限定公開( 2 )
4月13日に開幕する大阪・関西万博。9日には報道機関向けのメディアデーが開催され、記者も“ガンダムパビリオン”などを取材した。カメラやPCなど機材を抱えて参加したが、会場はかなり広く、加えて目当てのパビリオン同士が離れていたため、あっちこっちを行ったり来たりすることになり、かなり疲労した。
大阪・関西万博会場の広さは約155ha(東京ドーム約33個分)。シンボルとなる大型の木製リングは1周約2kmもあり、歩いて回るのはそこそこ大変。リングを直線で突っ切っても最寄り駅の夢洲駅から入場できる「東ゲート」エリアから、反対側の「西ゲート」エリアまでは十数分くらいはかかった。有料のバスなど移動手段もあるが、停留所までは歩く必要がある。
健康な20代成人男性の記者でもそれなりに疲れたので、高齢者や歩行に不安のある人はもっと大変だろう。そんな事態を見越してか、会場では1人用の電動パーソナルモビリティも貸し出していた。13日以降と同じ手続きを踏んでレンタルもしてみたが、移動の助けにはなりそうか。
●ダイハツ「e-SNEAKER」を貸し出し タイヤはミャクミャクの目
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試乗したのは、ダイハツ工業が提供する4輪電動カート「e-SNEAKER」。貸し出し所の担当者によれば「主に高齢者や長時間の歩行に不安のある人向け」という。最大時速は4kmで、バッテリー駆動時間は約2時間。タイヤには「ミャクミャク」の目が特徴的なデザインが施されている。利用に当たって免許は不要だが、顔写真付きの身分証明書の提示が必要だ。
駐車できる場所は会場内12カ所に設置される専用スペースに限られ、走行可能エリアも大きめの通路のみ。レンタルは無料で、東ゲートか西ゲートにある貸し出し所で借りられる。ただし、返却時は借りた場所と同じ場所で手続きする必要がある。貸し出しは65歳以上の高齢者や長距離歩行が難しい人を優先するという。
●乗り物としては問題ないが、運用に疑問符
実際に東ゲートの入場口付近をぐるっと回る際にも使ってみた。最大時速4kmということで、スピードは歩くよりやや遅いくらい。故意に危険運転をするわけにもいかないので検証はできなかったが、ダイハツの発表によれば、ミリ波レーダーによる検知機能を搭載し、障害物を感知した場合には減速する他、フロント・リアバンパーにモノが触れた場合は走行を停止する機能も備えるという。
おおむね走行自体に問題はなく、パビリオンなどの外観を眺めながら移動するにはちょうど良いと思ったが、運用面で気になるポイントはいくつかあった。例えば走行可能エリアの確認だ。ナビなどが付いているわけではなく、走行可能エリアを把握するには都度地図を確認しなくてはいけない。実際に、自分が今どこを走っているのか不安になり、都度止まっては地図を確認しなくてはいけなかったときがあった。
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メディアデーの来場者数は約4500人と、比較的空いていたため気にならなかったが、開幕直後など数万人規模の混雑が予想されるタイミングでも快適に走行できるのかという点は気になった。
返却時は借りた貸し出し所に戻す必要がある点も大変そうだ。バッテリーが切れそうになった場合、近い方の貸し出し所に戻す方が良さそうだが、実際は利用者が貸し出し所に電話し、職員に替えのバッテリーを持ってきてもらう運用という。
ダイハツは150台を提供しているというが、この台数でどこまで高齢者や歩行に不安がある人を補助できるかもやや疑問だ。来場者向けには上述の有料バスもあるので、モビリティだけで全てのニーズを賄う想定ではないだろうが。
総じて、少なくともメディアデーの時点だと、サービスの運用方式にいくつか疑問符があった印象だ。貸し出し所の担当者によれば、運用は実際の状況を見つつ改善していくとのことだったので、トラブルが起きないうちに最適化されていくことを期待したい。
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