画像提供:マイナビニュースJR東海と伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は11日、超電導リニアに関わるDX推進の一環として、車両運用システム「VOS」(Vehicle Operating System)をアジャイル開発しており、VOSの一部機能を山梨リニア実験線で2025年夏に運用開始する予定と発表した。
JR東海は超電導リニアの技術開発において、「高温超電導磁石の運用安定性の検証」と「ICT技術等を活用した効率的な保守体系の検証」を2つの柱として取り組んでおり、とくに後者に関連して、超電導リニアに関するDXを推進してきた。
リニア中央新幹線の開業に向けた業務の変化にも対応しつつ、進歩の著しいICT分野の技術を柔軟かつ迅速にシステムに機能追加・変更ができるようにすることで、効率的な運営体制の実現をめざすという。その実現のため、システム開発を内製化し、アジャイル開発(「計画、設計、開発、テスト、リリース」の一連の工程を短い期間で繰り返し行う開発手法)に取り組むことで、鉄道事業の知見とともにシステム開発にも精通した人材の育成を推進する。
今回開発するVOSは、山梨リニア実験線を走行する超電導リニア車両に関わるさまざまなデータ(車両データ、検査修繕データ、業務データ等)を収集・分析・連携するシステム。作業計画、状態監視、装備品管理など複数のデータを参照する作業も自動化でき、人の手による間接業務が大幅に削減されるという。
システム開発は、リニア車両のメンテナンス等に精通したJR東海の技術者が、CTCから技術指導と共同開発の支援を受けながら、スクラムチームでアジャイル開発し、進めているという。今回のように、システムにおける「開発者」の役割を事業者自身が担い、ゼロからコードを作成することは難易度の高さから珍しい事例であり、CTCが提供する伴走型のテクノロジーコンサルティングサービス「build service」の活用も、鉄道会社で初の取組みとのこと。
今後、2025年夏に予定している新しいL0系改良型試験車の投入に合わせ、VOSの一部機能(状態監視機能等)を山梨リニア実験線で運用開始する予定。作業計画機能、装備品管理機能などについても順次導入をめざし、開発を進めるとしている。(木下健児)