決算発表の記者会見をするイオンの吉田昭夫社長=11日午後、東京都千代田区 流通大手2社の2025年2月期連結決算が11日、出そろった。長引く物価高で消費者の節約志向が高まる中、需要を取り込み切れず、イオンとセブン&アイ・ホールディングスはいずれも減益となった。日本を代表する小売企業の苦戦で、個人消費を巡る環境の厳しさが浮き彫りとなっている。
イオンは当初の増益予想から一転、純利益が前期比35.6%減の287億円となった。金融子会社でのクレジットカード不正利用問題の対応や店舗閉鎖に伴い損失が膨らんだ。残暑が長引いて秋冬物の季節商材の売れ行きが想定を下回り、営業利益も5.2%減の2377億円だった。
一方、売上高に当たる営業収益は6.1%増の10兆1348億円で、同社として初めて10兆円を突破した。記者会見した吉田昭夫社長は「価格戦略や経費構造の抜本的な見直しの遅れが(利益の)マイナスにつながった」と説明した。
セブンは稼ぎ頭だった海外コンビニ事業が不振で、米国の店舗閉鎖による費用の計上なども響いた。純利益は23.0%減の1730億円と、2年連続の減益。国内コンビニ事業は低価格帯の商品拡充で客数が改善した一方、原材料高に伴い粗利益率が悪化し、営業減益となった。