百日咳の患者数が急増中!乳児は突然死の可能性も…医師が緊急警鐘

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2025年04月14日 11:10  web女性自身

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赤ちゃんが感染し、重症化すると「死をもたらす病」になりえる感染症・百日咳の患者数が急増している。



「国立感染症研究所などが統合して発足したばかりの国立健康危機管理研究機構が4月1日に発表した速報値で、3月17?23日に全国の医療機関から報告された百日咳の患者数は458人。今年に入ってから百日咳の患者数は累積で4千100人になり、すでに昨年1年間の患者数(4千54人)を超えました」(医療ジャーナリスト)



百日咳の患者数統計は、以前は選定された小児科の報告数のみだったが、’18年からは正確な患者数を把握するため、すべての病院で報告が義務づけられている。このままいけば、現在の統計開始後、過去最悪の患者数を記録する見込みだ。



百日咳の患者急増が深刻な状態であることを受け、感染症に詳しい長崎大学高度感染症研究センターの森内浩幸センター長が本誌の取材に応じてくれた。



「百日咳は鼻の奥から採取した検体からの培養や遺伝子検査によって診断されますが、少し咳がひどい風邪だと思って医療機関を受診していない百日咳の患者も多くいると考えられるので、決して報告数=実際の感染者数だと考えないでほしいです。



患者数が増加した背景には、新型コロナウイルスのパンデミックで感染対策が徹底された結果、ここ何年間か百日咳にかかっていない子供が増えて集団免疫が落ちていたため、一度火の手があがると瞬く間に燃え広がるように感染が広がったと考えられます」



年齢にかかわらず、百日咳菌に感染して発症する百日咳。厄介なのは、大人と子供、とりわけ乳児では生命の危険度がまったく異なること。



「成人ならば症状が出たとしても、長引く咳だけで発熱もほぼありません。あまりに咳がひどくて病院で診断されるケースもありますが、ほとんどは風邪だと思って受診しないまま治癒しています。



ところがお子さん、特に生まれて間もない乳児は十分な注意が必要です。かなりひどい咳が続くだけでなく、突然、呼吸が止まって突然死することも。助かったとしても低酸素状態のため脳に重い後遺症が残ってしまうこともあります。百日咳のワクチンが導入される’50年以前は、年間10万人の患者数があり、そのうち10%が死亡。亡くなるのは主に小児ですから、年間1万人の子供の命を奪っていた恐ろしい病気なのです」(森内先生、以下同)



百日咳の大きな特徴は、その感染力の強さ。〈免疫を獲得していない集団の中で、1人の感染者が平均で何人にうつすか〉を表した基本再生産数で、ほかの感染症と比べてみたのが左の表。この冬爆発的に広がったインフルエンザのなんと10倍もの感染力を持っているのだ。



「インフルエンザや新型コロナとは比べものにならない感染力です。とくにワクチンを一度も接種していない乳児が飛沫を浴びると90%の確率で感染するとの報告も。免疫のない人たちの中に百日咳菌がもたらされると、十数倍に広がっていく恐れもあるのです」



ワクチンを接種した記憶があるからと油断するのは禁物。かつての患者数や死亡数を大きく減らした百日咳ワクチンだが、その免疫効果は、思うほど長くはない。



「日本における百日咳の感染流行は、小学生の間で起こっています。現在は生後2カ月から4回、百日咳ワクチンを含めた五種混合ワクチンの接種が行われていますが、免疫効果は4〜12年とされ、赤ちゃんのころに接種したワクチンの効果が小学校に入学する前に薄れてしまうからです。



多少なりともワクチンの効果が残っているため小学生が感染しても『咳が多い風邪だろう』という程度で済むことが多いのですが、その結果、百日咳が小学生の間で爆発的に広がり、帰宅した児童から乳児を含む家族にうつっていくことがあるのです。



本来ならば、諸外国が行っているように、小学校にあがる前に、免疫効果をさらに高めるためワクチンの追加接種をするのが望ましい。日本小児科学会でも就学前にワクチン接種を推奨していますが、任意接種で全額自己負担であることなどを理由に接種を控える人がほとんどです」



諸外国では妊婦や小児への百日咳ワクチンの接種を公費で行う国も多い。現在世界で普及しているワクチンは主に日本で開発されたものだが、自国で十分に活用されていないのが現状なのだ。



「日本では“赤ちゃんの命を守る”ことがおろそかにされていると言わざるをえないのです」



子供を守る――、そのために私たち大人が取るべき行動には、どんなことがあるのだろうか?



「主な感染経路は飛沫感染や接触感染。感染対策ではコロナと同じくマスク着用、アルコール消毒など基本的なことで十分。風邪の症状がある人は、職場や学校、人混みにはむやみに行かないことが、自分のためにも、ほかの人にうつさないためにも大切。まして赤ちゃんに近づくことは避けてください。身近に乳児がいる家庭、これから生まれてくる家族は、ワクチン接種を検討してもいいでしょう」



子供たちの命を危険にさらすリスクを少しでも抑える。そのために、一人一人が百日咳に対する意識を高めていくことが大切だ。

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