
「私たち家族らしい一軒家」に憧れて注文住宅を建てることを決断。間取りもデザインも一工夫ある完璧に好みのスタイルに仕上げたい!と、情報収集にも気合が入りますよね。しかし、実際に家づくりを始めると、理想と現実のギャップにガッカリの連続ということも…悲しい体験談を紹介します。
【漫画】「こんなお家にしたいです!」思いをぶつけた結果は…(全編を読む)
子どもの頃から憧れてきたマイホーム
Aさん(関東在住、30代、事務)は子どもの頃から新聞の折り込みチラシに入ってくる不動産売買チラシの間取り情報を眺めるのが大好きで、インテリア雑貨店巡りが趣味でした。
Aさんが育ったのは、祖父母が建てた木造の古い住宅。せめて自室だけでも好みに模様替えしたかったものの、古い建具や低い天井など、「昭和の雰囲気を感じさせる造り」が邪魔をして諦めることが多かったそうです。
そんなAさんが、結婚以来ずっと夢見てきたのが「注文住宅でマイホームを建てること」。
|
|
その資金を貯めるため、自分の給料はすべてマイホーム用に積み立て、古くて人気のない夫の会社の社宅での生活を選びました。その間、実家から持ち寄った食器や、無料譲渡サイトで手に入れた最低限の家具で暮らしていたのも、すべては夢の家のためでした。
そんな日々のなかでの楽しみは、InstagramやピンタレストなどSNSで注文住宅のアイデア投稿を眺めること。
広い玄関土間に飾り棚、水まわり動線に配慮した回遊式の廊下や、使いやすそうなパントリーとランドリールーム、工夫された照明や、窓からの景色を生かしたリビング、主張しすぎずシックになじむ個性的な壁紙の個室などなど…「憧れる!」「真似したい!」と思えるデザインや間取りの工夫を片っ端からブックマーク。気になったアイデアはプリントアウトしてノートに貼り付けておくことを、なんと結婚以来3年以上続けたそうです。
◇ ◇
結婚4年目、十分な頭金を用意できたタイミングで、住みたいと考えていた地域に、親戚から紹介された土地を購入できる話がまとまり、いよいよ家づくりが始まりました。
|
|
Aさんは、デザイン重視で好みの建築事務所に依頼したいと考えていたものの、夫から「高校時代の先輩の実家が地元で大きな工務店をやっていて、そこに頼みたい」と言われます。
「先輩の工務店は、ちゃんとした注文住宅の会社だし、気にせずどんどん意見を言えばいいよ。この工務店に決めてもらえたら、俺は予算以外は口を出さないから。あとはAちゃんが好きにしてくれたらいい」と説得され、納得することにしたものの…。
どんなアイデアを言っても「ダメだし」
いざ打ち合わせが始まり、担当になったという50代の施工管理兼営業担当に、これまでまとめてきた「憧れのデザイン集」を見せながら自分の希望を伝えると、返ってくるのはこんな言葉ばかり。
「玄関土間を広くしたら、その分リビングが狭くなります。玄関で過ごすわけじゃありませんし」
「水回りの配管を増やすと、それだけ経費も上がります。長く引くなら勾配が必要なので、天井も低くなりますよ」
|
|
「廊下にアールをつけて造作を?お子さんが180cm以上に育ったら頭ぶつけませんか?ただの邪魔ですよね」
「手すりなしの片持ち階段?危険ですよ?今はよくても年を取ったらどうするんですか?」
「埋め込み照明を多用するなら、電球交換のたびに業者を呼ぶことになりますよ」
…それらは言われてみれば納得できる指摘ばかり。無理に押し通すこともできず、Aさんは希望を次々にあきらめていくことになりました。
その結果、完成したのは「どこにでもありそうな普通の間取り」に、「ちょっと変わった壁紙」が使われているだけの中途半端な普通の家。
はじめて選んだインテリア雑貨や家具も今ひとつ決まらず、写真や動画を撮ってもパッとしない雰囲気に。Aさんは今もSNSを見ながら「どうやったらおしゃれな家になるんだろう?」と激しく落ち込んでいるそうです。
夫は「さすが先輩の工務店。造りもしっかりしているし、価格や納期もこちらの希望通りにしてくれた」と大満足なようで、Aさんだけが気持ちが落ち着かない日々を過ごしてます。暮らしやすさは文句なしの100点の家だそうで、それが余計にモヤモヤの理由になっているのかもしれませんね。
(まいどなニュース特約・中瀬 えみ)
- まいどなニュース
- まいどなニュース 関連ニュース
- 【平面図あり】5000万円で購入した一戸建て 男の子3人、音も気にせず「のびのび育てられる」と思っていたのに…警察まで呼ばれて大後悔
- 【漫画】両隣そっくりデザイン「自分の家、間違えない?」とからかわれ… 住んでみて分かった分譲戸建ての思わぬ“落とし穴”
- 【漫画】狭小3階建て…1階の個室に「なぜ、アレがあるのか!?」 建売住宅の困った“あるある” 悪いけど…「本当にいらない!」
- 【平面図あり】3階なのに庭付き 3000万円で買ったガーデンテラスマンション 動く黒いもので理想の住まいが暗転
- 【平面図あり】営業担当者の言葉を鵜呑みに 6000万円の新築マンションの落とし穴は「駐車場」