防災と減災誓う=犠牲278人の冥福祈る―熊本地震9年で追悼式

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2025年04月14日 11:01  時事通信社

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時事通信社

熊本地震の前震から9年となり、追悼の竹灯籠に火をともし、黙とうする人たち=14日午後、熊本県益城町
 2度の震度7を観測した熊本地震の前震から9年となった14日、熊本県庁に隣接する防災センター(熊本市中央区)で犠牲者の追悼式が開かれた。遺族ら21人が参列し、亡くなった278人の冥福を祈った。

 追悼式では、参加者全員が1分間黙とう。木村敬知事が「防災・減災対策の一層の充実を図り、安心して暮らせる熊本を築いていく」と誓って献花し、遺族らが続いた。

 追悼式後、地震で次女花梨ちゃん=当時(4)=を亡くした同県合志市の宮崎さくらさん(46)が取材に応じ、「復興が進むと同時に、熊本地震への関心が薄まっている。まちは復興しているが、娘を失ったつらさは変わらない」と話した。

 昨年から遺族の負担などを考慮し、遺族代表による追悼の言葉はなくなった。一方、今年から追悼式前に、遺族同士が交流する場が初めて設けられ、7人が参加したという。

 災害関連死を含め45人が亡くなった益城町では14日夜、震災記念公園に住民ら約50人が集い、追悼行事が開かれた。手製の竹灯籠約500個に火をともすと、「4月14日を忘れない」などの言葉が浮かび上がった。地震が起きた午後9時26分には、黙とうをささげた。

 自宅が全壊し約1カ月間、車中泊で過ごした同町の民生委員木下たつみさん(71)は「生活が日常に戻ると、非日常を忘れる」と記憶の風化を懸念した。

 熊本地震は2016年4月14日夜に前震、同16日未明に本震が連続発生した。大分・熊本両県の犠牲者数は、熊本の災害関連死が新たに2人増え計278人となった。

 3月末で災害救助法の適用が終了したが、県などは引き続き、住宅の再建ができていない世帯に対する家賃や転居費用の支援を続けている。 

熊本地震の前震から9年となり、追悼の竹灯籠に火をともす人たち=14日午後、熊本県益城町
熊本地震の前震から9年となり、追悼の竹灯籠に火をともす人たち=14日午後、熊本県益城町
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