写真 三陽商会が、2026年2月期から2028年2月期にかけての新たな中期経営計画を発表した。アッパーミドル市場での競争優位性を確保しながら事業規模の拡大およびポートフォリオの最適化を図り、2028年までに売上高700億円、10年後までに1000億円の達成を目指す。
新中期経営計画は、新たに策定した10年後の長期目標「売上高1000億円・営業利益率10%・ROE10%」から逆算して立案。同社のコアとなる基幹7ブランドを含めた既存事業領域を指す「オーガニックグロース」のほか、「既存ブランド事業領域の拡大」「新規ブランドの開発」「海外展開」「M&A」といった5点を柱とする。
「既存ブランド事業領域の拡大」では、子ども服、ユニフォーム、ペット用品などの新カテゴリーに事業領域を広げていくほか、各ブランド雑貨の拡充を図る。「新規ブランドの開発」では、今年3月にEC専業ブランド「ビアンカ(BIANCA)」をスタート。今後はライフスタイル、シニア市場に向けた新ブランド開発を進める。「海外展開」では、1月に行われたメンズウェアの見本市 第107回ピッティ・イマージネ・ウオモ(Pitti Imagine Uomo)にコート専業ブランド「サンヨーコート(SANYOCOAT)」を出展。100年コートをメインに展開したところ海外5社からアプローチがあり、好感触を得ているという。同社の大江伸治社長は「海外でのメイドインジャパンの価値は我々が考えているよりもずっと高い。来季更にラインナップを拡大し、商機に繋げたい」と意気込む。また、今後は戦略パートナーとの協業を通じてアジア展開を加速させたいとしている。「M&A」ではEC専業アパレルやコスメ、雑貨、子ども服ブランドなどを取得先として検討。「企業価値向上に資する案件に対しては、ブランド規模に関わらず積極的に動いていきたい」(大江社長)。
チャネル別では、百貨店・直営店・EC・アウトレット全ての販路で売上を伸ばす計画だが、構成比としては百貨店の占める割合を減らしそれ以外の販路のシェアを高めていく。特に直営店では、「マッキントッシュ フィロソフィー(MACKINTOSH PHILOSOPHY)」などで百貨店以外の販路への出店を強化。新たな顧客を獲得し、3年後までに売上高を60億円、全体に占める売上構成比を10%弱まで引き上げていく。
2026年2月期の計画としては、未達成となった前中計最終年度の当初目標をスライドさせ、売上高625億円、営業利益33億円を目指す。大江社長は3年後の目標 売上高700億円について「低いハードルではないが、店舗数増や商品力強化によって十分に達成可能な目標だ。まずは目先のやるべきことを1つずつクリアにしていく」と語った。
◆2025年2月期は減収減益
同社の2025年2月期通期の実績は、売上高が前年同期比8.3%減の605億2600万円、営業利益が同3.6%減の27億1500万円。第3四半期(9〜11月)の記録的高気温によって秋冬物の初動の大幅な遅れが発生したことが響き、減収減益で着地した。第1四半期(6〜8月)、第2四半期(12〜翌2月)は前年を超えたが、プロパー品が想定通りに稼働せず、第3四半期の不振をリカバリーするには至らなかった。
◆新たに中間配当を実施
中長期的な株式価値向上と株主への利益還元機会の充実を目的として、2026年2月期から新たに中間配当を実施する。配当基準日は8月31日。これにより同社は従来の期末のみの年1回から、中間、期末と年2回の配当体制に変更となる。2025年2月期は期末配当として1株あたり129円を割り当てたが、2026年2月期は中間で69円、期末で70円。合計すると1株あたり139円と、前期からの増配を見込む。