トランプ関税に「遺憾」連発 “退陣の危機”を石破総理はどう乗り越える? 迷走する石破外交と深まる日米の溝【edge23】

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2025年04月13日 07:03  TBS NEWS DIG

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TBS NEWS DIG

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トランプ政権による関税措置を巡り、石破総理大臣の対応が問われている。「遺憾」の一言を繰り返すだけで事態は好転するのか。日米関係の行方と石破政権の今後はどうなるのだろうか。

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支持率急落で退陣論も?「遺憾」連発で事態は好転するのか

石破内閣の支持率が3月の調査から7.8ポイント急落し、総理就任後、過去最低の30.6%となった。物価高対策への不満に加え、トランプ関税で追い打ちをかけられた形だ。この状況を受け、与党内からは国民への一律現金給付を求める声も上がっている。

しかし、財源の問題や「ばらまき」との批判は避けられない。石破総理は消費税減税について含みを持たせつつも否定的な姿勢を示しており、対応に揺れが見られる。

退陣論までもが浮上しつつある中、石破総理はどのように舵を取るのか。関税措置に対し「極めて遺憾」と述べたが、その発言で状況が変わればいいが、なかなかそうはいかない。

2月の日米首脳会談は何だったのか

4月7日に電話による日米首脳会談が行われた。この会談には林官房長官も同席し、25分間にわたって行われた。しかし、通訳を交えての会談だったため、そこまで踏み込んだ話はできなかったとみられる。

興味深いのは、トランプ大統領の態度だ。強い口調で、「日本はどんな材料を出すのか」と迫ったという。決して雰囲気は良くなかったと伝えられている。

アメリカ側の交渉担当者すら、トランプ大統領の決定を事前に知らされていないケースがあるという。ある外務省幹部は、「アメリカの事務方も指示待ちといった感じ…」と話す。つまり、トランプ大統領の気分次第で政策が決定されているのだ。これでは日本側も対応に苦慮するのも無理はない。

日本側は、「まずは担当の閣僚で協議しませんか」と提案し、何とか交渉の糸口をつかもうとした。アメリカ側の具体的な対話窓口が不明確だったことが、日本政府の悩みの種となっている。

今年2月初めに行われた日米首脳会談では、アメリカへの投資を1兆ドル規模に引き上げるという話が出てきた。また、アメリカのLNG政策に乗っかろうという話で合意したとされる。しかし、これらの情報は事前にあまり知らされていなかったという。

この2月の首脳会談の成果は、今回の関税措置にどのように影響しているのだろうか。

残念ながら、今回の関税措置に対する日本の優遇という面では、あまり繋がっていないようだ。つまり、首脳会談での合意事項と今回の関税措置は別物として扱われていると受け止めている。

交渉担当に赤沢大臣任命の背景 裏にあった“焦り”

日米交渉の担当として任命されたのが、赤沢亮正大臣だ。しかし、その人選に疑問の声が上がっている。自民党の役員など経験がないことから、「本当に大丈夫なのか」という声が与野党から聞こえてきている。

では、なぜ外交経験豊富な林氏や茂木氏ではなく、赤沢氏だったのか。

閣僚の人数制限が大きな要因だ。石破総理は、現在閣僚ポストが上限の19人で埋まっている状況。新たに閣僚を任命するには誰かと交代させるか、現職大臣に担当を追加する形にせざるを得なかった。結果的に後者が選択された。

林官房長官については、官房長官という立場上、海外に頻繁に出向くことが難しい。一方、茂木氏は現在閣外にいるため、あえて入閣させるには時間がかかりすぎる。このような状況下で、赤沢氏が浮上したのだ。

アメリカ側は、電話会談のその日の夜のうちに、窓口を決めてきた。アメリカ側の素早い対応に、日本政府の“焦り”が垣間見える状況だ。

赤沢大臣は、一見すると外交経験が乏しいように見える。しかし、意外な強みがあった。90年代に日米政府間交渉の担当経験があるのだ。

赤沢氏自身、任命後のインタビューで自信を覗かせている。飛行機の旅客機・貨物機の運航権をめぐる交渉を担当した経験を挙げ、これを生かせると主張した。
赤沢氏と石破総理は同じ鳥取県選出で、自民党派閥も同じだった。石破総理にとって、赤沢氏は心強い存在と言える。

興味深いのは、赤沢氏自身が手を挙げた可能性があるという点だ。政府関係者の間では、赤沢氏が自ら立候補したのではないかという噂が流れている。もしこれが事実なら、石破総理にとっては頼もしい限りだろう。

“カモにされるモデルケース”にならぬために

日本が「交渉の最前線」に立っているという事実は、アメリカ側からも認められている。しかし、これが日本にとって有利に働くとは限らない。むしろ、世界のモデルケースとして不利な条件を押し付けられる可能性もある。

政府関係者は、「このトランプ関税問題は、長期的な交渉になる」と予想している。しかし、その一方で参議院選挙も控えており、短期的な成果も求められている。

この難しい状況下で、日本政府はどのようにバランスを取っていくのだろうか。交渉のカードが見えてこない限り、何を持って成果とするのかは不明確だ。米や自動車、非関税障壁など、様々な分野での交渉が進んでいくことが予想される。

日本政府は「遺憾の意」を表明し続けるだけでは不十分だ。カモにされるモデルケースにならないよう、具体的な戦略と行動が求められている。この機会を活かし、真の意味でのウィンウィンの関係を構築できるか、今後の展開が注目される。

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