
京都市が空き家をテーマにしたカードゲームを作った。プレーヤーは老朽化した空き家の所有者となり、建屋の改修を進めて、いかに高値で売却できたのかを競う。手放すことを渋る親族を説得したり、長く手付かずだった行政手続きを済ませたりと、「あるある」な課題を疑似体験し、空き家のリアルに触れてもらう。非売品で、市内の学校などに貸し出すほか、市イベントなどで活用する。
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カードゲームは4人制で、それぞれが「路地に面する京町家」や「職住一体店舗付き住宅」「高度経済成長期の住宅」などの「家カード」を選ぶ。家カードにはそれぞれ外壁のひび割れや屋根瓦の破損といった資産価値が下がる状態が定められており、3年を計16ターンかけて、家の状態を改善していく。
改善のため各ターンでは「タイル」と呼ばれるカードを引き、改修に必要なお金を獲得するほか、売却に必須となる親族の合意を得たり、未登記の不備を解消できたりする。お金を払って修繕しようとしても業者から断られる場合があるほか、人脈が豊富な空き家相談員を頼ることもできる。3年が経過すると、解消できなかった不備や修繕費用などを差し引いて、不動産業者などに売却する。
2月上旬には、堀川高1年約20人が家庭科の一環で、カードゲームを楽しんだ。「もっと早く修理したほうがよかった」や「親族の説得は先に済ませておいたほうがいい」などと、空き家が抱えるリアルを体験。佐久間葵さん(16)は「売る時は立地や築年数だけでなく、水回りといった内装の状態が大切だと気付いた」と話し、小野淳成さん(16)は「空き家はただ人が住んでいないだけではなく、人間関係や行政のルールが色々と絡み合っていることが分かった」と語った。
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総務省の「住宅・土地統計調査」によると、2023年時点で京都市の空き家率は12・5%で推計10万5300戸、前回18年比で0・4%減(700戸減)だった。空き家が長期間放置されると倒壊など周囲に影響が出る可能性もある。市は活用や流通を支援するため、宅地建物取引士といった専門家の派遣制度を実施。来年度には、空き家の物件情報を掲載するサイトを新設するなど、空き家を減らす対策を模索しているが、抜本的な解消には至っていない。課題を身近に感じてもらう必要があり、市は23年度から民間事業者とともにカードゲーム制作を進め、昨年12月に完成した。市住宅政策課は「ゲームをきっかけに、自分の親族が管理する家はどうなっているのか、家族内で考えてもらえたら」とする。貸し出しなどの問い合わせは同課075(222)3667
(まいどなニュース/京都新聞)
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