【ハイキュー‼×SVリーグ】孤爪研磨のプレーが「勉強になる」アランマーレ山形の石盛めるも 自身は母の厳しさ・祖母の優しさで成長

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2025年04月13日 10:10  webスポルティーバ

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『ハイキュー‼』×SVリーグ コラボ連載(50)

アランマーレ山形 石盛めるも

(第49:日向翔陽の「低身長ミドル」の戦い方に共感するアランマーレ山形の伊藤摩耶 武器は朝練100本で磨いたサーブ>>)

「相手を考えた組み立て方を頭に入れ、外国人選手の強さをうまく使いながら、点数を取ってもらえるように指揮しています」

 アランマーレ山形の石盛めるも(26歳)は、セッターの心がけを語った。中2の途中からセッターを始め、そのポジションを選んだことこそ、トップリーガーになれた理由だと彼女は考えている。

「"アランマーレらしさ"は勢いのよさや、元気なところだと思うので、『雰囲気がいいよね』って言われるようにやりたいですね。強いチーム相手にやられ出すと、思わず下を向いちゃう時もあるんですけど、たとえ負けても、最後まで元気よく戦う姿勢を見せて、『面白かったよ、また応援に行くよ』と言ってもらえるようにしたいです」

 在籍4年目、石盛はチームの着実な成長とともに歩んできた。V2デビュー、V2優勝、V1デビューを経験。昨シーズンは大差をつけられての敗戦を重ねたが、粘り強く戦えるようになった。そして今シーズン、SVリーグでは勝利をもぎ取っている。

 石盛は愛知県岡崎市のバレーボール一家に生まれた。祖母、母、父がバレー経験者で、保育園では祖母、母のチームで指導を受けていた。母は宝塚歌劇団が好きでバレリーナの教室にも通ったが、小学校に入るタイミングでバレーボール一本に絞った。

「小学校ではお母さんが監督で、一番怒られました。家に帰っても指導が続くというか......お風呂の時間も怒られたので、『やめたいな』と思っていました」

 石盛はそう言って、快活に笑う。

「中学は福井県でバレーを続けることにしました。小学校の時の練習試合で、福井県の中学と対戦して、知っている先輩もいたので。練習にも参加して『行きたい』ってなったんですけど......地元で友達と遊んでいると『離れたくない』って思いも出てきて。でも、お母さんには『行きなさい』って言われましたけどね(苦笑)」

 石盛は毎年、全日本バレーボール中学校大会に出場した。その点で、越境入学は正しい選択だった。高いレベルを経験し、寮生活をする中で友人もでき、ホームシックにもならなかったという。

 母の厳しさが彼女を自立させたのかもしれない。

 石盛は「より強いところでやりたい」と、強豪・京都橘高校への進学を決めた。上下関係が厳しく、やめることも考えたが、高2の時に出た春高バレーの試合が楽しく、「大学でも続けよう」と気が変わった。そして関西の龍谷大に進み、試合に出ることで鍛えられた。

「周りの環境がどんどん変わり、昔は人見知りだったのが、誰とでも喋れるようになって。いろんな出会いや知識が増えて、『バレーって楽しい』と思うようになりました」

 彼女はバレーに打ち込むことが運命だったのだろう。小、中、高、大とたくさんの同級生とバレーをしたが、SVリーグでプレーしているのは石盛だけである。導かれるものがあったのだ。

「お母さんは今もジュニアの監督をしているんです。『練習を見に来て』と言われたんですが、お母さんのやり方じゃなく、私の意見で子どもたちを指導しました」

 彼女はそう言って楽しそうに笑う。それも親孝行だ。

「V1、SVリーグになって、地元の愛知でも試合が開催されるようになったので、家族や地元の友達に来てもらえるのはうれしいです。おばあちゃんにも来てもらいたかったけど、高校生の時に亡くなってしまって。いつも自分の味方でいてくれて、優しかったです。お母さんが怒ったら、いつも止めてくれた。福井に行くのが決まった時も、『ひとりが嫌なら、私が家を借りて一緒に住む』とも言ってくれる人でした」

 石盛は、その血筋に見守られている。

【石盛めるもが語る『ハイキュー‼』の魅力】

――『ハイキュー‼』、作品の魅力とは?

「同じセッターでも、音駒の(孤爪)研磨が好きです。試合の考え方、組み立て方、相手を分析する姿は勉強になります。作者の古舘春一先生が、実際にアナリストや監督などをやったら、そのチームは強くなるかもしれませんね(笑)」

――共感、学んだことは?

「烏野と音駒の"ゴミ捨て場の決戦"で、日向(翔陽)に打たせないようにショートサーブを打つシーンがありますよね。あそこは、戦術がわかっていないと『なんで?』ってなるところですが、そこも解説されていた。私たちもサーブを工夫してやっているんですが、もしミドルにブロードをされたくなかったら、そこを狙うので一緒だなって」

――印象に残った名言は?

「音駒の猫又育史監督の『強いスパイクを打てる方が勝つんじゃあないんだ ボールを落とした方が負けるんだ』ですね。高校生の時に読んで、これが一番頭に残っていたんですが、あらためて今の私たちらしいなって思います。他チームの比べて高さもパワーも劣るかもしれないけど、相手のほうがスパイクが強くても、粘っている時はいい試合ができているので」

――好きなキャラクター、ベスト3は?

「1位が研磨で、2位が影山(飛雄)、3位が菅原(孝支)さん。全員セッターです(笑)。高校の時は影山が一番好きでした。どんなトスでも上げられるセッターになりたいと思っていたので。でも、今は研磨みたいに頭脳で戦えるセッターもかっこいいなって思います。そして菅原さんは、頭脳や技術もあるけど、陰で支えられる人間性がいい。自分も学びたいです」

――ベストゲームは?

「烏野vs青葉城西です。やっぱりセッターで、及川さんの姿には感動しましたね。負けた側にスポットが当たっていて、試合内容だけじゃなく、試合後のシーンもよかったです。最後の春高出場のチャンスで負けた悔しさ、仲間とやれた達成感......自分も高校時代に感じたものが伝わってきました」

【プロフィール】

石盛めるも(いしもり・めるも)

所属:アランマーレ山形

1998年9月10日生まれ、愛知県出身。166cm・セッター。祖母、母などの影響で保育園からバレーを始める。中学時代は全日本中学校バレーボール選手権大会。京都橘高校ではインターハイ、春高バレーでもプレーした。龍谷大学を経て、2021年にアランマーレ山形に入団した。

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