旅先でもマンガや紀行文をくりかえし読んできました。畏怖すら覚えるほど面白く、逃げ出したくなる日もありましたが、編集中のいま、とことん新しい映画が生まれそうだという感触があります」と、脚本開発、撮影、編集含めた製作過程での心中を吐露。「シム・ウンギョンさん、堤真一さん、各部署の仕事は驚くほど純度の高いものです」と、俳優含めた製作陣に絶対の自信を見せた。


そのほかのコメントは、以下の通り。


シム・ウンギョン 本作は自分の自然体そのままで入ることが大事だと思い、旅に来て自分自身が感じていることを表現しました。悩んだときは監督に相談して、一緒に作り上げていく作業がすごく楽しかったです。(三宅監督は)すごくパワフルで、とても素晴らしい監督だなと思いました。この現場で、今まで経験できなかったことを新たに経験できて、お芝居に関しても、映画に関しても学びましたし、響いたことがたくさんあります。つげ義春さんの漫画を読むと、物語は静かに進み、何事も起こってないようなのに、大きく響いてくるものがある。そういうつげさんの漫画の力をたくさんいただいて、李という役を頑張ろうと決めました。


堤真一 三宅監督の演出は無駄がなくて、とてもシンプルです。かといって決め付けるのではなく、現場で一度芝居を見て、動きも見る。「不思議な世界」だけど「非現実的」ではない、とても現実的な表現でこの作品を捉えられている気がします。「こんなことは初めてなんですけど」と監督はおっしゃっていましたが、一度リテイクしたシーンがあるのですが、それでかなりそぎ落とされたんです。リテイクって面倒な作業ですが、監督の機転の利かせ方や流れの変え方を見ることができて、すごく面白かったです。特別なことは何も起きない、その土地で生きる人、不器用に生きる人の物語です。高級店ではなくて、おじいちゃんとおばあちゃんがやっている町中華のほうが安心するような感覚。妙に落ち着けて、クスっと笑えるような、そういう作品になると思います。


◆「旅と日々」うだつの上がらない脚本家の李(シム・ウンギョン)は、ひょんなことから訪れた雪荒ぶ旅先の山奥で、おんぼろ宿に迷い込む。雪の重みで今にも落ちてしまいそうな屋根。べん造(堤真一)と名乗る、やる気の感じられない宿主。暖房もない、まともな食事も出ない、布団も自分で敷く始末。しかし、べん造には、ちょっとした秘密があるようだ。ある夜、べん造は李を夜の雪の原へと連れ出すのだった。

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